Takuro Sugawara(9mm Parabellum Bullet) meets THR

Takuro Sugawara(9mm Parabellum Bullet) meets THR Real!But Compact 気がつくと、夢中になってる。 By Takuro Sugawara

家で弾くならこのサイズ感がいいと思った

●THR10を使ってくださっているそうですがTHRとの出会いについて教えてください。 菅原:店頭で見たのかな?いや、いま思い出しました。いちばん最初はTRICERATOPSの和田唱さんが『面白いアンプがあったよ』って教えてくれたんです(笑)。たぶんTHRが出てすぐだったと思うんだけど、弾いたって言ってました。その後楽器店に行って実際に触ってみて、ああ、これはいいなぁと。

●ご自分で「買おう」と思ったのはどうしてですか。 菅原:アンプとは思えないこのサイズ感ですね。ステージではマーシャルを使っているんですけど、家で弾くギターアンプがほしかったんです。できるだけ圧迫感のないコンパクトなものがいいなと思って。

●音を出してみた時の印象はいかがでしたか。 菅原:良かったです。トーンを触るとちゃんと反応してくれるんですよ。チャンネルごとに反応もちゃんと違って。マーシャルってトーンのツマミをいじってもそんなについてこないところもあって、それが同時にマーシャルらしさなんですけど、家で演奏する時に、そんな頑固なヤツと付き合いたくないぞと思って(笑)。聞き分けがいいヤツがいいから。だからTHRはいいと思いました。

レコーディング期間中はTHRが朝練の友だった

●菅原さんにとって、THR10は家で弾くためのアンプなのでしょうか。 菅原:そのつもりで買いました。手に入れた頃はちょうど自分を鍛え直そうと思っていた時期だったので、自宅でギターをよく練習していたんです。練習と言っても曲の練習じゃなくて、基礎練習ですけどね。

●えっ、基礎練習をしているんですか。 菅原:そうです。前回のアルバムの制作中に気づいたことがあって、朝、家でギターの練習をしてからレコーディングスタジオに行くと、その日の録音があっという間に終わるんですよ(笑)。しかも録音する曲じゃなくて、基礎練習がいいんです。メトロノームを鳴らしてゆっくりしたテンポで1フレットずつ上がっていくような練習です。今回のニューアルバムのレコーディングの時も、THRは朝練の友でした。

●基礎練習の時はTHR10をどんな設定にするのですか。 菅原:チャンネルはCRUNCHで、ゲインをあまり上げず、ミスしたらすぐわかるようにTREBLEを上げて、あとはだいたいフラットです。こうすると弾いているニュアンスがよく出るし、高音が強調されているからピッキングのミスなんかがよく目立つんです。(ギターで音を出しながらTHR10のツマミを回して)こんな感じかな。基礎練習は自分に厳しい音じゃないと効果がないですね。

●(音を聴いて)弾いたそのままの音が出る設定ですね。 菅原:ちゃんと弾けばいい音になります。自分が弾いた音に正確に反応してくれる音です。THRは音の反応もいいですね。設定はユーザーメモリーに記憶させていて、練習用の音は1とか、ソロギターは2とか。意外とちゃんと使ってるんですよ(笑)。
ソロを弾くときはBRIT HIとかMODERNとかのチャンネルを使って歪ませます。BRIT HIってたぶんマーシャルのことだと思うんだけど「ああ、マーシャルってこういう感じだよな」って音がしますね。マーシャルもモデルや年代で音が違うから一言じゃ言えないけど、かなりマーシャル感が出てると思います。

●THR10の内蔵エフェクターはどうですか。 菅原:効きがいいですね。エフェクトの効果がハッキリしていていいと思います。ディレイタイムもスイッチのタップで設定できるんですけど、使い慣れるとかえってツマミより楽に感じますね。リバーブも好きでした。リバーブ+ディレイの複合エフェクトも素直で使いやすいです。エフェクトが面白いと、ついつい練習そっちのけになっちゃって、ずーっとエフェクトをかけながらギターを弾いちゃうんですよね(笑)。

