さいとうりょう
D-DECKやSTAGEAカジュアルモデル、PAシステムを持参して、さまざまな会場で多彩な音楽活動を続けるさいとうりょうさん。ジャンルを超えて「面白い音楽」を常に追求しています。
—ホールをはじめ、ライブハウスや酒蔵、銭湯、寄席などなどさまざまな会場に赴き、ミュージカル、クラシック、ジャズ、オールディーズからお笑いまで、幅広く活動されています。
活動は広がりましたね。千葉県の市川市民ミュージカルに初めて参加したのは20年前。毎回、市川市にちなんだオリジナルミュージカルを上演しています。数年前から四街道市の市民ミュージカルにも参加するようになり、こちらも3回になりました。ホルン奏者の小川淳さんと「子どもと楽しむクラシック」というコンサートを先日、お寺でやってきました。今後、パッケージで展開できるといいかなと思っています。3年前に結成したオールディーズバンド「Sherry and Stars」ではライブハウスで月1公演を行っています。1曲目から皆さんが踊り出すダンスフロアのようなライブですが、お客様が「あのときのあのサックスの音がしたよ」と言ってくださるのが快感で、頑張って音づくりをしています。
—アニソンフェスにも出演されていますし、なんと、お笑いもされているのですね。
以前、ウクレレ漫談の牧伸二さんのバックの仕事で、浅草の寄席、東洋館に呼ばれたことがありました。そのとき出会ったのが東京演芸協会のおしゃべりヴァイオリン・早川きょーじゅさんです。ふたりで「かにおとめ」というユニットを組んでいます。早川さんはヴァイオリニストでオケのコンマスもされていて、音楽出版社の社員さんから芸人になった経歴の持ち主。とにかく面白いことが大好きな2人で音楽とお笑いの融合を目指しています。1回目はコントを詰め込んだライブ、2回目はテーマを食べ物にして「ビストロ かにおとめ」、3回目は2人とも鉄道オタクなので「かにおとめ鉄道開通式」で早川さんが駅長、私が車掌に扮してコントして、鉄道関連の音楽を演奏しました。早川さんには台本を書いていただいて、音楽のアレンジは私。私もコントをしています。次は「かにおとめ警察」を企画しています。毎回楽しいこと、びっくりされるようなことを企画していきたいな、と思っています。
—さいとうさんのその振り幅の広さ、ジャンルを超えた音楽性はどうやって培われたのでしょう?
父からの影響でしょうか。ドラマーだった父に、幼い頃からあらゆる音楽を聴かされ、小学生の頃にはコードネームの成り立ちを泣かされながら教わって、スコアを読むのが好物になりました。ポップスやフュージョンを聴きながら「今のフィルインいいからもう一回聴こう。ストトトトーンだよ」と口で言ってみてと言われてドラムも習い、尚美に入る前は打楽器かエレクトーンか悩んだ時期もありました。尚美ではクラシック専攻で4年間学び、とはいえ、テストには自分の好きな曲が弾けるので、そのときそのときに好きだった弾きたい曲を弾いていました。学生時代からそんなだったので、現場に出てもあらゆる音楽への対応ができたのかもしれません。自分がやりたい音楽をするためにエレクトーンを使っていますが、エレクトーンだからこそできているなっていう気もします。すごく助けられているツールですね。
—会場ではスピーカーのセッティングもご自身でされます。
はい。この間のお寺もそうですが、会場によって音の回りが全然違うので試行錯誤を繰り返してきました。音響は、とにかく現場で聴くしかありません。録音したものを、共演者にも合わせて弾いてもらって、遠目で聴いたり、座ったお客様の耳の位置で、いろいろな場所に座って聴いて、いい音を求めてあれこれ調整します。たとえば、ライブハウスでも、会場によっては据え付けのスピーカーでギターとベースは鳴らして、エレクトーンは持ち込みのスピーカーで孤立させたほうが馴染む、なんてこともあります。おかげで機材も増えて、車の中はパンパンです。ノウハウが身について、微調整で済むことも多くなりました。
—さまざまな音楽を聴いてきて、「いい音を聴く力」があってのことですね。
ときどき、カジュアルを使って外で演奏されている方から「こういうところでやるんですけど、スピーカーとか、あとリバーブってどのくらいで鳴らしたらいいですか?」といったメッセージをいただきます。行ってみないと本当にわからないんですけど、まずどんなところか、人はどのぐらい入るのかなどを聞いて、アドバイスさせていただきます。リバーブは、このタイプとこのタイプの2色持っていくと替えが効く、など。皆さんが、いろいろな場所でエレクトーンを演奏して、ただ音を出すだけじゃなくて、「どうしたらいい音で鳴らせるんだろう」と考える。この感じは素敵ですし、私の活動を認めてもらえているのかな、とうれしく思います。
—これから、さらに新たな挑戦を考えていらっしゃいますか?
千葉の地元・松戸で、第九コンサートを立ち上げたいと思っています。実は私、尚美の3年生のときに秋山和慶さん指揮によるサントリーホールの第九公演に参加したのをきっかけに、翌年から国技館すみだ第九を歌う会の「国技館5000人の第九コンサート」に毎年参加しているんです。アルトのパートで歌っています。今年も参加します。マエストロによって毎回違うのですが、毎回感動して、同じところで泣くのです。数年前に何度か稲城第九にエレクトーンでオケパートを演奏する機会をいただき、歌でも演奏でも完全に第九の虜になっています。これをぜひとも松戸でできないかと。地元のメンバーを集めて行いたいと現在リサーチ中です。ぜひ、実現させたいです。
【2026年8月インタビュー】
