【Z BLOG】三木 俊雄:アンチ・ポリパフォーマンス

よく、どんな練習をしていますか?と聞かれることがある。
僕は楽器を始めたのが遅かったので、何をどのように練習してとりあえずココまで来た、というのは明確に覚えている。そのための工夫は散々したし、いろいろなヘンテコな練習法も編み出した。そしてこれはこれで、それなりの効果をもたらした。
とはいうものの、それらはすべてスケールやコード、あるいはインターバルを基にしたパターンであり、いわゆる基礎練習の域を出ない。
いつかはこれらを卒業して、みんながやっているような難しいコードチェンジや曲の練習に取り組むようになりたい、と思い続けて早35年が経過した。

しかし、最近になって遂にその時がやって来たのかも知れない、と思っている。

きっかけはギタリストの鈴木よしひさ氏のバンド「アンチ・ポリパフォーマンス」を始めたこと。
彼はギターをメインにしながらも、キーボード、足鍵盤、そしてヴォイスパーカッションを駆使しすべてのパートを1人で同時に演奏する「ポリパフォーマンス」の第一人者だ。というか、彼以外は知らないが。
その彼がギターだけに専念するバンドでその名が「アンチ・ポリパフォーマンス」何というか、それでエエんかい?

いや、それはともかく、彼の作る曲はいかにもギター的な発想のものからキーボード的なもの、オーケストラ的なものまで、多種多様な要素をあわせ持つ。
そのメロディー、ハーモニー、そしてリズムは僕にとって普段から培ってきたジャズ的な語法における「基礎体力」だけでは太刀打ち出来ない、それに特化した練習を必要とするものだ。一言で言えば非常に難しい。決して「難解な」と言う意味では無く。

彼のメロディーとコードのみが書かれた、いわゆるリードシートからすべてのパートを譜面に起こしコンピューターに打ち込み、カラオケを作り練習する、ということを遂に初めてやってみることに。

うん、何というか、まるでようやくプロのミュージシャンになったような気分。

いや、それはともかく、これが今まで練習や演奏を通して感じていた、「あと一歩、音楽の内部に入って行けてない」感覚をほんの少し突き破るきっかけになりそうな気がする。

僕はもともと音楽はリスナーから入ったので、音楽を聴くことによる感動は手に取るよう生々しく感じることができる。
しかし、いざそれを演奏する立場となると、まず自分と楽器の間に距離があり、楽器と演奏の間に、演奏と音楽の間にもそれぞれ距離を感じる。
それらを縮めるためにいろいろな練習や試行を繰り返してきたのだが、問題はそれぞれのつながり。
例えば自分と楽器の距離を練習によって縮めることが出来たとしても必ずしもそれが演奏に、さらに音楽につながる、というふうには行かない、という経験を何度もしてきた。
しかし彼のバンドとその音楽はもしかしたらその問題に対する突破口を与えてくれるのではないか、と密かにワクワクしている。

やっとと言うべきか今更と言うべきか、50も過ぎてこのような経験ができるのは本当に幸せなことだと思う。

鈴木よしひさ アンチ・ポリパフォーマンス

鈴木よしひさ g
岡田治郎 el-b
加納樹麻 ds
三木俊雄 ts

とりあえず今年最後のスケジュールは12/17(土)
柏「ナーディス」
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