株式会社イード

「見える化」効果は絶大!……ヤマハの無線LANアクセスポイントを導入

Wi-Fiに接続するデバイスが増え、APや無線LANルータが増えてくると、チャネル干渉や混雑により接続が安定しないこともある。

RBB TODAY編集部の母体で、いくつものWebメディアを運営するイードでも、社内のWi-Fiがつながりづらい、速度がでないといった問題に悩まされていた。この状況を改善すべく社内向け無線LANアクセスポイントのリプレースを行ったところ、かなり効果があったという。導入した機器は、ヤマハの「WLX302」という業務用AP(アクセスポイント)製品だ。

導入前の課題

障害原因が特定できずやむなく手動リブートしていた

 リプレース効果の説明をする前に、それ以前のイードの状況を簡単に説明しておこう。これまでは、RBB TODAYの他、レスポンス(自動車)、INSIDE(ゲーム)、リセマム(教育・受験)など複数メディアの編集部やその他の部署が入っているフロアに2台のAPを設置し、会議室などが入る別のフロアに3台、合計5台のAPを設置していた。

 このころの状況をイード 情報システム部 馬場淳一氏に聞くと、「オフィスにもスマートフォンが増え始めた2010年ころから、つながりにくい、遅い、切れるといった問題が頻発するようになりました。このとき、編集部のあるフロアでは60~70台くらいのデバイスが2台のAPに接続されているような状況だったと思います。つながらないといった症状がひどくなると、APが反応しなくなるので手動でリブートしていました。リブートするとしばらくはよくなるのですが、同じ症状が発生すると、リブートの繰り返しです」。60~70台という接続台数は、APが正常に動作しているときの台数で、反応しなくなるとモニタリングできない、ログが保存されていない状態となるため、障害の細かい分析もできなかったという。

 会議室フロアでも似たような状況が発生しており、打ち合わせやプレゼンで社内の無線LANを安定して使うことができないため、わざわざスマートフォンのテザリングでWebに繋ぐスタッフもいたそうだ。

 情報システム部 杉山晴彦氏は、 「昔は編集部の数も社員数も少なく、無線LANを使うのは一部のノートPCと限られていたため、MACアドレス認証で接続する端末を制御できました。その内にノートPCやスマートフォンが増えてきて、認証をRADIUS認証に切り替えました。しかし、当初導入した製品のRADIUS認証にファームウェアのバグがあったり、それに対応しても、単純に端末増加に対するAPのパフォーマンスの問題がいかんともしがたくなってきたため、新しい機器にリプレースすることを決めました」と説明する。

株式会社イード

杉山氏

株式会社イード

馬場氏

Interopで気になる製品を発見

 ヤマハの業務用AP WLX302を導入した選定ポイントについては、「2013年のInteropの会場で、各社のAPのスペックやスループットを比較していた展示があったのですが、そこで高い性能を出していたのが、ヤマハともう1社の製品でした。ヤマハ製のルータやAPは以前にも使ったことがあるのですが、ファームウェアアップデートやサポート体制が良かったことと、WLX302の“見える化”の機能にも惹かれて決定しました」(馬場氏)という。

 通常、APのスループットは端末とAPが1:1で接続された最大値で表示されるが、単純計算で、端末が2台なら半分、10台なら1/10になってほしい。例えば最大スループットで300Mbpsの製品があったとする。このAPに10台の端末が接続した場合、1台あたり30Mbpsの速度がでてほしいが、現実は理論値どおりにはなない。しかし、WLX302は1台あたりのスループットが比較データの中でも高いものだったという。

 WLX302のスペックを確認しておくと、搭載されるプロセッサはARM系のCPUで1.2GHzクロックで動作する。RAMは256MB、フラッシュメモリも256MB搭載し、ドライバソフトも1台あたりのスループットが落ちないように最適なチューニングが施されているとのこと。

 APとしてはオーバースペックともいえる設計になっているのは、スループットなどパフォーマンスのためだけではない。機器の管理、設定、運用をサポートするための管理画面やアプリケーション機能、つまり機器の「見える化」のために必要なスペックでもある。

