【Z BLOG】菅野 浩:Yellow Card Orchestra!

先月の10/23(火)は、新宿Pit Innの昼の部において久々にYELLOW CARD ORCHESTRA!のライブだった。

【YELLOW CARD ORCHESTRA!】
佐藤 帆 (The band leader and Tenor Sax)
後藤 篤 (Arranger and Trombone)
石崎 忍 (Alto Sax)
菅野 浩 (Alto Sax)
加藤大輔 (Alto Sax)
森田修史 (Tenor Sax)
西尾健一 (Trumpet)
TOKU (Flugelhorn)
黄啓傑 (Trumpet)
和泉聡志 (Guitar)
丈青 (Piano)
工藤 精 (Bass)
斉藤 良 (Drums)
吉岡大輔 (Drums)

バンドや個人のプロフィールなどは公式Facebookページをご覧いただきたい。
https://facebook.com/yellowcardorchestra/

2000年前後、みんな20代だったころ共に全力で音楽していた仲間たち。東日本大震災の直後にいちど集まってライブをしたが、今回ほどではなかった。なのでここまで多くメンバーが集まったのは16〜7年ぶりではなかろうか。その間、個別に共演する機会があったメンバーもいたが、なかなか共演の機会が訪れないメンバーもいた。それでも皆が活躍する話はよく耳にしていたのでその噂を聞くたびに彼らのもとへ遊びに行ったりして交流してきた。皆の各方面での活躍ぶりは多岐にわたっていてとても面白い。すごい猛者達。そこのところを紹介し始めると長くなるのでここでは割愛する。

日本のジャズシーンは、80年代にはハードバップ再興という空気が生まれたが、このバンドが生まれた2000年前後はクラブ系やジャムバンド系などの言葉をよく耳にするようになってきていた。バブルがはじけた不況感を日本中で隅々まで感じていたさなか、ジャズプレーヤーがジャズクラブ以外にも若者が集まるクラブへと演奏の場を広げはじめた時代。そんな時代に20代だった僕らは老舗ジャズクラブへの出演の機会を狙いながらも皆路上で演奏して切磋琢磨していた。既出のメンバーはほとんどがいわば路上での叩き上げである。
路上での演奏はいつも勉強会のようなものだった。暑い日も寒い日も雨の日も雪の日も場所さえあれば演奏していた。路上で演ると音がデカくないとコミュニケートできないが、そこは必ず鍛えられ、過酷な状況だけになんとも言えない連帯感がメンバーの間に生まれる。それは同時にお互いの信頼感へと発展し、皆思い切り伸び伸びとした演奏をしていた。そして通りすがりの見知らぬ人達へと発信された。そんな若輩者の我等を見かねてか、当時六本木にあったお店「BASH!」の今は亡きマスター・山崎氏の呼びかけにより、佐藤帆をリーダーとして生まれたのがこのバンド。もちろんジャズクラブには収まりきらない状況で、若者が集まるクラブシーンでの演奏も多くあった。

このバンド、一旦解散したものの、メンバーの各々と再会し共演する機会があると、子供のころ一緒に遊んだ友達や親戚、いや、家族に久々に再会する気分になる。要するにブラザーってことだ。

海外へと拠点を移したメンバーの一時帰国のタイミングに合わせて実現した今回のライブは、じつに良い時間だった。平日昼間の新宿Pit Innにして120名を超える聴衆に見守られての再演。
客席には懐かしい顔もちらほら。


演奏内容はと言うと、なんとも言葉では形容しがたいのだが、、、
ある種の動物園とでも言おうか、、、
いや、自然界の物理的法則に従って進行する音楽ではなかろうか。ジャズとかファンクとか言葉を当てはめるのとはなんか違う。
楽曲として整った曲を演るが、カオスな瞬間も訪れる。そこからの大ユニゾン。9人のホーンはそれぞれの歌い方でメロディを吹くので物理的なピッチや音色などは当然の如く合わない。でも心のボルテージは皆同じだ。そこからのアンサンブル。大晦日に第九を大勢で歌うのと同じ迫力だ。その9人のホーンを支える5人のリズムセクションは巨大な船を大きな波で襲いながらも絶対に船を沈めることなく支え続ける荒れ狂う海のようだ。ひとり船から投げ出されてもまた船に戻してくれる、そんな存在。だからホーンの人々は喜んで荒れ狂う波に飛び込んで行く。その繰り返しのようだった。
人間らしい誤差が多分に感じられる。音程・音色・音圧・歪み・音のかすれ・リズムなど様々。これらを踏まえた上でストーリーが築かれるため、不意に予想だにしなかった最高のグルーヴが生まれたりもする。とても豊かな音楽=自然界の現象がそこにはあった。
この誤差の波に心震わす経験を20代だった頃、この仲間達と経験できたことはかけがえのない宝物。



音楽って面白い。

みんなありがとう。

元気で再会する日を待つとしようか。