【Z BLOG】三木 俊雄:フジロック・フェスティバル2016 その2

沢木耕太郎のルポルタージュで俳優の高倉健が最も好きな場所はハワイだ、というのを読んだことがある。
ハワイと言えばいかにもありきたりな、観光地として手垢の付いた印象を持っていたが、しかし実際行ってみるとまるで違う世界がありそこに魅せられたという。
僕は残念ながらハワイにはまだ行ったことがないが、実際に行った人は皆、口々に「もう一度行きたい」と言う。それ程までにハワイは魅力的らしい。

それと同じようなことを「フジロックフェスティバル」でも聞く。毎年3日間通して来ているとか、結婚して子供が出来てからも連れて来ている、という話しをよく聞く。

今回はカミさんと息子を連れてこのフジロックに来てみて「ああ、なるほど」と思った。
いろいろなジャンルの国内外のアーティストの演奏を複数の会場でハシゴして聴けるという、「ジャズ・ストリート」的な魅力に加え、アウトドアのリゾートとしても非常に魅力的にできている。
日中は思い思いの木陰に椅子を置き、夜はテントでキャンプ、散策路は整備されており、歩行者がぶつからないように一方通行の道が往復用意されている。夜の照明の見せ方も幻想的だ。
音楽以外にも大道芸、サーカス、落語、などの催し物があり、子供の遊び場ではいろいろなワークショップも開催されている。もちろん無料だ。

標高が高いため陽射しは強いが涼しく過ごしやすい。
生ビールは回転が良いのかサーバーをキレイにしているのかとても美味しく、値段は600円に統一されていたと思うが、決して高くは感じなかった。また食べ物は屋台形式の売店になるが、ちゃんと実店舗を持つ店の販売でとても美味しいとのこと。
こういったアウトドアでの飲食は基本的にこれらの売店しかないので飲食の充実とリーズナブルな価格は今後のリピートにつながるという意味で非常に重要だと思う。

そして何より参加者のマナーの良さには驚かされる。このような開放的で、昼間からお酒の入った状況でありながら、ケンカなどの問題行動を起こす人は見なかった。そして誇張ではなく会場にはゴミひとつ落ちていない。
この快適さがあってこそ「また来年も」となるのだなと思う。

もちろんプロデューサーの日高さんによれば、「こうなるまでには相当かかった。最初の頃はハイヒールでくる女の子もいた」らしいし、担当のハリーさんによれば小さな盗難などは今でもあり、毎年警察に行って調書を取られる、と言っていた。
しかし、この規模のオペレーションとしてこれ程上手くいっているのには心底驚かされる。

ただ、最後まで馴染めなかったのはあの船酔いしそうなまでの重低音とその音圧。どうやらあれはロックフェスのお約束というか一つの様式美のようなものかと思うが、一日中あれを浴び続けるのは結構キツイ。

願わくばもう少し細部まで聴こえる音場でジャズを聴かせる、大音量に疲れた観客にまた違ったエキサイトメントを経験してもらえるようなステージがあり、その両方を往き来できればと思う。そして日高さんとお話しをしていて、それはかなり現実的な話ではないかと密かに思っている。