作曲の時はTHRでリズムマシンを鳴らしています

●ギターの練習以外ではどんな使い方をしていますか。 菅原:実は最近ベースを買ったんですよ。それをTHR10のBASSのモードで弾いてみたら結構良くて、THRってちゃんとベースアンプになるんだなって、今さらながら驚きました。ちゃんとギターとレンジが違うんですよね。

●ベースを弾くのは曲作りのためですか? 菅原:楽器が好きだから、弾いているだけでも楽しいんですけど、でも作曲のためですね。ベースラインを探したりとか。
ベースだけじゃなくて作曲する時もTHRを使ってます。リズムマシンって普通スピーカーがついてないじゃないですか。でも僕はヘッドホンで音楽を作るのが苦手なので、THRのAUXにリズムマシンを入力して、リズムを出しながら同時にギターもTHRで鳴らして、曲を作るんです。これならいちいちパソコンを立ち上げなくても作曲できますから。さらに、弾きながら歌も歌ってそれをMTRやスマホで録音することもあります。

●THR10はご自宅で大活躍ですね。 菅原:よく部屋の中を移動させていますよ。でも家だけじゃなくてバンドのリハに持ち出しても結構使えるんじゃないかって思います。それにレコーディングで使うのも面白いんじゃないかな。キース・リチャーズとかクラプトンも小さなアンプでレコーディングしてるらしいし、ちょっとやってみたい気がします。

自分たちでも独自性が再確認できたニューアルバム「BABEL」

●5月10日に9mm Parabellum Bulletのニューアルバムが発売されるそうですね。 菅原:「BABEL」というアルバムがリリースになります。9mm Parabellum Bulletはメジャーでアルバムを出して10年目になるのですが、今回は僕が作詞、ギターの滝が作曲の10曲を収録しました。全曲このコンビなのは1st Album以来なんです。滝は今、ライブのステージは休んでいるのですが、その分作曲にすごく力を注いでいて、ニューアルバムのレコーディングでも僕の弾くバッキングパート以外、すべてのギターを滝自身が弾いています。

●どんなアルバムなのでしょうか。 菅原:このアルバムには9mmらしさが凝縮されていますね。「この音楽は、こいつらしかできないんだな」という独自性があって、初めて9mmを聴いたときと同じような驚きを与えられる作品になったと思っています。自分たちでも、その独自性が再確認できましたし、それを面白がりながら音楽作りができました。

●「BABEL」とは深遠なタイトルですね。 菅原:世界中の多くのバンドや映画監督が「バベル」という名の作品を作っていますが9mm Parabellum Bulletの「バベル」はこれです、と言いたいですね。「バベルの塔」という話は、天に届く塔を作ろうとして神の怒りに触れ、人間が散り散りになってしまうという結末ですが、何かを作る意志、何か成し遂げようとする意志は、僕たちがアルバムを作っている時の気持ちにフィットしていました。僕たちの曲には、100%前向きなメッセージはないかもしれないけど、もし聴いてくれたなら、その人が元々持っているエネルギーを呼び起こすような力があると思っています。

●最後にTHRを読者にオススメするとしたら、どんな点がいいと思いますか。 菅原:THRのいいところは、エレキを弾くときに構えなくていいところ。大きなアンプにつなげて弾くのって、ちょっと構えちゃうじゃないですか。僕は家ではケーブルをTHRに差しっぱなしにしてあって、電源を入れたらすぐギターが弾ける状態にしてあります。みなさんもそうやって気軽に弾いて欲しいですね。それと普通のアンプって自分の好きな音にすると大きな音になってしまうこともあるけど、THRなら過激な音でも小さな音で楽しめる。家で弾くのにピッタリなので、オススメです。

(取材:2017年3月)

プロフィール :菅原卓郎(すがわら・たくろう)

2004年に結成され、2007年に初のワンマンライブを行ってメジャーデビューを果たしたロックバンド9mm Parabellum Bulletのギター&ボーカルを担当。多くの曲で作詞を行っている。ステージではマーシャルを愛用。9mm Parabellum Bulletは2017年5月に7th Album『BABEL』をリリースし、6月にはホールツアー「9mm Parabellum Bullet “TOUR OF BABEL”」を開催する予定。

9mm Parabellum Bullet Official Site: http://9mm.jp/

7th Album「BABEL」 2017.05.10(水)発売