春日部共栄高等学校(埼玉県)

CLARINETS Spirit of Yamaha Clarinets

全日本吹奏楽コンクール金賞校に聞く!短時間でサウンドを創り上げた春日部共栄の上達の秘訣

進学校としても知られる春日部共栄高校の吹奏楽部。授業時間が長いため、必然的に短い部活動の時間内で、効果的に練習しなければならないという。そんな全国の学校が抱える悩みを克服した同校が、トップバンドとして活躍できる理由はどこにあるのだろうか。

この記事は、月刊誌「バンドジャーナル」2007年12月号~2009年4月号に掲載された内容を一部改定して転載しており、取材当時の内容になります。制作:音楽之友社

自由曲に邦人作品を積極的に取り上げて、全国大会3年連続出場という偉業を果たした埼玉県の春日部共栄高校吹奏楽部。顧問の都賀城太郎先生のモットーは、「全員が明るい音で鳴らすこと」ということで、合奏のサウンドだけでなく、部員のみなさんの表情も実に明るい。
同校は中高一貫教育で、中学生を合わせると現在では160人近くいる吹奏楽部も、都賀先生が赴任した27年前は、部員がたった1人からのスタートだったそうだ。

勉強と部活の両立を高いレベルで果たす

春日部共栄高校吹奏楽部 顧問 都賀 城太郎先生の写真
春日部共栄高校吹奏楽部 顧問
都賀 城太郎先生

進学校としても有名で、ゆとり教育の弊害が叫ばれる昨今、授業は平日は7時限目まで、土曜日も行うというなか、部活動をしなければいけないという。取材当日もそうだったが、日曜日にも合奏練習が入るそうだ。
しかし、興味深いことに、同校は練習時間が短くなってから、全国大会に出場するようになり、さらに部内の一流大学への進学率も上がったのだという。

「今まで練習してきたことを短い時間でやるにはどうしたらいいのか、子供たちが必死に考え始めたのが良かったのかもしれません。3年生は、合宿で移動するバスの中で勉強したり、練習のあとに居残りしたり、かなり必死にやっています。そういう姿を見た他の生徒も『頑張らなければ』という気持ちになるのでしょう。昨年は、元部長が東大、前部長が早稲田大に合格しました」(都賀)

吹奏楽の練習法も受験勉強に似ている。合奏上達の秘訣を都賀先生に聞いてみた。
「上達に近道はありません。コツコツと積み重ねていくしかないので、いかに重箱の隅を突くことができるかだと思います。音の長さや音色などにこだわりながら、ゆっくりとしたテンポで練習すると、どこかで歪みが出てくるので、それを取り除いていくしかないですね」

楽器をそろえることで練習の効率も上がる

春日部共栄高校吹奏楽部 練習風景の写真
春日部共栄高校吹奏楽部 練習風景の写真
金管楽器もヤマハで統一。チューバはブリティッシュタイプのEバスとBバスを使用している。「いろいろやってみた結果、チューバよりもこの楽器のほうがバンドのサウンドが良かった。最初は、銀メッキのBバスは生徒にとって鳴らしにくかったのですが、力任せではなく自然に吹くと、バンド全体の倍音が豊かになるんです」

バンドのサウンド創りも、入学から卒業までの2年半という短い期間でいかに良い結果を出すことができるか、という視点で工夫しているという。そのためには、癖がなく、全員が同じモデルの楽器を持つことも1つの方法だそうだ。「昔はさまざまなメーカーの楽器を使っていたんだけれど、あるとき、各メーカーの楽器を用意して、ホールで吹き比べをしたんですよ。そうしたら、ヤマハの楽器が断トツに良い音がした。僕が個人的に好きな明るい音がして。生徒たちも、吹きやすさが全然違うと言うんです。これまで僕は、いったい何にこだわっていたのだろうと思って、その後すべての楽器を一気にヤマハにしました」

特に、大勢でユニゾンを吹くクラリネットセクションの場合、全員が同じモデルの楽器を使ったときの効果は絶大だったと都賀先生は続ける。
「全員が同じモデルを使うと、サウンドはまったく違うんです。コンクールで地道な練習を積み上げてくると、1本楽器が違っても違和感を感じる。だから、うちでは楽器だけでなくマウスピースやリガチャーまで統一しています。皆が同じ条件だと、奏法による問題の原因もすぐに突き止めることができますね」

さらに、セクション全員が同じモデルを使うことによる、教育的なメリットも少なくないという。
「上級生が同じモデルを使っていれば、その楽器の癖をよく知っているわけですから、替え指など、こういうふうにすると合うよとアドバイスをしやすい。それを伝統として受け継いでいけば、システム化できるのでやりやすいんです。うちの場合、中学生や下級生のバンドもあるので、上級生がアドバイスするときに本当に楽になるようです」

こうした指導の傍ら、大学院に通って作曲を勉強した都賀先生の、バンドの響きに対するこだわりは半端ではない。真島俊夫の《三つのジャポニスム》を演奏したとき、「どうしても祭りの雰囲気が出ないから」と生徒と青森までねぶた祭を見に行き、夜行で帰ってきたそうだ。「今、若い作曲家がとても良い曲を書いているので、そういう作品を積極的に取り上げていきたい。」
こう語る都賀先生が率いる同校のバンドからは、これからも目が離せない。

春日部共栄高校吹奏楽部 クラリネットパートの写真

クラリネットパートに聞きました!

パートの魅力は? と聞くと「仲が良いこと!」と即答。笑顔がなんとも爽やか!
「月に1~2 回は外部の先生に見てもらっていますが、普段は自主的に練習しているので、みんなが同じモデルを使うことで替え指が共通するので便利です。音程の癖も同じなのでユニゾンも合わせやすい」
「ヤマハの楽器は、低い音から高い音まで自分が出したい音を敏感に音にしてくれるところがいい。明るく響きやすいので、セクションでハーモニーがとても合わせやすいです」

春日部共栄高等学校吹奏楽部

埼玉県春日部市にある中高一貫の私立校。文武両道を唱えて学業に熱心に取り組むと同時に、部活動にも力を入れており、野球部の甲子園における活躍もよく知られている。都賀城太郎先生が赴任した同校設立の翌年には、部員1人からスタートした吹奏楽部も、現在は160人を抱える大所帯に。第一線で活躍する作曲家に委嘱するなど、邦人作品に積極的に取り組む。独自の明るい「春日部共栄サウンド」を売りにしたスタイルで、06年には全日本吹奏楽コンクール3 年連続出場という快挙を達成。07年にはシドニーでのオーストラリア国際音楽祭に出場し金賞受賞。

春日部共栄高等学校公式ホームページ別ウインドウで開きます

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