 以前のシステムでは、機器が反応しなくなるトラブルの際、APの状況がモニタリングできず、ログもうまく残っていないことが多く、トラブルの原因究明が完全に行えなかった。WLX302は稼働中のAPについて、チャネルの利用状況やトラフィックのグラフ表示の他、接続されている端末のリンク速度、接続状態、再送率、CRCエラーなどが細かく確認できる。

 また、ログ機能には、特定の状態をイベントとして登録して記録する機能もある。例えば、CRCエラーの発生率が40%を超えたらワーニングを上げてログを残す、というような設定ができる。見える化は、「障害やトラブルの原因をつかむためには絶対必要な機能」(馬場氏)とのことだ。

導入の成果

手動リブートから解放され、モバイルデバイスも個別管理が可能に

 WLX302を稼働させた結果、実際に効果はあったのだろうか。杉山氏によれば「まず、APが反応しなくなる問題はなくなりました。手動でAPをリブートして回るような作業からは解放されました。複数接続でスループットが損なわれないパフォーマンスを重視した結果だと思います。また、クレームや障害が上がってきたときも、APの問題なのか、端末の問題なのかを管理画面ですぐに確認できるので、問題の特定や対策がやりやすくなりました」と、状況改善の効果を説明する。さらに、イベントログなどと併用して分析すれば、時間的な問題や場所的な問題の特定もしやすくなるそうだ。

 また、WLX302には、リンク速度によって接続するチャネルプロファイルを設定する機能もある。Wi-Fiは規格や認証マークの規定から、リンク速度が遅くても接続させなければならないため、一般的なホットスポットやAPの設定はどんな端末も分け隔てなく接続しようとする。しかし、混雑具合や電波状況によって遅い端末の接続を制御できれば、混雑緩和やつながったが安定しないといった不安定な接続を減らすことができる。

 例えば、1Mbps以下のリンク速度しかでないようなら、その端末は接続させないといった制御が可能となる。オープンなサービスではやりにくい制御だが、オフィスの無線LANなら運用でカバーできる範囲だろう。この設定は2.4GHz、5GHz両方について設定できるようになっている。

 さらに、「管理画面の各種機能も便利ですが、コマンドラインのサポートもありがたい部分です。パラメータの設定変更など、同じような操作を繰り返す場合、マウスでクリックしたりキーボードで値を入力したりが大変ですが、コマンドラインが使えるとバッチ処理が可能なので助かっています」(馬場氏)と、Telnetによるコンソール画面へのログインができることも評価ポイントとして挙げてくれた。

 この他、管理画面で設定しているAP本体がどれかを判別する「ここです」機能も特徴的。管理画面上の「ここです」ボタンをクリックすると、設定中のAPのLEDが点滅する。これは本体設置、レイアウト変更、メンテナンス、展示会などでの設置やデモに便利な機能と言えるだろう。

今後はAD連携や端末管理機能に期待

 今回のAPリプレースで、一定の導入効果はあったようだが、課題や今後に期待する機能などはないだろうか。「弊社ではNPSサーバをRADIUSサーバとして利用していますが、ActiveDirectoryと直接連携できれば導入する際にハードルが下がります」(馬場氏)。「Interopで参考展示されていた、デバイスのプロファイル設定など端末管理機能はよいと思ったので早く試したい」(杉山氏)との声があった。

 次のアップデートでは、無線LANコントローラー機能、範囲指定型自動チャンネル選択機能、 自動チャンネル変更機能、電波出力自動調整機能、WDS機能などが追加されるという。例えば、無線LANコントローラー機能では、最大16台(1台をコントローラーAP、15台がメンバーAP)のWLX302をひとつのグループとして、制御や管理を行えるようになる。グループ内の接続端末情報もコントローラーAPで一覧できるようになるなど、複数台の運用・管理が簡単になるだろう。

 なお、ヤマハのサポート体制では、ファームウェアのアップデートは原則無料で行われる。ActiveDirectory対応や端末管理機能も含め、今後のアップデートにも期待したい。

導入会社様

株式会社イード

株式会社イード
本社 東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル28F
URL  http://www.iid.co.jp/

外観

メール

ご相談・お問い合わせ