【Z BLOG】三木 俊雄:「リアル・プロフェッショナル」

毎年10月に行われる「横濱ジャズプロムナード」
今年は『関内ホール大ホール』で
「豊田チカ&金丸正城、小山太郎トリオ+三木俊雄オールスターズ」
というチョット恥ずかしい名前のグループだが、
豊田チカ(vo)、金丸正城(vo)、
近藤和彦(as)、岡崎好朗(tp)、 片岡雄三(tb)、小山太郎(ds)、田中裕士(p)、生沼邦夫(b)
という何とも素晴らしい面々。僕はこのバンドの4管アレンジも担当している。

このバンドは去年の12月、ビリー・ホリデイとフランク・シナトラの生誕100周年の記念コンサートをきっかけに豊田チカさんの呼びかけで生まれたグループ。
特にチカさんがシナトラを、金丸さんがホリデイを歌うというアイデアが洒落ている。

いつもコンサートの前にはスタジオでリハーサルをするのだが、今回はその時間が取れず、しかも新曲のアレンジがあった。
とは言っても僕が書く譜面なのでとても簡単。ステージでのサウンドチェックの時に初見でやってみたが皆さんバッチリ。中でもドラムスの小山太郎君は見事なまでに完璧。

「やっぱり流石だね」と言うと、
「いや、ドラムの場合、譜面をあんまり完璧にやっちゃうとまるでショーバンドみたいになっちゃうんですよ。このグループではもっとジャズのフィーリングと新鮮さを取っておきたいので」
う〜ん、これぞリアル・プロフェッショナル。
なるほど、吹くべき音が明確に書かれているホーンと違ってドラムはその辺りのセンスが問われる。
ドラムは「ドレミ」が付いていないだけに何処でも入っていける。しかしドラムが演奏すべきはホーンの吹くキック(リズムの形)ではなく、そのキックを吹きたくなるように仕向ける「何か」だ。それがバンドをコントロールする、ちょうど指揮者のようなもの。
しかもそれを「いかにも」という感じではない、新鮮なフィーリングでプレイすることが何より重要。

またアレンジャーはそのためにドラマーに対してどのような情報を譜面として提供すべきなのか、これはこれでまた深いコミュニケーションが必要だ。
彼はいつもボーヤ(セッティングのアシスタント)を連れて来ていて、渡された譜面からどのようにして音楽を取り出すかのプロセスを見せ、質問には丁寧に解説している。

「太郎ちゃんのボーヤは幸せだね」
「いや、こうやって譜面の読み方を質問してくるボーヤは少ないんですよ。大抵は『あの時のストロークの手順は?』とかね。そんなのもう忘れちゃってるのに。
結局ドラマーになりたいのかミュージシャンになりたいのか、という…」

なるほど、リアル・プロフェッショナルはやはりリアル・エデュケーターなのだ。