せんくらで躍動。圧巻のアンサンブル3公演!第18回 仙台クラシックフェスティバル2024
仙台の秋をクラシック一色に染める音楽祭「仙台クラシックフェスティバル」(以下せんくら)で、今年も神田将さんのエレクトーンが大活躍しました。2009年からほぼ連続で出演してきた神田将さんは、今やせんくらになくてはならない存在と言われています。例年はソロ公演も組まれますが、今年はアンサンブルのみ。それでも共演者の豪華さと、ここでしか聴けないコラボに、日本全国から人が集まりました。
まずは、10月5日の日立システムズホール仙台シアターホール、二胡の姜建華さん、津軽三味線の浅野祥さんとのトリオ。ふたりの音楽性と特長を熟知する神田さんが、面識のないふたりの仲人役となり、選曲や編曲をもしたとなれば、その出会いの瞬間を見逃すわけにはいきません。2弦と3弦、合わせても5本しかない弦から生まれる無限の世界を包み込むエレクトーン。時に激しく、時にしみじみと、伝統曲からオリジナルまで、振り幅の大きなプログラムに会場は熱狂。3人の息がまったくブレない様子に、理解を超えた凄さを感じました。
翌午前、前夜の終演からまだ13時間しか経たない同じ会場に響くのは、バイオリンのナチュラルな音色。メディアでもお馴染みのバイオリニスト廣津留すみれさんとの公演は、発売初日に完売。それもそのはず、クラシック音楽祭でありながら、映画、アニメ、ゲームとエンタメ色の濃い内容に、せんくらに縁のなかった層からも期待が寄せられました。有名な旋律が会場を包み、楽しく時間が過ぎてゆく中、終盤には聴き応えのある「カルメンファンタジー」を据え、クラシックの魅力を色濃く余韻に残すところなど、さすがです。神田さんとのトークもまた爽快。とても初共演とは思えないまとまりのよさでした。
同日の夕刻は、交流ホールでピアニスト青柳晋さんとのラフマニノフ尽くし。前記の2公演がエレクトーンらしさ全開のマルチ対応だとすれば、こちらは真のクラシックにエレクトーンが耐えられるかを試される内容で、聴き手にもその意味を念頭に心して聴こうという姿勢が見られました。青柳さんが「鐘」を重厚に奏で、続いて神田さんのオーケストラ版「ヴォカリーズ」が哀しみを唱えると、同じ鍵盤楽器でもこれほど味わいが違うものかと、会場全体が深く感じ入る雰囲気に。デュオによる組曲「ワルツ」と「パガニーニの主題による狂詩曲」は、2台のスーパーカーのカーチェイスのようでもあり、ブルーインパルスの編隊飛行のようでもあり、深淵にして華麗な男の世界を見せてもらいました。
この3公演が24時間の内に行われ、それぞれが何カ月も丹念に準備されたような完成度でありながら、実は短時間で集中的に練られたことを知っていたので、プロの仕事とはこういうものかと、まさに度肝を抜かれました。私はフォトグラファーとして活動し、神田さんのステージ写真を撮るうちに、舞台裏の世界にも興味を持つようになりました。本物の音楽家たちから刺激を受け、私の写真がどう変化していくのか、心からワクワクしています。
著/フォトグラファー 上田海斗
エレクトーン演奏/神田将
Photo/KAITO UEDA
2024年10月5日・6日 日立システムズホール仙台 シアターホール・交流ホール

