日本に一台しかない初期のピアノ、タンゲンテンフリューゲルを所有する「上野学園 楽器展示室」

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上野学園大学 楽器展示室
楽器博物館探訪
日本に一台しかない初期のピアノ、タンゲンテンフリューゲルを所有する「上野学園 楽器展示室」

17世紀から19世紀にかけてヨーロッパで製作された、約150点の古楽器コレクションを収蔵する上野学園 楽器展示室。各時代の音楽に重要な役割を果たした楽器の特徴や、知られざる古楽器の魅力について音楽学部の櫻井 茂准教授にお話をうかがいました。

1963(昭和38)年に国内の音楽大学として初めて、古楽器のチェンバロ専門を設置し、日本の古楽界をリードしてきた上野学園大学。同校の古楽器の収集は1975(昭和50)年から始まり、長いあいだ楽器の面から音楽を研究するために活用されてきましたが、2007年秋、楽器展示室を開設したのを機に一般への公開がスタートしました。

展示室のドアを開けると来場者を迎えてくれるのは、ハープシコード(写真上左)とタンゲンテンフリューゲル(タンジェントピアノ)(写真上中)。タンゲンテンフリューゲルは世界に二十数台しか現存しておらず、日本にあるのはこの一台のみで、2017年春の公開演奏に向けて修復中とのこと。
「古楽器は個体差が大きく、修復のマニュアルもないため、ヨーロッパに残る楽器の視察に行くなどして慎重に作業を進めています。古いクラヴィコードの発音機構と18世紀に発明されたピアノ・アクションを備えたこの貴重楽器の柔和で美しい音色に接する機会を作りたいです」

古楽器の特徴のひとつは、なんといっても豪華な素材や装飾。楽器展示室のガラスケースの中に並ぶのは、響板に絵画、支柱や台座に彫刻があしらわれたペダル・ハープ(シングル・アクション)、管の接続部に象牙の輪がはめ込まれたリコーダー、象牙のふち飾りや獅子頭が施されたバリトン(ヴィオラ・ダ・ガンバに多数の共鳴弦を加えたもの)など、美しい芸術品ばかり。時代の名工が手掛けた楽器は、ずっと見ていても見飽きることはありません。

上野学園大学 楽器展示室」- Web音遊人

(写真左)ペダルハープ、(写真中)リコーダー、(写真右)バリトン

なお古楽器はピリオド楽器(その時代の楽器)ともいわれ、当時の様式そのままの楽器を指しますが、なかには時代の要求によって少しずつ形を変え、現在も使い続けられている楽器もあります。
「例えば現代のフルートにはキイがたくさん付いていますが、18世紀のフルートは指で押さえるトーンホール6つにキイがひとつというシンプルな造りです。そのため、半音を出すには複数のトーンホールを交互にふさいだり、息の当て方(アンブシュア)を加減したりする必要がありました。また、同時期のホルンもバルブが付いていないため、ベルに手を入れたり、吹き込む息の速さを変えたりして音程をコントロールしていたようです」

現代の楽器(モダン楽器)と基本的な構造や発音原理は同じでも、音の制御機構などに違いがみられる古楽器。構造が簡素なぶん、演奏するには高度なテクニックを要しそうですが、櫻井先生によると「モダン楽器よりとっつきやすい楽器もあるのですよ」とのこと。
思ったより身近で親しみやすい古楽器の魅力は、次ページで掘り下げていきましょう。

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文/武田京子

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