企業ネットワークの「VPN」と「VoIP」を推進
IP電話やTV会議システムに最適なショートパケットの
ルーティング性能を強化した「ヤマハRTX1500」

イーサアクセスVPNルーター
RTX1500
希望小売価格<税込>207,900円
(本体価格 198,000円)発売中
企業ネットワークのブロードバンド化を推進するヤマハから、VPNルーターの新製品「RTX1500」が発売された。これは、今夏の『Networld + Interop 2004 Tokyo』で、コードネーム「X3」として参考出展された製品。次世代の企業向け拠点ルーターとして、登場が待たれていた。インターネットVPNをはじめ、IP-VPN、広域イーサネットなどあらゆるシーンで活躍するルーターとして、発売前から多くの注目を集めていたが、果たしてどのようなアドバンテージがあるのだろうか?
今までの長所を継承しつつ新機能を付加
ヤマハの新製品「RTX1500」は、製品群の中では、高速化技術のファストパスやGUI機能で人気の高い同社のルーターの上位機種に当たる。ヤマハでは、RTX1500を拠点ルーターと位置づけているが、VPN設定可能数(IPSecベース)最大100、設定経路数最大20,000といったスペックから見ても、中小規模のセンターでも十分に活用できる高機能ルーターと言えるだろう。
RTX1500の新機能としてまず挙げられるのが、ヤマハ独自のQoSアルゴリズムの「Dynamic Traffic Control」を搭載したこと。情報系と音声系のデータが利用する帯域を動的にコントロールするこの新技術により、これまで以上にブロードバンドの有効活用を実現した。もう一つが、ショートパケット時のルーティング性能を大幅に強化したことだ。IP電話やテレビ会議システムなど、ブロードバンド環境に合わせた新たなアプリケーションの浸透に伴い、音声や映像といったリアルタイム性が要求されるデータが必然的に増えてきている。つまり、こうしたリアルタイム系のアプリケーションを高い品質で運用するには、通信時に発生する短いデータパケットを効率よくやりとりできることが重要なのである。
また、回線自動バックアップ機能をはじめとするRTXシリーズの信頼性も継承。ISDN、専用線からインターネットVPN、さらにIP-VPNや広域イーサネットなどの閉域網まで、さまざまな環境に対応できる点も特徴だ。ミッドレンジルーターとしては余裕のあるスペックとどのような環境にも対応できる柔軟性を併せ持つルーターに仕上がっている。
ルーター選びの新たなチェックポイント「双方向でのスループット」
企業ネットワークもブロードバンドがあたりまえとなった。回線の広帯域化にともなって、その上のアプリケーションも多様化してきている。特に音声や映像といったリアルタイム性重視の傾向が顕著であり、パケットがより細分化される方向に向かっている。
それにより、ルーターに対してもこれまでと違ったニーズが出てくる。通信特性として、広帯域になるほどショートパケットのルーティング性能は低下する傾向がある。ロングパケットに比較して、細分化されたパケットは管理ヘッダの比率が高くなるため、スループットが出にくくなる。ブロードバンド環境になってもその特性がボトルネックになってしまっては、せっかくの広帯域を生かせない。また、IP電話やTV会議などでは、これまでの片方向だけでなく双方向のスループットも重要になってくる。双方向アプリケーションの拡大とともに、ルーターのチェックポイントも当然変わってくるはずだ。
そこでヤマハでは、従来の考え方とは違ったルーターの性能の見方を提案している。それは、双方向でのショートパケットのスループットにフォーカスして、能力を測ろうというものである。具体的に見てみよう。RTX1500のカタログに右のような表記がある。
※SmartBitsによる測定値
これは、100Mbpsのネットワーク環境で64バイトのショートパケットをどのくらい送ることができるのかを示したものである。片方向の場合の 144kppsという数値は、1秒間に64バイトのパケットを144,000個処理できるということを表している。同じ環境での理論値のMAXはおよそ 150kpps。つまり、最大値の97%の利用率を実現している。双方向の場合は、238kppsで回線利用率が80%。ちなみに理論値のMAXは片方向の倍の約300kppsになる。
ルーティング性能を低下させるショートパケットを伝送し、それも双方向で理論値の80%まで利用可能というのは驚くべき数字と見ていいだろう。これはRTX1000の3倍の性能である。この性能強化が大きなポイントであることは間違いない。また、このような観点でルーターの能力をチェックするというのは、非常に実利的で有効だと言えるだろう。
RTX1000のスループットと理論値(RTX1500目標値)

ヤマハ独自のQoSアルゴリズムで広帯域を有効活用
IP-VPNや広域イーサネットといったブロードバンド回線を多くの業務アプリケーションが利用する場合、ある程度の通信ルールがなければどんなに広帯域であっても、回線サービスとしての品質が下がってしまう。そこでフォーカスしたいのが、QoS(Quality of Service)機能である。
ネットワークの通信品質を制御するQoSには、主にパケットの送出順序を制御する優先制御と送出帯域を制御する帯域制御がある。優先制御では、データ内容によって優先順位を設定できる。例えば、基幹系/VoIP系のデータのプライオリティを上位に設定すれば、他よりも優先して送出されるのである。ただし、プライオリティの低い場合はデータパケットが破棄される可能性もある。
一方の帯域制御は、複数のデータごとにそれぞれの保証帯域を設定するもの。いわば専用部分を作るようなものである。一定の帯域が確保されるが、設定によってどのデータにも使われない無駄な帯域ができてしまう。回線の有効利用という点から見ると、どちらも一長一短がある。その両方のメリットを強化したのが、ヤマハ独自のQoSアルゴリズムであるDynamic Traffic Controlである。
技術的な概略を見てみよう。帯域分割と同じように保証帯域と上限帯域を設定できる。保証帯域内では、プライオリティの高いデータが優先される。例えば、情報系の保証帯域を設定すれば、基本的にその帯域は情報系による利用が最優先となる。一方、それぞれの保証帯域外の部分が出てくる。これが余剰帯域と呼ばれる部分で、この帯域は必要に応じて自由に使うことができる。専有部分に対するフリースペースのようなものだ。もし、余剰帯域でいくつかのデータが重なるような場合には、お互いに動的に配分し合うことになる。つまり、パケットロスは起こりにくい。
さらにおもしろいのは、もし利用されていない保証帯域があった場合、そこを自動的に利用する機能もあるのだ。空いているところは有効活用しようということである。例えば、基幹系/VoIP系がほとんど利用されておらず、情報系が上限帯域以上のデータを流していた場合、自動的に基幹系/VoIP系の帯域も利用することが可能だ。もし、基幹系/VoIP系が利用を始めたら、保証帯域の利用は自動的にそちらに移行していくことになる。
Dynamic Traffic Controlは、空いている帯域を融通し合うことで、伝送の効率化を図ろうというコンセプトから生まれた。その結果、ショートパケットでもロングパケットでも効率よく転送できるようになった。その中でも、ブロードバンド環境でのショートパケットのスループット値の高さは特筆に値する。また、どんなに広帯域回線でも様々なアプリケーションで共有していけば、専用機でシェーピングしたりする必要も出てくるだろう。それを見越した技術でもある。
RTX1500の帯域制限(性能例)

このような音声・映像を念頭に置いたQoS機能も、今後のルーターに必須なスペックとなるだろう。
RTX1500は『進化するルーター』を標榜するヤマハらしい、次世代型のルーターだと言える。