【Z BLOG】曽根 麻央:ロイ・ハーグローブ

今月はジャズ界に衝撃的で悲しい事件が起こり、ソーシャル・メディアのニュースフィールド等はこの話題で持ちきりになって始まりました。
それは、トランペット奏者=ロイ・ハーグローブの訃報です。ジャズのスーパー・スターとして圧倒的カリスマ的存在感を示して来た偉大なミュージシャンの49歳という若さでの死でした。

僕は残念ながら個人的なお付き合いはなかったのですが、2014年のモンク・コンペティションに僕が出場した時はジャッジメントの一人として演奏を聞いていただきました。また、ニューヨークでジャム・セッションに出かけると絶対に彼は来ていました。そして1〜2コーラスの短くとも完璧でシンプルなソロを吹いていきました。これを目にした人は多いのではないでしょうか? 2014年のカナダ、トロント・ジャズ・フェスティバルでは、偶然同じホテルに泊まっていて、エレベーター内で鉢合わせた時、体調がかなり悪そうで心配になりました。その頃から恐らくすでに闘病していたものと思われます。

現在のジャズ・ミュージシャンでロイ・ハーグローブの影響を受けていない人がいるのでしょうか? 僕も例にもれず、高校生の時にはロイの魅力に取り憑かれ、必死にトランスクライブをして、彼のフレーズを使ってソロをとったりしていました。ハービー・ハンコック&マイケル・ブレッカーとのコラボ・アルバムの『Directions in Music』の「So What/Impressions」のロイのソロは繰り返し、繰り返し聴きました。僕の憧れでした。

彼の最大の特徴は圧倒的なリズム感の良さです。正直言って異常なまでもの完璧なリズム感を持った人物でした。彼のリズム的アプローチに影響を受けたミュージシャンは多いと思います。
そのリズム感にのって、あの独特で美しい音色と、センスのいい音使い&スペースが現れます。彼の長所を最大限に活かしたRH FactorはジャズとR&Bの両方の部門で絶大な支持を得ています。もはやR&Bのトランペットの吹き方、尚且つ、ホーンセクションの作り方の見本になり、様々なアーティストの参考となっています。

作曲家としての彼の功績としては、他のミュージシャンがジャム・セッションで演奏したくなるような、シンプルでカッコいい楽曲を提供し続けたことです。
コンテンポラリー・ジャズは複雑になり、作曲したアーティスト以外の奏者が楽曲をカバーすることは稀です。
しかしロイの曲はジャム・セッションでも使われ、音大生の大好きなレパートリーの一部となりました。

グラミー賞受賞者のドラマー=テリ・リン・キャリントンはこうコメントしました。「ロイはほとんどのドラマーより優れたタイム感で、彼の純粋な音楽とともに、沢山の事をジャズに提供してくれました。(省略)彼が存在してくれたことに感謝します。」

僕らの世代も彼が残してくれた偉大な遺産を引き継ぎ、発展させ、頑張って行かなければいけません。Rest In Peace, Mr. Roy Hargrove

Roy Hargrove – Father (Live)
https://www.youtube.com/watch?v=3mDumc8c5eM

Roy Hargrove Quintet – Strasbourg / Saint Denis
https://www.youtube.com/watch?v=qxeb0cwjE8U

Roy Hargrove – The Joint
https://www.youtube.com/watch?v=tW6gDOSVVCw