Z SPACE

【Z BLOG】フジイヒロキ:「インターナショナル・トロンボーンフェスティバル」その2

  • 前回のブログに引き続き、7月にスペイン・バレンシアで行われたインターナショナル・トロンボーン・フェスティバルについて書かせていただこうと思います。



    イベントは4日間に渡り、朝の9時から深夜2時頃まで、
    クラシックのコンサート、ジャズのライブ、ワークショップなど、とても盛り沢山でした。



    http://itfvalencia2015.com/planning/



    全てレポートすると、恐らく2年分くらいのブログが書けてしまうので(笑)、
    ここではヤマハとも縁のある2人のアーティストに絞って書かせて下さい。



    まずはワイクリフ・ゴードン氏(http://jp.yamaha.com/products/musical-instruments/winds/trombones/artists/wycliffe_gordon/)。
    この方はYSL-891Z、僕も使用している897Zの監修者でもあり、5年前、ヤマハ企画のイベントで共演させていただいたり、
    ジャズライフという雑誌のインタビューで対談もさせていただきました(写真はその時のモノです)。







    彼が伝えている最も大切な点は、「歌う事」だと思います。
    音程や発音(タンギング)なども全て歌えるようにし、それをトロンボーンで再現しているという感覚でしょうか。
    実際ワークショップの中でも、メロディアスエチュードというクラシックで有名な教則本(元々は声楽用です)を使用し、まず歌い、例えばF Majorのような簡単なキーの曲をEやF#に移調して演奏するというような事をやっていました。
    これにより、楽器そのものでの表現力や、即興演奏での自由度が増す事になります。



    彼はライブの中でもスキャット(声)で即興をします。
    プランジャーを使った演奏もまるで声のようだし、繊細な部分から豪快な部分まで、全て歌の延長線上で表現されていて、なおかつトロンボーンという楽器の可能性を最大限に引き出し、探求し続けているように感じました。
    写真はスペインのビッグバンドと共演した時の様子ですが、5年前に共演させていただいた時に自分が吹いた曲なども聴けて嬉しかったです。







    もう1人はアラン・トゥルーデル氏(http://jp.yamaha.com/products/musical-instruments/winds/trombones/artists/alain_trudel/)。
    カナダ人で、モントリオール交響楽団の首席奏者だった方なのですが、ジャズ奏者としてCDも出しています。
    ジャズのフィーリングも出せるクラシック奏者はたくさんいますが、即興演奏まで完璧にこなす奏者を僕は彼以外には知りません。







    そんな彼だけに、ワークショップにはジャズ、ポップスからのアプローチが多く使われていました。
    タイムキープの話の中で、リズムマシーンを例にしてボイスパーカッションのように歌ったり、レガートの表現を、ドラムがスィングのリズムで使うライドシンバルのレガートを例にしたり、前述の(クラシック奏者のための)メロディアスエチュードよりも、(ジャズ奏者によって書かれた)ビル・ワトラス氏のエチュードの方が(彼にとっては)ためになると話していたのがとても印象的でしたね。



    それから、彼は「ウォームアップの最初の方で低音は出さない」という話をしていました。
    実際多くの教則本は、中音FやチューニングのBbから始まり、低い音へ行くように譜例が書かれているし、吹奏楽部などでも「ちゃんと低音から出していかないと高音は出ない」と教わった方も多いかも知れません。
    でも、彼の場合は中音域の後、まず高音にいってから低音にいくそうです。



    この点は僕もずっとそう感じていたのですが、それをワールドクラスのアーティストから直接聞く事ができ、
    「やはりそれで良かったんだ!」と、少し心が晴れた気分になりました。



    つまり、楽器演奏において「こうしなければいけない」という一通りのアプローチしか存在しないという事はあり得ないという事ですね。
    これは、全ての演奏者、指導者が常に意識しておくべき大切な考え方だと思います。
    彼のような「発想の柔軟さ」が、ジャンルに関係なく素晴らしい音楽を生むのだと実感する事が出来ました。



    このような密度の濃い内容が、4日間、朝から晩まで繰り広げられ、参加費はたったの250€(ユーロ)、日本円では3万5千円くらいでしょうか。
    都内の有名ライブハウスに来日中のジャズアーティストを聴きに行った場合、軽く1万円にはなってしまうと思うので、このイベントがいかにリーズナブルかが分かっていただけると思います。



    イベントの後、1日バルセロナに泊まり、世界遺産の「サグラダ・ファミリア」などの観光もする事が出来たのですが、恐らく宿泊費や交通費を入れても20万円かかっていないと思います。



    今はYoutubeなどでも世界中のアーティストの演奏を聴く事が出来ますが、『生演奏』に勝るものは絶対にありません。
    管楽器を職業とさせていただいている立場の人間としては、やはりこれを伝えていく使命があると思っています。



    現地に足を運ぶ事で、そこで生まれた言語、宗教、食などに直接触れ、より音楽への理解が深まり、違った文化や価値観をリスペクト出来るようになります。
    プロの方や、プロを目指す若いプレイヤーの方にも、もっと海外に出てみて欲しいなと思いますね!!







    ページトップへ戻るReturn to Top

    関連リンク

    • Yamaha Wind Instruments
    • Yamaha Percussion
    • Yamaha Strings
    • Yamaha Saxophone Camp 2015 in つま恋