【Z BLOG】三木 俊雄:職業としてのジャズミュージシャン

僕の教えている大学の高校生向けの学校案内、いわゆるオープンキャンパスでは参加者のアンケートを取る。おそらくどこの大学でも似たようなものであるだろうが、その中の質問に将来の希望進路、職種を尋ねるものがある。

僕が教え始めた15年ほど前は「ジャズミュージシャン」あるいは漠然と「プロミュージシャン」というのが多かったが、やがて「スタジオミュージシャン」「J-Popのツアーサポート」と書く参加者が多くなってきた。
またつい先日もクラシックのサックス専攻の学生が「スタジオミュージシャンになるためにはどうすれば良いのでしょうか」と質問してきた。

さすが最近の若者は現実的で堅実な将来設計をしているものだなと思ったのだが、さて本当にそうだろうか?

ジャズというと食べて行けない音楽の代名詞のように思われてきたが、周りを見渡してみれば、広い意味でのジャズミュージシャンは音楽の職業として最も長期的に食べて行けてるのではないだろうか。どうもそんな気がする。

個人的には何もJ-Popや歌謡曲のバックをやりたくて楽器を始めた訳ではなく、また周りの仲間の多くもそうだった。しかし当然ながらジャズだけで生計を立てていくのは難しく、いろいろな仕事を実際にやってみて、それまで外から見ていたのでは分からなかった面白さ、奥深さを感じ、そちらに軸足を置いて活動している、というプレーヤーは多い。

そもそも昔からあらゆる商業音楽の現場を担ってきたのはジャズミュージシャンだった。今でも多くのスタジオミュージシャン、JPopプロデューサーはそのキャリアをジャズミュージシャンとしてスタートさせている方々が非常に多い。
それはおそらく彼らが書かれている音楽と書かれていない音楽の両方を演奏し、また作ることできるからだろう。これは一つの特殊技能であり、最近ではそれを養成する学校も多い。
その意味で音楽の職業としてのジャズミュージシャンという選択と、そのためのスキルを身につけるのはかなり現実的で合理的と言える。

「あたし、アイドルになりたいの」
「ゆ、許さん!」
「俺はロックバンドでメジャーデビューするぜ」
「何をバカなことを。現実を見ろ!」
「僕はジャズミュージシャンになろうと思うんだけど」
「そうか、頑張ってバークリーのスカラーシップを取れ」

親子でこんなやりとりがなされるようになってくるような気がする。