嬢メタル・ベーシストがベースアンプの魅力に迫る

WeROCK Vol.043より転載

 

◎miho(左)
11年11月にデストローズに正式加入。堅実なプレイでバンド・サウンドの土台を支えるとともにコーラス・ワークでも大きく貢献してい る。今回は指弾きベーシストとしての視点で試奏を行なった。

◎RIO(右)
12年4月にメアリーズ・ブラッドに正式加入。エッジの効いたサウンドとアグレッシヴなステージングが魅力のベーシストで、今回はピック 弾きプレイヤーとしての視点で試奏を行なった。また、バンドは2014年8月にアルバム『Countdown to Evolution』で日本コロムビアからメジャー・デビューを飾っている。


ジャズ/フュージョン系ベーシストだけでなく、近年はロック・ベーシストの愛用者が激増しているエデン・アンプ。本誌でも、これまでプ リアンプのWTDIの試奏記事やこの夏の新製品であるコーラス・ペダルの紹介を行なってきたが、今回はいよいよアンプ・ヘッドに注目して みたい! 試奏ベーシストは、これまた注目を集める嬢メタル・シーンから、miho(デストローズ)とRIO(メアリーズ・ブラッド)の2人に登場してもらった!

WTX500

上位機種の基本機能を小さなボディに凝縮したWTXシリーズ。このシリーズの500w出力のモデルを10インチのスピーカーと12インチのスピーカーにつなげて鳴らしてみた。

“軽量&コンパクトながら、500wの出力を誇る!”

RIO:エンハンスというコントロールがポイントですね。下げれば太い中域のある音が出せて、上げればドンシャリ気味の音が出せる。これ1台で充分というか、余計なエフェクターがいらない印象を受けました。サイズは小さいけど出力も充分にあるし、どんなジャンルにも使えるんじゃないでしょうか。イコライザーの効きもハッキリしているし、作りたい音が探しやすいと思います。

miho:キャラクターを簡単に使い分けられるのがいいですね。あと、例えばエンハンスのツマミを引っ張れば、オート・コンプレッサーをオフにできたり、ベースのツマミを引っ張ればブーストできたりと、持ち運びに便利なサイズなのにけっこう機能が詰まっているのもポイントだと思います。

RIO:(mihoが指弾きで弾いているのを聴いて)指弾きだと全然ニュアンスが違いますね。私のようなピック弾きだとトーンに攻撃的な部分がより際立つ感じです。そういう攻撃的な部分が気になるなら、ちょっと抑えて弾けば、よりベースらしい音になると思います。

miho:エンハンス・コントロールの位置でミッドの出方がかなり変わるし、指弾きのニュアンスもちゃんと出せますね。ドンシャリな音とかハデ目な音も作りやすいし、ベースを始めたばかりの人にもわかりやすいんじゃないかなと思います。もちろん、上級者にも納得のいくクオリティでもありますけどね。値段もお店で¥70,000前後とお手頃なのもいい。

RIO:でも、高校生とかの初心者がエデンを使っていたら、逆にむかつくかも(笑)。“小僧、まだ早い”って(笑)。

miho:(笑)。自宅で弾いたり、プリプロ用に使ったり、あとYouTubeで“弾いてみた”のような動画を録る時に使ったりするのもいいと思います。

―― 続いては、ライヴ仕様として10インチ×4発のキャビネットと15インチ×1発のキャビネットにつなげてみましょうか。

miho:これだと充分ライヴで使えますね。スピーカーが増えたことで、ちょっとウォームさが増す感じがします。

RIO:攻撃的な音も出せるし、“エデン=ジャズ/フュージョン”というイメージを、さらに崩してくれますね。

miho:このモデルに限らず、ロック・ベーシストとか最近はメタルコア・バンドでも使っている人がいるのも納得です。




RIO:全体で言うとドンシャリ寄りな気がしますね。

miho:RIOちゃんのピック弾きだとそんなにミッドが前に出るイメージはなかったんですが、私が指で弾いた感じだとけっこう出るなあと。でも、シャープなところもあるんですよね。

RIO:うん、太さもあるけど、アタックが強い印象があります。ギターにも負けない存在感があるし、メタルに向いている感じはする。でも、速い刻みはちょっと苦手なアンプかもしれない。だから、メタルだけというよりロック全般に向いていると言えるのかな。

miho:私は、メタルも含めて、広く大丈夫だと思います。

WT550

続いては、過酷なライヴ・ツアーにも耐える耐久性とスタジオ・クオリティの高品位なサウンドを両立したワールド・ツアー・シリーズに注目。まずは550w出力のWT550をチェックしてみた。

“プリ部に真空管を採用した、ワールド・ツアー・シリーズ”

 

RIO:さっきのWTX500より、イコライザーが細かくなっているぶん、シビアな音作りができますね。バンド・サウンドに埋もれない音が作れます。ピックで激しめに弾いてみたんですが、あえてエンハンスをセンターまで上げずに中域に太さを出したほうがベースらしい音になって、好みです。

miho:指で弾いてみた感じだと、私はエンハンスはどの位置でもいいなあと思います。ただ、個人的にはドンシャリ気味のほうが好きなので、真ん中よりやや上げて使いたいですね。

