Masaki Shirai ([Alexandros]) meets THR

Masaki Shirai [Alexandros] ×THR このサイズで“あのサウンド”が出るのには驚きました。By Masaki Shirai

[Alexandros]のレコーディングでTHR10を使用

●THRとの出会いについて教えてください。 白井:最初にTHRを見たのは[Alexandros]のレコーディングだったんですよ。2015年12月にリリースするシングル『Girl A』のカップリング曲で『In your face』という曲があるんですが、その曲のギターは全部THR10にマイクを立てて録音したものです。

●デモではなく本番のレコーディングでTHR10を使ったのですか。 白井:そうです。この曲はもともと「あえて宅録風に作ろう」ってことで、デモやプリプロをせずに録音スタジオでアイディアを出し合いながら作っていきました。レコーディングもマンションの一室を改造したようなハウススタジオで、大きなギターアンプはとても鳴らせない環境でしたから「ギターはライン録りかな?」と思っていたんです。そんな時、エンジニアさんが「これ、いいんだよ」って持って来てくれたのがTHR10でした。

●最初にTHR10を使った時の印象は? 白井:サイズが小さいしデジタルだから「自分がほしい音は出ないだろうなぁ」と思ったんですが、実際に音を出してみたらすごくいい音で驚きました。結局レコーディングではTHR10を小さなブースに置いてマイクで録音しました。

●ちなみに白井さんがいつも使っているアンプはどんなものですか。 白井:MARSHALLの「1959」です。マスターボリュームがない爆音系のヴィンテージアンプなので、今回のような宅録ではとても使えないんです。THR10は小さいのに、相当いい音が出てました。宅録や部屋弾きにはピッタリですね。音の印象がとても良かったので、その後自分でTHR5を買ったくらいです。

ツアーではコンパクトなTHR5を持ち歩いている

●THR10ではなくTHR5を買われたのはなぜですか。 白井:今ツアー中なのですが、楽屋やホテルで鳴らす小さなアンプがほしかったんです。移動を考えるとコンパクトな「5」がいいなと思いました。THR5もいい音がしますし、なにより軽かったので。

●THRを日常的に使うようになってどんな点がいいと思いましたか。 白井:何よりいいのは、内蔵された音色が多いことですね。最近はいろんなミニアンプが出ていますが、ひとつの音色しか出ないアンプだと、僕の場合は足りないんです。[Alexandros]にはいろんなタイプの曲があるので、楽屋で弾く時も、THRの全部の音色を使うぐらいで。それと、THRは音色が多いだけじゃなく、どの音も個性があっていい音なんですよね。本当に気に入ってます。

●白井さんがTHR5でよく使う音色はなんですか。 白井:一番よく使うのは「LEAD」です。あと、[Alexandros]のライブで「メタルゾーン」と呼んでいるハードなサウンドのセクションがあるんですが、その曲を弾く時は強烈な歪みが必要なのでBRIT HIやMODERNを使います。その他にも、CLEANやCRUNCHを要所要所で使っています。

●THRに内蔵されたエフェクトはどうですか。 白井:とてもいいです。内蔵だから外部エフェクターより音が良いし、それに楽屋や自宅でギターを弾くときにエフェクターをつなぐのは面倒じゃないですか。僕はディレイをわりとよく使いますが、音質のグレードが高いと思いました。あとフェイザーやフランジャーも時々使ってます。

ブティック系の音のリアルさに驚いたTHR10C

●最近THR10Cも入手されたと聞きました。 白井:そうなんですよ。10Cはブティック系のアンプをモデリングしてるんですが、実際弾いてみて驚きましたね。再現性がすごく高いです。「CLASS A」という音色で弾いた瞬間、「あ、○ッチレスのアンプそのまんまだ」って思いました。ブティック系アンプって倍音の高いところがビリつく感じと、立ち上がりのスピードの速さが特徴だと思うんですが、そのあたりがしっかり表現できています。このサイズで、ちゃんとあの音が出てる。本当にすごいと思います。

●白井さんにとってギターアンプはどういう存在ですか。 白井:ギターの次に大切なものだと思っています。昔は「エフェクターがよければ、アンプは選ばない」と考えたこともあったんですが、今は逆ですね。第一はギター、第二がギターアンプ。アンプがよければエフェクターは、まぁ何を使っても大丈夫かな、というぐらいに考えています。

「[Alexandros]の音をもっと良くする」という使命感

●白井さんが憧れているギタリストはどんな人でしょうか。 白井:初めてファンになったバンドがBLANKEY JET CITYでした。浅井さんが大好きで、今でも追っかけている部分があります。シンガーであり、ギタリストであり、作曲者であって、演奏だけでなく発言など、全てがロックミュージシャンとしてカッコいい。Red Hot Chili Peppersのジョン・フルシアンテやGuns N' Rosesのスラッシュも好きなんですが、同じようにやはりギタープレイだけではなく、存在自体がカッコいいと思っています。

●[Alexandros]のギタリストとして、どんなことを目指していますか。 白井:このバンドの基本はギターロックなので、ギタリストとして「[Alexandros]のサウンドを良くしなくてはいけない」という使命を感じています。初めてギターでオリジナルの曲を弾いたのがこのバンドだったこともあって、バンドと自分のギターは、もはや一心同体なんです。だから[Alexandros]の音を良くすることは、自分の音を磨くことでもあるんです。

●最後に読者にTHRのお勧めポイントをお願いします。 白井:THRは、いろんな音色が使えるし、質の高いエフェクターもたくさん入っていますから、ビギナーにとっては音作りを学ぶことができる絶好のアンプだと思います。それとチューナーが内蔵されているっていうのも、地味に便利だなと思っていて。家でギターを弾く時って、チューナーを使わないじゃないですか。意外に大きなメリットかなと。それとベテランの方にはとにかく「音」がいいところがおススメです。レコーディングで使ったぐらいですからね。それと音色の幅があるので、ジャジーな音楽からメタルまで幅広いジャンルに対応できるのもTHRならではだと思います。

(取材:2015年11月)

プロフィール :白井眞輝(しらい・まさき)

川上洋平(Vo&G)、磯部寛之 (B&Cho)、白井眞輝 (G)、庄村聡泰(D)からなる4人組ロックバンド[Alexandros]のギタリスト。ボーカルの川上と同じ高校に通っており、oasisのコピーバンドを組んでいた。高校卒業後は音楽専門学校のベース科に進む。川上が当時のメンバーと路上ライブを行っている最中に偶然再会したことがきっかけで、2007年にギターとして加入。

[Alexandros] Official Site: https://alexandros.jp/