UNDER THE GUN(動画配信者)

UNDER THE GUN(動画配信者)

兵頭勇哉、中根大輔の男性2人組によるユニット ストリートにアコースティックギターやエレクトリックバイオリンを設置し、道行く人に演奏をしてもらう様子を撮影するスタイルで動画配信を行っている。ストリートでの魅力あふれる演奏や交流から、人々の暮らしや思いも垣間見られるこれらの動画は、著名アーティストがテレビ等で支持を表明するなど高い人気を誇る。
このページでは、ムービーの中で語りきれなかったインタビューの一部を紹介する。

ありそうでなかった、「道ゆく誰かにギターを弾いてもらう」という発想

――お二人の関係を教えてください。
中根大輔(以下中根):大阪の高校の同級生です。高校のときはたまに遊ぶくらいでしたが、高校を卒業してから仲良くなり、今に至ります。僕はもともと鉄道会社で働いていたんですが、兵頭から「YouTubeやらへんか?」と電話がかかってきて。いったんは断りましたが、「今しかチャンスはないかも」と思い直し、会社を辞めて一緒に活動することにしました。やりたいことをやらないまま終わるより、チャレンジしたほうは悔いが残らないと思ったんです。
――なぜYouTubeだったのですか?
兵頭勇哉(以下兵頭):僕の場合、独立したい、自分のやりたいことで生活したいという思いがずっとありました。といっても、何かひとつのことに賭けるというより、思いついたことを全部やってみてどれかがうまくいけばいいなという考えでした。YouTubeを選んだのは特別な道具がなくても誰でもできるからで、YouTuberの方々の動画を見て「僕たちもそれっぽいことをしてみようかな」というのがきっかけでした。
――「道行く人にギターを弾いてもらう」という企画を始めたきっかけはなんですか?
兵頭:駅ピアノの動画を見たことです。駅の構内に置いてあるピアノを上手な人が弾いていて、その周りで大勢の人がワーッと盛り上がるのを見て、「これってどの楽器でもできるやん」と思ったのがきっかけでした。
――自分でギターを弾く動画はよくありますが、路上にギターを置き、人に弾いてもらうという発想は面白いですね。
兵頭:僕たちがギターを弾けなかったから生まれた企画だと思います。最初は、「ギターを買って、24時間弾き続けたらどれくらいうまくなるか?」という動画を撮ろうとしたんです。でも難しいし、指は痛いし……途中で挫折して、ギターが部屋の置物になってしまいました。でもせっかくギターを買ったので、「これ使って何かできひんかな」と思ったとき、駅ピアノのアイディアとつながりました。自分たちは弾けないけれど、道行く人に弾いてもらったら面白い動画が撮れるんじゃないかと思い、路上にギターを置いてみることにしました。それが2020年の1月末でした。

予想を超える衝撃、感動が待っていた「街角のストリートギター」

――実際にギターを置いてみて、反応はどうでしたか?
中根:置いたのは大阪の難波の商店街だったんですが、周りからやや冷たい目で見られました。でもノリのいい人もいて、「ちょっと触ってみていい?」という人が何人かいました。ギターに触ってくれる人がいるだけで嬉しかったです。
兵頭:初日にうまい人が一人いて、すごく迫力のある演奏で圧倒されました。おとなしそうな人がギターを弾き始めたら別人のようになる、そのギャップにも圧倒されましたね。偶然通りがかった人が寄ってくる“たまたま感”と、ギターを弾く瞬間までその人がどういう演奏をするのか全く想像つかないところが面白いと思いました。
――ギターの生演奏を聴くのは初めてだったのですか?
兵頭:ライブを見にいったことはありますが、目の前という至近距離で演奏を聴くのは初めてでした。初日から中根と2人で、「いい動画が撮れたね」と言いながら帰ったのを覚えています。
――なんとなくギターを置いてみたら、衝撃が待っていたということですね。
中根:最初は、テレビのバラエティ番組のような「ギターを置いたらどうなる?」という気軽なノリでしたが、やってみたら大きな感動がありました。
――「これを待っていた」という人がいっぱいいたんでしょうね。
中根:ギターを弾いてくれた人に弾いてみた理由を聞いてみると、「ストリートピアノはあるのに、なんでストリートギターがないんだと思っていた」 「いい企画ですね」「感動しました」という声が返ってきました。僕らと同じことを考えている人がいっぱいいるとわかって嬉しかったです。あと、動画を撮っている僕らに対して「ギター弾かないんですか?」と聞いてくる人もいますが、「僕らは弾かないんですよ、弾いてもらうんです」と言うと、「なるほど」と納得されることが多いです。
――印象的だったエピソードはありますか?
中根:声の小さい女の子が、ギターを弾いたら大きく、きれいな歌声になって、喋っているときと声の質が全然違うのでびっくりしたことがあります。あと、中学生くらいの子が僕らのYouTubeの動画を見て、気に入った曲を練習して弾きにきてくれたり、渋い声で味のある歌を聴かせてくれるおじさんがいたり……。普通の人たちがパッとやって来て、パッとギターを弾いて帰っていくのが衝撃でした。動画を撮りながら弾いてくれた人にインタビューもしているので、ギターにまつわる思い出や、「こういう夢を追っかけています」といった話を聞けることも楽しいです。

