ピアニスト:黒田 亜樹  - 水谷川優子リサイタルシリーズ10周年特別企画 豊穣のチェロ年代記<クロニクル>を遡る午後 ~水谷川優子さん・黒田亜樹さんインタビュー この記事は2017年4月13 日に掲載しております。

日本を代表するチェリストの一人、水谷川優子さん。国内外で活躍する彼女がこれまで続けてきたリサイタルシリーズも今年で10周年。公演を控え、共演のピアニスト・黒田亜樹さんとともにお話を伺いました。

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Q1. 毎回オリジナリティ溢れる選曲が注目ですが、今回のプログラムはどのような意図が込められていますか?

水谷川:この度は「リサイタルシリーズ10周年」という区切りを迎え、チェロのレパートリーで「時の流れ」を表現したいと思いました。いま在る姿から過去へ遡る形をとっています。

Q2. このリサイタルシリーズも 10 回目を迎えますが、振り返ってみてどのようなお気持ちですか?

水谷川:年に一度「いま最も音で表現したいもの」をテーマにひたすらに追ってきた気がします。いままで何かを積み重ねることを望んだことはなく、毎回一回限りのプログラムを練ってきました。そうしてその日を迎え、コンサートを「体感」すると次にやるべきことが見えてくる…そのプロセスの繰り返しで、少しずつ自分が目指すものがクリアになって来ました。振り向くと、歩むべく道を進んできた感覚があり、その根底には繋がっているものが少しあるように感じます。

Q3. お互いについて、どのようなアーティストであるとお感じですか?印象をお聞かせ下さい。

水谷川:黒田亜樹さんは私にとって「大地の母」的な演奏家です。彼女の包容力は曲への理解力となり、またそれを聴き手に伝える力がある素晴らしいピアニストだと思います。学校は違うけれど同級生!さらにヨーロッパで影響を受けた恩師を共有することもあってか、揺るがない信頼が根本にあり、その上で自由にさせてくれる有難いパートナーです。舞台で刹那に生まれるインスピレーションを余すことなく分かち合える仲間を得られて幸せに思っています。

黒田:優子さんとともに奏でる時、幼馴染のような安心感があるのですが、実は共演歴はわずか数年なのです。欧州でそれぞれ学んだメソードや師匠に共通性があるからなのか、互いに日本と欧州を年に何度も往復するような旅烏生活をしていて生き方に近いものがあるからなのか、音を鳴らすだけでお互いのアイデアを感じ取ることができるような関係です。いろいろな偶然や必然が重なっての出会いに、本番ごとに感謝しています。

Q4. 昨年に引き続きヤマハCFXを使用されますが、ピアノについての印象はいかがですか?

水谷川:素晴らしい楽器は常に弾き手に音楽上の啓示を与えてくれます。特に5月のプログラムは近代からバッハ以前までと通常のコンサートではあり得ないほど幅広く、ピアノに求められるものがかなり多面的。音色やタッチ、響き、チェロとの対話の上でも、CFXという楽器でないと出来ない、またCFXだからこそ挑戦できることがあるのでワクワクしております。

黒田:昨年の東京文化会館でのリサイタルで、酒井武さんの魔法の調律のCFXからたくさんのインスピレーションをいただき、とても即興的に演奏することができました。ホールと楽器と楽曲と演奏がすべて一致した感覚でした。このようなことはそうそう普段からあることではないので、私自身の中でもとても強烈な印象として残っています。今回も歴史を遡るプログラムとともにあの集中した時間をまたみなさまと共有したいと思い、迷いなくCFXをリクエストいたしました!

Q5. 最後に、コンサートに向けての抱負や読者へのメッセージをお願いします。

水谷川:コンサートは毎回まさに一期一会のライブです。でもこのリサイタルのプログラムはたぶん生涯で一回限り!
文化会館の響きのなかで親愛なるピアニスト黒田さんと魂の深いところで対話することになると思います。
ぜひ皆さまも当日はご一緒に音楽の川下りをお楽しみください!

黒田:プログラム案を見せていただいた時、数人の演奏者でのガラコンサートなのかと思いましたが、なんと二人だけでとてつもない山を登り川をくだるというリサイタルでした。時空をこえた旅のために心と体を鍛えて臨みますので、楽しみにいらしてください。

Textby 編集部