Terra Novaシリーズ 試奏レポート

WeROCK Vol.053より転載

 

キヨシ。自身のバンドであるINSIDE MEやTHE MADCAP LAUGHSの他、森重樹一やマーティ・フリードマンなど、国内外を問わず複数のサポートを行ない数々のライヴやレコーディングに参加。独特のプレイ・スタイルと確かな演奏技術で多くのミュージシャンから信頼を得ている。とくに強力なスラップ奏法は必見で、女性とは思えないライヴ・パフォーマンスとステージ上での強烈な存在感は唯一無二。

また、6月25日に全国で公開された宮藤官九郎監督・脚本最新作の超絶地獄コメディ映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』に地獄のベーシスト"鬼姫" 役で出演! 6月22日にはサウンドトラック『TOO YOUNG TO DIE!地獄の歌地獄』がリリース。収録曲「デビルハラスメント」では清のスラップが炸裂している。

 

清がエデンの新シリーズ“テラ・ノヴァ”を試奏!

国内外の多くのトップ・プロが愛用するエデンから、Terra Nova(テラ・ノヴァ)シリーズが登場する。小さいサイズながらもステージでも使える高出力、エデンらしい使いやすく高品位なサウンドを凝縮したシリーズ。『WeROCK vol.053』 発売時では、まだ発売前というこのモデルのアンプ・ヘッドを多方面で活躍する女性ベーシスト、清が試奏してくれた!

“ラウド・ロックでも使えるエデンらしい太いサウンドが魅力です!”

―― 今回のモデルを弾く以前のエデンの印象というと?

清:すごく上品なイメージですね。クリアで、ローとハイがハッキリしていてきらびやかな印象です。ローもハイもクリアに出てキレイなまま前に 出てくれるアンプが好きなんですが、エデンはもっともキレイなところにいる感じですね。ただ、私はロックな現場が多いので、そこに少し歪みを足して音にパンチを入れて音作りをしています。

―― そんななか、発売前の新製品“テラ・ノヴァ”を弾いてもらいましたが?

清:第一印象は、“あ~、エデンだ!”と納得の音でした。ローもハイもクリアに、キレイに出てくれます。最近、こういうコンパクト・サイズのアンプが多いじゃないですか? だいたい、コントロール関係とかシンプルな方向の機種が多いなか、このモデルはエデンのフラッグシップ・モデ ルと同じパラメトリック・イコライザーも入っていて、そこにこだわりを感じますね。

―― ベーシストとしては、ミッドのパライコというのはうれしいもの?

清:そうですね。かなり音色が変わってくれますので。ミッドのおいしいところを見つけるのは難しいんですが、ベーシストには大切なんです。ここに使いやすいパライコがあると、音作りの幅が広がりますね。それに、ベースのツマミもかなり低いローまで出てくれて気に入りました。

―― 全体的に、音作りはしやすいですか?

清:このミッドだけでも遊べますし、エンハンスのコントローラーがいいんですよ。このツマミだけでも、だいぶ変わります。ロー・ミッドをカットしながら、他の帯域をブーストしてくれるんです。だから、ドンシャリにも作れますし、削りながらブーストしてくれるんです。いい感じにドン シャリになってヌケがよくなるので、つねにオンにしたくなります。極悪系のスラップではオンにして、バラード系のトーンが必要ならオフにする という使い方ができますね。

―― ゲイン・コントローラーは、どういう印象を受けましたか?

清:チューブではないので、ブーストしていっても歪むという感じではないですね。入力レベルの調整という感じで、積極的に音作りをするツマ ミというよりも、クリップしないようにコントロールする感じです。

―― 思い切り歪ませるならブースター系がほしくなる感じですか?

清:ヘヴィなサウンドもいけますよ。ヘヴィな感じでもプログレ的というかフュージョン寄りというか、テクニカルなフレーズが前に出るような音だ と思います。ベーシストが、すごく目立つ音です。

―― コンプレッサーのボタンはどうですか?

清:すごくいいですね! オン/オフというシンプルなボタンなのに、うまいこと音のツブをそろえてくれるなって感じがしました。アンプ単体でバ キバキな音も作れますが、音はそのままで少し勢いを抑えたいという時に最適ですね。圧縮されすぎずに、まとめてくれます。もちろん弾きや すさも増します。ベース・メーカーが作る、おいしいところにかかってくれるコンプなんですよ。

―― ブースト・スイッチはどうでした?

清:ベーシスト的に、気持ちいいローをブーストしてますね。ベースのツマミ自体が、すごく効きがいいのに、オンにするとさらにローが出ます。 それと、トレブルがキレイに出るので、じつはフラットでも充分なんです。トレブルをフラットにしてエンハンスで調整すると音作りしやすいです。

―― 今回、2 種類のキャビで試奏してもらいましたが、それぞれ、どうでした?

清:410はパワーも感じるし、従来のエデンならではの聴いたことのある感じでした(笑)。私、110がいいなと思いました。音のヌケがいいなと。 小さい会場に置いてほしいなと思いました。もちろん大きいキャビには敵わないですが、必要な部分は充分に出てくれますよ。この大きさでツ イーターが搭載されているというのが大きいんですかね。私は高域をいつも気にしていて、ツイーター付きのキャビが好きなので、そういう意味でもポイントが高いです。

―― 総合的な評価はどうですか?

清:コンパクトにするために機能を縮小しすぎてなくていいなと思いました。ミッドのパライコも付いてますし、エンハンスの効きもローもハイも 上位機種と遜色ないと思います。どんなジャンルでも、どんな現場でもいけると思いますね。

清がオススメするセッティング例

清:ややローとハイ・ミッドを足しつつ、少しだけエンハンスを効かせたクリーン・トーンです。ヌケがいい音を作りました。指弾きのフレーズが印象的な曲とかに合うと思います。フレーズをしっかりと聴かせたい時にいいと思います。

清:エンハンスを少しだけ上げて、トレブルをフラット寄りにして、ハイ・ミッドとロー・ミッドをやや上げています。このセッティングだと、すごく音が前に出ます。私が使うなら、このセッティングにするかなと思います。

清:潔く、ロー・ミッドとハイ・ミッド、トレブルをフラットにして、エンハンスをすごく上げてみました。もうエンハンスだけで音を作った感じですね。コンプを入れてブーストもオンにしてベースを上げると、スラップに充分なサウンドになります。
 

 

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