日本はもちろん、世界を旅しながらギターを置いてみたい

――主にどこで活動しているのですか?
兵頭:大阪の心斎橋の商店街が多いです。夜、お店のシャッターが閉まってからギターを置きはじめます。
――今後、ギターを置いてみたい場所はありますか?
兵頭:大阪の次は東京ですね。大阪より人が多いですし、音楽をやりたくて上京する人の話も耳にするので、すごいテクニックを持った人の動画が撮れたらいいなと思います。あとは、大阪と東京の違いを撮れたら面白いですね。大阪の人はフレンドリーだとコメント欄によく書いてあるので、東京だったらどうなるのか興味があります。
――東京で活動することに不安はないですか?
兵頭:YouTubeはネット環境があればどこからでも見られますが、今までは「動画を見たことがあるから弾いてあげよう」と助けてくれる人がいたり、「今週末、この商店街にギターを置くらしい」という情報が大阪のアマチュアバンドの間で流れていたりしたらしいです。東京では一からのスタートでコネクションもないので、不安といえば不安ですが、どうなるかワクワクする気持ちもあります。
――東京の次はどこへ行きましょうか。考えているプランはありますか?
兵頭:アメリカのどこかにギターを置いてみたいです。国民性で反応がどれだけ変わるかを見てみたいですね。色々な人を見てみたいですし、多様な曲が路上で演奏されるのを見てみたいです。
中根:日本でも、世界でも、色々なところへ行って、その土地の雰囲気を味わってみたいです。自由に思いついたところへ行って、撮影しながら世界一周して、日本に戻ってくる……というのをやってみたいですね。楽器も、ギターだけでなく、他のものも置いてみたいです。

演奏動画の配信を通して、音楽という世界共通言語の魅力を伝えたい

――ギターの演奏動画を撮るようになって、変わったことはありますか?
兵頭:以前はソロのギターに興味がなかったんですが、目の前で演奏する人を見て「こんなにすごい技があるんだ」と思い、色々な音楽に触れてみたくなりました。ギターを弾いてくれた人が、僕の音楽の幅を広げてくれたと思います。
中根:正直、この企画を始めるまでは音楽に興味がなく、音楽をほとんど聴きませんでした。でもギターを弾く人たちを見て、音楽ってすごいなと思い、普段から聴くようになりました。今ではさまざまな音楽を聴くようになり、音楽と一緒に暮らしているような感じなので、人生変わったなと思います。
――この企画をやっていて、いちばん嬉しいのはどんなことですか?
中根:僕らの動画に出てくれた人が、事務所から声がかかってライブに出るようになったりして、成長していく姿を見られることです。僕たちの動画を軸に、色々な人のストーリーが広がっていってくれたら嬉しいですね。
――公式Twitterに「地球を音楽で繋ぐ」というキャッチコピーがありますよね。お二人のやろうとしていることは、まさにこの言葉に通じると感じます。
兵頭:かなり大きく出た感じのキャッチコピーですが(笑)、音楽は世界共通のもので、言葉が違っても誰にでも伝わるものだと思います。YouTubeのコメント欄にも、英語や韓国語、僕らには理解できない言語のコメントもいっぱい来ます。僕たちが海外の知らない言語の曲を聴くように、海外の人たちも日本語の曲を聴くんでしょうね。理解できない日本語の曲に対して「何の曲?」「誰の曲?」という英語のコメントが投稿されたりするので、言語が違っても演奏動画って面白いんだな、伝わるんだなと思います。

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