【Z BLOG】菅野 浩:楽器の持ち替え

僕は現在、サックス奏者であると同時にクロマチックハーモニカ奏者でもある。
ハーモニカ界ではまだ何にもできないし大してもの申すこともできないが、それなりにライブでは使っておりこだわりも強くある。
アルトサックス以外に僕が持ち替えられる楽器はクロマチックハーモニカ以外に無い。

いままでの持ち替え楽器の遍歴を。
アルトサックスの練習に猛烈に励んでいた学生時代は、ソプラノやテナーなど他のサックスはほとんど演奏しなかった。と言うか縁が無かった。なので僕はサックスの持ち替えスキルがとても低い。
大学を出てわりとすぐ、友達からバリトンを勧められ演奏し始めた。ずっと人から借り物のバリトンを数年にわたり本腰入れて演奏していたが、右手の親指に痺れを感じたこと、定期的にバリトンで演奏していた仕事が無くなったこと、そして楽器の持主が楽器を現金化したい、などの理由で、やむなく手放しバリトンは廃業に。
バリトンと並行して、対照的に軽いソプラノサックスを始めてみた。まずはカーブドソプラノ(見た目が可愛いから)を手にする。これでToots Thielemansみたいなことを老後にできたら幸せだろうな〜と。間も無く当時参加していたビッグバンドでソプラノの持ち替え指定があった。喜んで臨んだのも束の間で、カーブドはセクションで吹くにはピッチが取りにくいということでストレートのソプラノを入手。すると次第にそのバンドでしか使わなくなり、モチベーションは低下、そのバンドの解散とともにソプラノも廃業。。このソプラノに対するモチベーションが低下した理由にはもう一つ理由があって、老後にToots Thielemansみたいなことやりたいんだよな俺?だったらクロマチックハーモニカやればいいじゃん。てことで、そう思った瞬間にクロマチックハーモニカを買っていた。リーマンショックで世の中どんよりしてた頃だ。
他にフルートやクラリネットも始めようと思った時期があった。近所の音楽教室でフルートを教わろうと決心したことがあり、訪ねた。運指はサックスやってるので馴染みやすいから、口元のアンブッシュアとか発音だけを2〜3ヶ月教わりたいとの旨を伝えると、あっさりと受付のお姉さんに断られた。短期では受け付けておりませんとの事。えー、じゃあどうしたらよいですか?の問いに相手は困り果て。。次に友人のフルーティストを訪ねるとこれ以上ライバルを増やしたく無いとのことで教えてくれない。フルートは断念。
クラリネットは学生時代に吹いたことがあったが、サックスと同じリード楽器なのに似て非なる部分が多すぎてどうしても始める気にならなかった。
これらの挫折を繰り返しながらも、クロマチックハーモニカだけは5・6本も所有して挫折せずに続いている。
そんなこんなで現在はアルトサックスとクロマチックハーモニカを演奏する稀有なポジションで生きている。

Toots Thielemans
僕は彼に惚れている。
最高に好きなミュージシャンのひとり。
ベルギー生まれの彼はハードバップ全盛の時代にアメリカへ渡り、数々のジャズレジェンドたちと交流し共演し、音楽理論上で気になることは何でも直接質問したそうだ。年齢に関係なく自分より若いミュージシャンにも。そしてジャズ界に留まることなくブラジル音楽、ポップミュージックなど、あらゆるジャンルのミュージシャンと交流し、共演した。
クロマチックハーモニカという先達者の少ない楽器でありながらも、世代を超えジャンルを超えて活動したそのミュージシャンシップにとりわけ惹かれている。
この開拓精神が好きなんだな。
他人と同じことしているより誰もやっていないことを開拓するのが好きなんだな。

サックス業界ではソプラノ、アルト、テナー、バリトン、フルート、クラ、ピッコロなどの持ち替えができるミュージシャンはなにかと仕事がある。
でも僕はそこを敢えてアルトサックスとクロマチックハーモニカのみに絞り、どんなことがどれだけできるのか、開拓心がうずいてしょうがない妄想暮らしの日々。

なんと、いま僕が参加しているビッグバンド「Gentle Forest Jazz Band」では、クロマチックハーモニカをフィーチャーした楽曲を演奏させてもらっている。この編成はJaco Pastorius Big BandでのToots Thielemansみたいじゃないか!
GentleForest Jazz Bandは、来年2019年1月26日(土)、サントリーホール ブルーローズ(小ホール)での単独公演を控えております。
是非お越しください。


【公演詳細】
http://gfjb.jp/2019-01-26