【Z BLOG】三木 俊雄:「バルトーク ミクロコスモス」

いま、ピアノを練習してるんだ」とミュージシャン仲間に言うと、「ずっとそう言ってるよね」と呆れられる。

ピアノが弾ける、これは僕の永遠の憧れの一つだ。
ピアノが弾ける人は皆、特殊な才能を持つ人に見える。いや、何と言ってもモテそうだ。
母に「なぜ小さいときにピアノを習わせてくれなかったんだ」と責めるも「アナタ、1日でやめちゃったじゃないの」
過ぎたことは仕方がないが、僕も少しでもそんな気分になりたくて練習を試みる。

日本ではピアノを始める、と言えばバイエルが定番。しかし、これが実にツマラナイ。ピアニストは皆この苦行に耐えてきたのか、と思うと頭が下がる思いだ。
残りの人生、限られた時間をこのクソツマラナイ教本に捧げるつもりにはなれず、何かもっと良いものはないのか、と思っていたところ、ピアニストの森下シゲル氏が勧めてくれたのがバルトークの「ミクロコスモス」
この本は6巻まであり、著作権満了した現在ではネットで手に入れることが出来る。
これはとても面白い。

サックスとピアノの違いはもちろん単音と複音、和音だ。
一度に一つの音しか出せない管楽器奏者のハーモニーに対する憧れはひょっとしたらピアニスト以上に強いのかもしれない。僕がラージアンサンブルをやっているのもそれが主な理由だ。
そして楽器の操作においてピアノがサックスと大きく違うのは左右の手で同時に違う動きをする、という点。
サックスも両手を使うが、実はそれぞれ片方を動かしている時はもう片方は動かしていないことがほとんどだ。
そしてこの両手の指で違うことを弾く、という運動はおそらくピアノを始めるときに最も大きな障害になるようだ。
小さいころピアノを習っていたがどうしても嫌いでやめてしまった、という人の話を聞くと大抵コレ。

右手がメロディー、左手が伴奏というものが主体のバイエルに対し、このミクロコスモスは最初からカノンなどの線的な動きを両手でできるように書かれている。これが非常に新鮮な刺激を与えてくれる。今まで使ったことのない神経回路を懸命につなげようとする感じだ。
第1巻と第2巻は初級で見た目にも簡単そうで、実際フィジカルな困難さは無い。
しかし、両手を動かすとなると本当に何でこんな簡単なものが出来ないのか、僕はちょっとオカシイのではないか、と思ってしまう。

これをやっていると初心者や出来の悪い生徒の気持ちが良く分かる。
自分のサックスを振り返えっても、よくもまぁあんな騒音みたいなものを何時間も飽きずに出していたものだと思うが、今まさにその状態だ。
子育てをしていると、忘れていた自分の子供の頃を思い出し、あたかも人生をプレーバックしているようで実に面白いものだが、違う楽器を練習することもちょうどそういう感じだ。

最近は歳のせいか朝早く目が覚めることが多く、今まではダラダラと布団の中でネットを眺めていたが、最近はこれを練習するようになった。ミュージシャンとしてとても模範的な生活態度である。
さて。いつまで続くだろうか…