RIO:イコライザーですが、私、ふだんはどんなアンプでもイコライザーは中央にするんですよ。もっと言えば、ほとんど使わないんですね。でも、WTX550もそうなんですが少し変えるだけでかなり印象が変わりますね。これは活用したいです。音作りとしては、まずエンハンスで好みのキャラクターを選んで、そこからイコライザーでより細かく調整していくのがいいと思います。

miho:イコライザーの効き幅がかなり広いですね。ローとミッドとハイは効かせたい周波数を選んでカットしたりブーストできるし、ホントに微調整が求められる時にも対応できます。そこが初心者には難しいところかもしれないですが、かなり作り込めますよ。あと、個人的な好みなん ですが、ツマミがカチカチというクリック感のあるタイプというのも使いやすくていいです。

RIO:これは、スタジオやライヴ・ハウスにどんどん置いてほしいですよ。デザインの面では、イコライザー・ツマミの頭が赤でエンハンスが灰色、ゲインやヴォリュームが青というのもわかりやすくていいです。

miho:店頭価格で¥100,000を切るぐらいらしいです。このサイズならまだ持ち運びに便利だし、個人的にも欲しいアンプですね。




RIO:指弾きとピック弾きでまったく印象が違いますね。全体的には、WTX500よりも、ミッドが出ている印象ですね。

miho:太さもシャープさも前に出ている感じがします。あと、メタル向きにというより広くロック・ベースなサウンドという色が濃いと思います。その点は、WTX500と同じですね。

WT800

最後はワールド・ツアー・シリーズを代表する、そしてエデン・アンプのフラッグシップ・モデルであるWT800に迫ってみた。

“多機能&高品位! エデン・アンプの最高位モデル!!”

RIO:スピーカーからの出力を高域と低域とで分けられるクロスオーヴァーというツマミがおもしろい。これは、トップ・ベーシスト向けのアンプですね。ゲインも効きますね。

miho:イコライザーの数はWT550といっしょだけど、また音色が違う。より上品な印象です。私はベースとミッドをやや下げ気味でトレブルを やや上げ気味で使うことが多いんですが、そのセッティングの音がすごくよくて好みです。

RIO:エンハンサーで言えば、さっきのWT550は下げめで使うのが好みだったんですが、このWT800は上げめのほうが好みかなと思ったんですよ。でも、じつはどのポジションでもそれぞれ好きな音というか、なぜかこのツマミによるキャラクターの差を、WT550ほど極端に感じなかったんですよね。

miho:私は、逆だった。WT550よりもエンハンサーによる差を感じました。特に絞った時に80年代っぽいサウンドになったのが好みです。

RIO:絞るとベースらしい王道のトーンで、上げるとモダンなトーンになる。そのサウンドがどっちもいい。そこも大御所向けと思った理由です。

miho:うん、モダンな音もすごくいい。あと、じつは去年の渋谷ツタヤO-WESTでのワンマン・ライヴでこのWT800を使ったんですが、その時から音は気に入っていたんです。あと、その時は指弾きによるパチッというかペチッというアタックの音が気になったので、スタッフにツイーターのレベルを調整してもらったら大丈夫でしたね。ライヴではクロスオーヴァーの機能は使わなかったんですが、音の立体感がまた違うし、今後も機会があれば活用したいです。




RIO:かなりミッドが太い!

miho:太さだけでなく、シャープなサウンドも出せるし、万能って感じですね。

RIO:ゲインの効きもいいし、メタル向き。でも、どんなジャンルにも使えますよ。

プリアンプ・ペダルとコーラス・ペダルもチェック!

プリアンプとコーラスという2種類のペダルも注目を集めている。こちらもチェックしてみた。

RIO:WTDIは、WTX500の機能をペダルに凝縮しているんですね。イコライザーの効きがすごくいい。飛び道具としても使えますよ。

miho:スラップがうまく聴こえる気がする(笑)。あと、プリアンプとしてだけでなく、アンプの前につないで、イコライザー的な使い方もいいし、コンプレッサーの効きもいい。足下にこれ1台あればいいです。ブーストの効きが上品な感じで、パンチはWTX500のほうがあるのかな。

RIO:逆にシャープさはこのペダルのほうがある。シンプルだけど、音色の変化が大きいし便利ですね。

―― コーラスはいかがですか?

RIO:じつはコーラス(I90)って初めて使ったんですが、音色に色気を出したいベーシストはチェックですね。音の広がりが気持ちいい。

miho:私もコーラスは初めてなんですが、スピードを2ぐらい、デプスを8ぐらいにすると深みが出て、80年代っぽいニュアンスが出せる。ベース・ソロに使ってみたいし、タッピングで使うとうまく聴こえる(笑)。

RIO:ピック弾きより、指弾きのほうが変化のニュアンスが大きいのかな。でも、これから使ってみたい。

miho:私も使ってみたくなりました。

試奏を終えて

RIO:全体的に、弾く前に思っていた印象よりも、ドンシャリの音が出せるんだなって。私がピック弾きだからそう感じるのかもしれないけど。

miho:私は、独特の太いミッドがあるなあという印象でしたね。

RIO:うん、弾き方で全然印象が違う。あと、見た目はツマミが多くて使いにくいかなとも思ったんですが、そんなことはなかったですね。私はWT800がいちばん気に入りました。

miho:WT800は使ったことがあるんですが、私にはまだ早かったかも(笑)。で、私は、WT550も気に入りました。WT800のクロスオーヴァーという機能もおもしろいんですが、ライヴだと2本マイクを立てないといけないし、そういう意味でWT550のほうが使い勝手がいいかもというところです。