World Tour Proシリーズ 試奏レポート

WeROCK Vol.049より転載

 

◎hibiki

ライトブリンガー(活動休止中)でメジャー・デビューを飾り、現在はマーデラスやアルハンブラ、そしてサポートや セッションなど多方面で活躍する技巧派ベーシスト。
テクニカルなプレイだけでなく、グルーヴにも定評がある。
レコーディングやライヴでエデンを愛用。

 

hibikiがエデンの“ワールド・ツアー・プロ(WTP)” シリーズを試奏!

ロック・シーンから熱い注目を集め、海外でも多くのトップ・ベーシストが愛用するエデン・アンプ。そのエデンからフラッグシップ・ シリーズとしてワールド・ツアー・プロ(WTP)が登場した。その最新シリーズの中から、WTP600WTP900をhibiki(ライト ブリンガー/マーデラス/アルハンブラ)が試奏してくれた。自身もエデンの愛用者であるhibikiのレポートをお届けしよう。

“新しいエデンは 可能性の塊ですよ”

―― まず、600wのモデルからチェックされましたが?

hibiki:今までのエデンのサウンドには、クリアで高級感があってきらびやかという印象があったんですが、この600wはそれだけではないなと。というのは、チューブ・ミックスというスイッチのオン/オフで、すごくキャラクターが変わるんですよ。オフではかつてのエデンのような上品でクリアなトーンが出せて、オンにするとレコーディング・スタジオにあるようなチューブ・プリアンプのようなキャラクターになるんです。押し出し感があるし、きらびやかすぎるハイの部分を押さえつつ、音楽的な部分を出してくれますね。このチューブ・ミックスが備わったことで、よりロッ クな音に対応できるようになったと思います。チューブのブレンド具合でパワー感もコントロールできますし、前のモデルと比べて、よりシチュ エーションを選ばないアンプだと思います。

―― コンプもお気に入りのようですね。

hibiki:すごい自然ですね。粒立ちを整えて、ハッキリした音にしてくれます。ラック機器のようなコンプですよ。もう単体のコンプはいらないですね。スラップを多用するベーシストだけでなく、僕のように指で速いフレーズを弾くベーシストって粒立ちが大切で、アタックが見えないとプレイが引き立たないですからね。チューブ・ミックスをオンにして、このコンプをかければ完成品の音が作れますよ。

―― 5バンドのイコライザーはどうですか?

hibiki:ここはワールド・ツアー・シリーズから受け継がれている部分ですよね。効きがいいですよ。あと、ロー/ミッド/ハイはパラメトリックになっていて、アンサンブルの中での音決めがすごいやりやすいです。例えば、今日のステージはバス・ドラムの音が硬めだからベースを少し 引っ込めようとか、スラップを多用する場面ではトレブルとハイを調整してぎらついた音を出そうとかが簡単にできます。それで、ちょっといやらしい部分はチューブ・ミックスと組み合わせることで抑えることもできる。いろんな現場で使える、フレキシブルさがありますね。他社のアンプ で、4バンドのパラメトリック・イコライザーが付いていたものを使ったことがあるんですが、それは効き幅がピンポイントすぎて。でも、エデン のは音楽的に効くんです。優秀ですよ。僕が持っているWTXはフリーケンシーが付いていないタイプですけど、クリアにどこの帯域を足し引きできますしね。ノイズも少ないですよ。

―― エンハンサーも音作りのポイントですね。

hibiki:イコライザーとは違うギラツキ感が作れますね。音をデフォルメできるというかスパイスを効かせることができます。ライヴ・ハウスなどにWTP600だけを持ち込んで、他社のキャビを鳴らすようなこともあると思うし、今、それを想定して他社のキャビにつないでみたんですが、このイコライザーとエンハンサーだけでかなりエデンのキャラクターを出せますよ。

―― そして、900wモデルもチェックしました。

hibiki:プリ部は600と共通なんですが、音のキャラクターは若干違います。900のほうが懐が広い感じがしますね。上から下まで、よりキレイに出てくれます。600のほうはアンプの真っ正面から音が飛んでくるような、ガッツのある印象です。個人的には、600のほうが好みですね。600wあればどんな現場にも対応できるだろうし、ゴリッとしたロック・ベースを弾くなら600のほうがより合うと思います。

―― WTP600とWTP900に共通して、バイ・アンプ機能やDIが搭載されています(※WTP600のバイアンプ出力はライン出力のみ対応)。

hibiki:バイ・アンプは、2台のスピーカーにつないで、それぞれ帯域を変えられる機能ですよね。セッションなどでヘッドだけを持ち込むと、キャビが10インチ×4発が2台だったり、上が10インチ×4発で下が15インチ1発だったりするし、メーカーもいろいろでしょ。でも、スピーカーごとに帯域を分けることで、理想のサウンドに近づけられる。しかも、2台のキャビがバラバラに鳴る感じはなく、すごい一体感があるんですよね。そこが意外でした。DIもすごいクリアです。DIボックスによっては、余分なローが足される感じがあるんですが、それもなくスッキリしていて扱いやすいです。あと、注目したいのは放熱するためのファンが増えたことですね。熱でアンプがダメになった経験は何度もあるし、2時間ぐらい使うと音がダレるアンプもあるんですよ。でも、WTPはフロントからリアに向けて空気を流すようになっているし、そのおかげで排熱のために1Uの空スペースを空けなくていいというのもいいです。省スペースにもつながりますから。

―― かなり、お気に入りですね。

hibiki:今までのエデンのイメージをある意味、くつがえしてしまうぐらい万能なアンプですよ。以前のエデンってロックのイメージが強くなかったと思うんですが、そんなことはないし柔軟に使えます。可能性の塊ですよ。満点ですね。


hibikiのお気に入りセッティング

hibiki:パキッとしたハイを出しつつ、押し出し感のあるミドル、ドゥンとした低域の安定感と伸びを調整しました。チューブ・ミックスはけっこう上げ目です。インプット・ゲインは8割から9割ぐらいまで上げたほうがいいですね。音のサイズが上がる感じがします。アナログの音源を聴いているような、生々しくハートのある音です。