ピアニスト:志鷹 美紗  - 志鷹美紗 ピアノ・リサイタル 公演前インタビュー この記事は2016年9月6日に掲載しております。

桐朋学園大学卒業後にドイツに渡り、ベルリン芸術大学での研鑽の後に帰国し国内で活躍の場を広げるピアニスト、志鷹美紗。最近では演奏活動だけでなく後進の指導にも積極的に取り組んでいるが、そんな彼女が9月17日、東京文化会館にてヤマハCFXを使用してソロリサイタルを開催する。公演前に様々な角度からお話しを伺った。

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Q1: 現在のご活動について教えて下さい。また特にアピールされたい事があればお聞かせください。

桐朋学園大学を卒業後、渡独。2011年にベルリン芸術大学を卒業し帰国してからは、リサイタルを中心とした演奏活動を活発に行ってきました。また、大学の専任講師として後進の指導にもあたっています。

昨年は中国の四川音楽院、今年は韓国の国民大学での音楽祭に出演したのですが、学生のハングリー精神がすごくて、大変熱心に演奏を聴いているのを感じました。日本でも昨年からラフォルジュルネ・オ・ジャポンで演奏させていただいていますが、街に音楽と熱気が溢れ、たくさんの方々に聴いていただけてとても嬉しかったです。

これまでに5枚のCDをリリース。Youtubeも配信しています。
(https://sites.google.com/site/misashitaka/youtube)
そして、6年前から気心の知れた友人たちと続けている、アウトリーチも大切な活動の一つです。子供たちからたくさんのことを学びますし、初めて間近で楽器を見る子供たちのきらきら輝くまっすぐな瞳に答えたいと、いつも一生懸命準備しています。「夢は大きく!」というメッセージを届けています。

Q2: 今回のリサイタルのプログラムの選曲の理由と、それぞれの作品の魅力をお聞かせください。

今年の5月に2枚のCDを同時発売したのですが、まずその中からベートーヴェンの「ワルトシュタイン」を選びました。前半は以前から取り組みたかった「テンペスト」を加えベートーヴェンプログラムに、後半は私が気持ちを素直に表現できるショパンプログラムにしました。

テンペスト。この曲を初めて聴いた時、なんて不思議で魅力的な曲なのだろうと心を捉えた作品の一つです。私はヴィルヘルム・ケンプの演奏がとても好きなのですが、特に3楽章の心に残る耳から離れないメロディー、美しい音色が素敵で何度も古い映像を見て練習しました。

もう一つのワルトシュタインは、ベートーヴェンの生きる力、強さ、エネルギー、いつまでも衰えない向上心、希望、溢れ出てくる思いが伝わってくるような、いろいろなものが凝縮された素晴らしい作品だと思います。最後には第九を彷佛とさせるような歓喜の歌が聴こえてきます。

ベートーヴェンは私にとっていつまでも偉大で尊敬する作曲家ですが、どちらのソナタも2楽章は大変美しく慰めるような音楽から、ベートーヴェンの本当の優しさを感じるのです。

ショパンのファンタジーは、私がピアニストになりたい!という大きな夢を持つきっかけとなったコンクール、ウクライナで開かれたホロヴィッツ記念国際ピアノコンクールのセミファイナルで演奏した思い出の曲です。当時はまだ中学生でしたが、大人になった今改めて感じているこの曲の魅力を存分にお届けしたいと思っています。美しい小品、「子守唄」を挟んで、プログラム最後はアンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ。今までコンクールやコンサートで苦楽を共にしてきた私にとって大切な作品です。ピアノと出会い、夢を持ち、初めてショパンへ抱いた憧れの気持ちを思い出しながら、のびのびと表現したいです。

Q3: ヤマハCFXをお選びになった理由、またCFXに対する印象をお聞かせ下さい。

小さいころから家にあった母のピアノはヤマハC3、そして3年前に新しく購入したピアノもヤマハC3Xで、ヤマハピアノへの安心感はいつもあります。留学時代も、大学の練習室ではヤマハピアノが入っている部屋は一番人気でした。

ヤマハCFXは私の地元広島のホールにもあり、何度か演奏させていただく機会がありました。繊細な音色からダイナミックな芯のある音色まで、頭の中にある音のイメージをしっかり再現してくれる楽器だと感じました。

東京文化会館のヤマハCFXがとても素晴らしいと聞き、是非今回のリサイタルで演奏してみたいと思い、選ばせていただきました。楽器からもらうインスピレーションも楽しみに演奏したいです。

Q4: 今後どのような活動をされていきたいですか?

自分の限界を決めずに、いつも挑戦する気持ちでレパートリーを増やしていきたいです。そして音楽を通してできた人との出会いを大切に、ソロも室内楽もコンサート活動を続けていきたいです。小学校の音楽室のような小さな空間でも、コンサートホールのような大きな舞台でも、一人でも私の演奏を楽しみにしてくださる方がいれば、精一杯の演奏を心がけ、演奏家として成長していきたいです。

留学時代に教えていただいたジャック・ルヴィエ先生は、いつも熱心で丁寧なレッスンをしてくださり、楽譜をよく読むことがとても大事とおっしゃっていましたが、試験やコンサートが近づくと、「レッスンで学ぶことも大事。でも最後には自分の信じた感じた音楽をやるんだよ。それが優秀な演奏家と芸術家の違い。最後は自分の心の中に湧いてくる音楽を信じて演奏することが大事だよ。」と声をかけてくださっていました。それは今も私の胸の中にあります。

Q5: 今回のリサイタルに向けての抱負をお聞かせ下さい。

東京文化会館で演奏するというのは私にとってとても大きく、プレッシャーも感じていますが、私自身がその曲に初めて出会った時の新鮮な気持ちや感動を大切に演奏していきたいです。そして聴いてくださった方々に少しでも何かが伝わり、心を癒したり、前へ進む勇気や希望を与えることができたら幸せです。

また、小さいお子さんや学生さんにも是非聴いていただいて、「音楽ってすごいな」「私もピアニストになりたいな」と思ってもらえる、夢を与えられるような演奏ができれば最高です。

Textby 編集部

※上記は2016年9月6日に掲載した情報です。