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2015年ロン=ティボー国際コンクール第3位をはじめ、コンクールやリサイタルで活躍の期待の俊英・實川風が等身大の「今」を書き綴ります。(毎月1日、15日頃更新。※更新日は、都合により前後する場合がございます。)

No.24ダシの極みおでん。(ピアニストの個性) - 最終回

2016.02.08更新

皆さま、こんにちは!
こちらでのweb連載、最終回です。
毎度とりとめのない内容でしたが、一年間読んで下さってありがとうございました!!

今までの23回を振り返りますと…

 

タイトルから中身が想像できない

 

これに尽きるかと思います。

考えてみれば、僕はそういう曲が好きなのです。

サティの曲にある訳わからない指示とか、
(最強にオススメは、『ナマコの胎児』。特に2曲目、「シューベルトの有名なマズルカのように」と書いておきながら、明らかにショパンの葬送行進曲のパロディで、そのパロディっぷりが激ウマです笑)
ショスタコーヴィチのピアノ曲で『警句(アフォリズム)』という曲集がありますが、これも「ノクターン」と書いておきながら、「既成概念をぶち壊す」感満載で面白いですし、バッハがお好きな方は、プロコフィエフの狂ったような『アルマンド作品10-7』をぜひ聞いてみてください〜。

こういう曲は、パロディ元をしっかり捉えていないと皮肉れないので、なかなか作曲者の真意を音にするのは難しいです。

というか、よく考えたらショパンも型破りな「スケルツォ」を書いているし、リストも斬新な形の「ソナタ」を書いているし、既成概念を破ってきた人たちが現代まで残ってるといっても良いですよね。

 

話は変わりますが、僕自身が考える理想の「演奏家像」と言うのは、実は『作曲者の代弁者』というスタンスなのです。

演奏家の役目とはなんぞや、と考えるんですが、やっぱりクラシックが他のジャンルの音楽と違って特殊なのは、「作曲家が書いた音符」をカバーし続けていることにあると思います。
なので、「演奏家の個性」とよく言いますが、作品に寄り添った上で、それでも滲み出てくる人間性がその人の個性なんじゃないかな、と思います。

アラウもとんでもない個性があるのに常に作品に寄り添ってますし、フランソワは「作曲家なんてどうでもいい」みたいな発言をしているのにも関わらず、天性のセンスで作品に込められたものを全部音にしているように思います。

(ということで、「個性的」と評価されている人でも、作品に寄り添って生まれたものではなく、色々なことを無視しているように感じるピアニストは個人的には苦手です^^;)

曲によっては、自分が十分に作品と一体になるのが難しいものもたくさんあるのですが、常に作曲家の意図したことやコダワリを再現できるようにいたいな〜と思っています。

 

そんなわけで、今生きている作曲家が作った曲や新作などは、作曲家と同じ時代を生きているので「何からイマジネーションを得たのか」というのが想像しやすいし、自信も持てるので、演奏するのが好きです!

CDに入れさせていただいた「メリーゴーランドの光」を書いたジャン=フレデリック・ヌーブルジェは僕よりもほんの少し年上ですが、そこで使われている音は僕たちが聴き慣れている電子音やドラムのリズムをもろに感じるもので、クラブミュージックの影響まで感じます。

それと現代曲のイディオムが絶妙に混じって、本当に面白い音響の一曲です。

3/17の銀座ヤマハホールでのリサイタルで実際に演奏するので、もしリサイタルにいらして下さる方は、そのリズムや音響を楽しみにされていてください^_^

 

最後になりますが、作品の魅力を全て音にできるよう、聴いている方にお伝えできるよう、これからも頑張っていきたいと思います。
数十年後に、「色んな具材のダシが沁みわたったオデンの大根」のように味わい深い演奏ができればいいなあ。笑

まずは3/17のリサイタルを頑張ります!
これからも応援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

p.s.
ピアニストラウンジのインタビューコーナーにインタビュー記事が掲載されました!
合わせてご覧ください♪  

p.s. パート2
ちなみに、ダシの極みおでん の元ネタになってる某バンド、騒動ののちにyoutubeで初めて聴いてみたのですが、なかなか良いなと思いました。
曲も細部まで凝っていて、全体の構成も次を予想させない感じで工夫されてるし、歌詞と音楽のマッチ具合も素敵で、ちょっと好きになりました。笑

あと、僕の好きな言葉は
『真の独創性は普遍性の海の中でしか発見されぬ真珠である』です。

本当に独創的なものは、平凡じゃないのに多くの人に受けいられる魅力を持ってるということでしょうか〜。
理想の境地です。

p.s. パート3
おでんで一番好きなのは大根です。
卵は、硬く茹でられた卵自体があまり好きではありません、、
おでんのこんにゃくみたいな演奏も味わいありますね。
それか、堂々と佇むさつま揚げみたいな王道の演奏もいいかも。

迷いますが、心憎いカラシもついた大根がいいですかね、やはり!

<本日のオススメ動画>

リスト: ペトラルカのソネット 104番  テノール:パヴァロッティ

ゲスの極み乙女。 無垢な季節

ギレリス  ラフマニノフ:前奏曲ト短調 作品23-5
風格とエネルギーと品格、この曲の最高の演奏だと思います。

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執筆者Profile

pianist 實川 風

pianist 實川 風
ピアニスト
1989年千葉県出身。東京藝術大学音楽学部首席卒業、同大学院修士課程在籍。2007年ショパン国際コンクールin ASIA一般部門金賞、ピティナ・ピアノコンペティション特級銅賞・聴衆賞。東京ニューシティ管との共演で上海音楽祭に出演。2008名古屋国際音楽コンクール第1位・聴衆賞・ビクター賞・名フィル賞。 第77回日本音楽コンクールピアノ部門第3位。2008年度ヤマハ支援制度奨学生。2011年名古屋名駅ロータリークラブ椿賞。2013年サザンハイランド国際ピアノ・コンクール第2位(オーストラリア)。
これまでに、ポーランド国立クラクフ室内管、東京ニューシティ管、東京フィル、ニューフィル千葉、東響、名古屋フィルとの共演や、同世代の竹山愛(フルート)との共演等、ソロ・リサイタルの他に室内楽でも活躍している。2011年シャネル・ピグマリオンデイズ参加アーティスト。 ピアノを山田千代子、ダン・タイ・ソン、多美智子、御木本澄子、江口玲の各氏に、フォルテピアノを小倉貴久子氏に、室内楽を川中子紀子、伊藤恵の各氏に師事。学内にて、アリアドネ・ムジカ賞、安宅賞、アカンサス賞、大賀賞を受賞。
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※上記は2015年01月15日に掲載した情報です。

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