ピアニスト:国府 弘子  - 国府弘子「ひろこ倶楽部Vol.19」 極上の音空間で、 極上のピアノ・デュオ・ナイトを この記事は2016年10月19日に掲載しております。

毎年開催している「ひろこ倶楽部」は、ジャズ・ピアニストであり、作・編曲家として音楽シーンを牽引し続ける国府弘子さんの魅力が全開する、楽しいコンサート。今回はお気に入りの銀座ヤマハホールで、ゲストに日本ジャズ界の巨匠・前田憲男さんを迎え、二台ピアノを聴かせてくれることになった。

Profile

ずっと「心の恋人」

 国府さんと今回のゲスト前田憲男さんとの出会いは、三十有余年前。
「初めて仕事でご一緒させていただいてから、前田さんは私の『心の恋人』になりました。粋で絶妙のユーモアがある、その音楽センスに惚れ続けているんです。私はクラシックを勉強し、ポップスを経てジャズに入りましたが、前田さんは生粋のジャズ・ミュージシャン。それでいながら、クラシックへの造詣も深い勉強家です。前田さんにお会いすると、ジャズ・ピアニストはかくありたい、といつも思います」
 今年(2016年)6月にはサントリーホールで共演し、改めてその思いを強くしたという。「ジャズピアノ・6連弾」と題したコンサートで、佐山雅弘、塩谷哲、佐藤允彦、小原孝、そしてゲストに前田憲男を迎えた企画だった。

「メンバーはみな名手なのですが、前田さんが核になることで、本当に楽しいものになりました。そして、これからもっと、前田さんと共演する機会を作りたいと思ったんです。前田さんはアンサンブルの極意を知っていて、丁々発止のやり取りの一歩先にある、音楽そのもの喜びを味わうところまで連れて行ってくださる。ステージングではお茶目なところもあって、こう言っては失礼かもしれませんが、可愛いおじさまという感じ。そういうところも大好き」
 前田さんからは「僕の100歳記念コンサートの時には、ゲストに国府を呼ぶからね」と言われているとか。
「そのお言葉だけで十分すぎるくらいに嬉しいです」

会場の人を巻き込んで、
みんなでハッピーに

 会場に選んだのは、国府さんお気に入りの銀座ヤマハホール。2015年にリリースして大好評のアルバム「ピアノ一丁!」も、ここで録音している。
「その録音でも、このホールの良さが証明できたと思います。弾かせていただく度に、ピアニストが幸せになれるホールだと感じます。まさに極上の空間。ちょうど良い具合の響きでピアノが鳴るし、お客様との一体感も感じられる。ステージの上にいながら、お客様ひとりひとりと対話しているような、一対一で向き合っているような感覚が味わえるのです」
 ヤマハホールで弾く時には、必ずヤマハCFXを使っている。
「この楽器も極上だから。CFXとホールとの相性も抜群です。弾きたい音が、次々に湧いてくるのです。自分の思う理想の状態が作られるので、弾いていて心から幸せになれます。聴いてくださる方に音楽によって幸せを感じていただくためには、演奏者が幸せな気持ちで音楽に向き合わないと」
 今回はクリスマスを直前に控えた12月21日のコンサートなので、クリスマス・ソングも入るようだ。
「私のアレンジで、ちょっとひねりも入れつつ、お聴かせしようと思います。前田さんにはガーシュウィンの『パリのアメリカ人』をピアノ・デュオに編曲していただくようにお願いしています。ウィットに富みつつ、聴かせどころたっぷりに書いてくださることでしょう。それと、その場で会場のみなさんにリクエストをしていただき、前田さんとの即興ピアノ・デュオもご披露します。これが果たしてどうなるのか。互いに勝手し放題の『爆笑ピアノ寄席』になっても、ご愛敬ということで。もちろん、それぞれのソロを弾くコーナーも作ります」
 誰もが楽しめるように、というのが「ひろこ倶楽部」の魅力。もちろん今回もその主旨を外さない。
「聴き手を煙に巻くようなコンサートも面白いですが、私の企画は会場の人を巻き込んで、ジャズ・ピアノの楽しさにどっぷりと浸っていただくのが目的。極上の会場とピアノで、極上の『クリスマス・ピアノ・ナイト』を、が今回のテーマです」

歌とピアノだけでもゴージャスに

 今年(2016年)は8月に、ヴォーカリスト・岩崎宏美さんとのデュオ・アルバム「ピアノ・ソングス」リリース。NHKの同名番組での顔合わせの大好評を受けての録音となった。
「同年代で顔見知りなのに、なぜか仕事をしたことはありませんでした。彼女の行きつけの『もんじゃ焼き屋』さんで、ばったり会ったなんてこともあったんですが」
 共演は、岩崎からのオファーだったという。日本全国ツアーも行っている。
「歌とピアノだけの顔合わせだと双方の気遣いだけで終わってしまうことも多いのですが、彼女とはなんでも言い合えて、世界がどんどん広がっていきます。もともと歌唱力のある人ですが、アイドルからミュージカルへ、そして海外へと活動の幅を広げてきた岩崎さん。2人というシンプルな『編成』ながら、音楽は限りなくゴージャスにしようと、頑張っています。ツアーを続けていく中で、彼女は私を心から信頼してくれるようになりました。もちろん私も同じ。次のステージでは彼女から新しい面を引き出してやろうと、いつも考えています。この年齢で、同世代の人と真正面から向き合い、がっぷりと組んで音楽できることは、本当にありがたい幸せだと思います」
 こういった演奏活動に加え、国府さんは平成音楽大学、尚美音楽学園で後進の指導にもあたっている。
「若い人に教えることは、師匠や先輩たちからいただいたものを、次の時代へと伝えていくこと。クラシックを学んできた人たちはジャズ初心者が多い。その人たちに、楽しく奥も深いジャズの扉を開けてもらうのが、私の役目だと思っています」
 だから国府さんのコンサートは、ジャズに馴染みのない人にも大好評。一方で、ジャズ通をうならせる音楽性も十分。今年はぜひ「ひろこ倶楽部」で、極上のクリスマスを過ごしたい。

Textby 堀江 昭朗

※上記は2016年10月19日に掲載した情報です。