街の小さな教会にやってきたフルオーケストラ 燭火礼拝 合唱団Y.N.C. ミニコンサート
下北沢の喧騒から路地を一本入ったところに、その教会はあります。
私たちが下北沢ナザレン教会で初めてバッハの音楽会を開いたのは、2018年の7月でした。
100名程度で満員になる会堂は、お客様との距離がとても近く、反応が手に取るようにわかる緊張感と一体感がとても心地よかったのを、今でも鮮明に覚えています。古い時代の楽器を使って演奏していたので、その珍しい楽器の説明を兼ねて部分演奏し、解説してから全曲演奏する形式は、バッハの音楽が身近に感じられると好評でした。演奏者の規模は当初、歌い手4人と器楽が5人と言う小さな編成でしたが、第3回には管弦楽9名に歌い手が8名で会場規模の限界まで拡大し、4回、5回に向けて夢が膨らんでいきました。
ところが、3回目を終えた直後にあのパンデミックが襲いかかり、巷の音楽活動はプロ、アマを問わずすべて休止してしまいます。2022年に距離をとり換気をしながら集い、隠れキリシタンのように練習を始めた私たちを支えてくださったのもナザレン教会でした。私たちはその年のクリスマスに、コロナ後初めての心ばかりの音楽で感謝を捧げました。それから毎年、この小さなクリスマスの催しが続き、昨年末うれしい事件が起きました。
バッハ好きのクリスマスの定番クリスマス・オラトリオは、あの会堂の半分を埋める管弦楽が必要で演奏不能です。ところが、教会が新しく導入したエレクトーンがとてつもない臨場感でフルオーケストラを再現しそれを実現したのです。一人加わったバイオリンとの相性も抜群で、ナザレン教会での音楽会に大きな可能性を開きました。
ナザレン教会に芽生えたアマチュア演奏家と街の人達の音楽を通じた交流は、日常にちょっとしたハレの時間を作り出し、そこに集った人たちを少しだけ幸せにします。エレクトーンという強い味方を得た「街の小さな教会の音楽会」は、スケールアップしながら、そんな時間を作り続けていくことでしょう。
著/街の合唱愛好家 高内 章
エレクトーン演奏/松田有季乃
2024年12月24日 下北沢ナザレン教会
