【Z BLOG】三木 俊雄:ラッパ吹きに聞け。その1

最近はアレンジなどを教えたり、あるいはある程度すでに出来る学生にアドバイスを与えたりする機会がある。
多くの学生は斬新なボイシングやそれによるハーモニーを追求しており、それについてもう僕は何も言う事はないのだが、敢えて秘訣を尋ねられたら「ホーンプレーヤーの言うことを聞け」と言っている。
僕もホーンプレーヤー、特にブラスプレーヤーから多くを学んだからだ。



あるトランペッターは「三木さん、一度ラッパ吹いてみてよ」と言った。
書いてある音域が少し高いという。もちろんレンジチャートには則っているが、まぁ言われてみればそうかも知れない。
こうやってトランペットの意見を聞くことによってレンジチャートには書かれていない、その場に則した楽器の本当の音域を知ることになる。



「どうだった?これなら大丈夫?」
「うーん…そうですね…」
「えっ?そんなに厳しい音域は書いていないはずだしパッセージだって…」
「いや、高いと言うわけじゃないです。でもね、この音域はジワジワ効いてくるんです。で、いざクライマックスとなるともう大変なんですよ。この前後に1小節でも休みがあったら全然違うんですけどね」



今度はパートの割り振りをやり繰りしてなるべくトランペットに休みを設ける。
もちろん楽な音域で。
「どうだった?楽勝だろ!」
「うーん、まぁ、でもこれだと気分が高揚しないんですねぇ」



(うるせ〜コノヤロ、つべこべ言わずに吹きやがれ!)と思うのだが、そこはさも困った風な顔をして、「例えばどんなだったら良い?」と聞くと、
「あ、この曲なんか凄くいい感じですね。音域は結構キツイですけどここまではセーブできますし、ここからはもうエンディングまで少しですから」
読み返してみるとさっきの曲よりはるかに負担は大きい。



ラッパ吹きというのは実にワガママなものでキツくてもユルくてもダメと言うのだが、その気にさえさせればトコトンやるという実に単純な、そして愛すべき生き物なのだ。