Web音遊人(みゅーじん)

今月の音遊人:小山田圭吾さん「唯一の趣味が音楽だった」

1989年、「フリッパーズ・ギター」を小沢健二さんと結成し、“渋谷系”の先駆けとして一世を風靡。その後はソロユニット「コーネリアス」として国内外で活動するほか、数多くのアーティストとのコラボレーションや音楽プロデューサー業でも活躍する小山田圭吾さん。幅広い音楽活動を展開する小山田さんに、影響を受けたアーティストや音楽についての思いを伺いました。

Q1.これまでの人生の中で、一番多く聴いた曲は何ですか?

一曲ではないのですが、ザ・スミスの曲です。高校のときにファーストアルバム『ザ・スミス』がリリースされ、それ以降のアルバムもすべて繰り返し聴いています。好きな曲があり過ぎて、どれが一番とは言えないですね。
4年ほど前、45歳にして車の免許を取ったんです。車で音楽を聴くようになってプレイリストに昔の曲も入れているのですが、ザ・スミスの曲はいまでも歌えるんです。おそらく、すごい回数を聴いたからでしょうね。
ザ・スミスはデビュー当初、本国のイギリスでこそ人気はあったものの、アメリカや日本ではマイナーな存在でした。レコード屋さんでたまたま目に止まったアルバムのジャケットの雰囲気やメンバーの写真、音楽雑誌『FOOL’S MATE(フールズメイト)』での新譜紹介の記事が気になって聴き始めたのが最初です。
ザ・スミスの曲はギタリストのジョニー・マーが作曲しているのですが、ギターのフレーズが面白かった。僕は高校時代にギターをやっていて、マッチからチェッカーズ、ハードコア系のものまでさまざまなコピーバンドを頼まれてかけもちしていました。そのなかで、ザ・スミスのコピーバンドはモチベーションが高かったですね。ジョニー・マーからは、音楽的な影響もたくさん受けました。
先日、フジロックにジョニー・マーが出演し、かなり前の列で満喫してきました。さらに話をする機会にも恵まれて、高校以来のスターと初顔合わせ。本当に嬉しかったです。

Q2.小山田さんにとって「音」や「音楽」とは?

特別な音楽教育を受けてきたわけではないので、「音楽」というものを初めて意識したのは小学生のころ、テレビの音楽番組だったと思います。子どもにとっては、テレビから流れてくるものがすべて。ピンクレディやジュリーのレコードを自分で買うようになったのも小学生のときでした。
実は、僕はとくに音楽家を目指していたわけではないんです。美術学校に通っていたこともあるぐらいです。
バンドを結成して、たまたま割と早いうちにデビューしてしまい、それから先はなりゆきのような感じです。ただ、あらためて考えてみると、ずっと「音楽」の道を歩んできたのは「音楽」しか趣味がなかったから。もし、「音楽」がなかったら、自分は悲惨なことになっていたと思いますよ(笑)。

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人をイメージしますか?

ビースティ・ボーイズでキーボードを担当していたマニー・マークの名前が、真っ先に頭に浮かびます。
1990年代にビースティ・ボーイズが来日した際、コンサートホールのロビーに突然マニー・マークが現れ、パフォーマンスを始めたことがあったんです。自分で作ったスピーカーにマイクをつなげてハウリングさせながらビートボックスを鳴らしたり、いろんなものを楽器にしたり、フィンガースナップや指笛を鳴らしたり。動きもシャキシャキしていて、すごく面白い人だなと思いました。
その後、リミックスを頼まれたのがきっかけで友だちになり、さまざまなところで一緒に演奏する機会がありました。実は、彼はもともと大工さんだったんです。ビースティ・ボーイズのメンバーの家を造っているときに「鍵盤が弾けるなら」と誘われ、練習しているうちにそのままメンバーになってしまったという変わった経歴の持ち主です。身近なもので面白い音を出すのが好きで、常に楽しい音を探していろいろな楽器を自分で作ったりしています。まさに「音で遊ぶ人」。そんな彼の音楽も好きだし、人としても素敵だと思います。
僕も音楽をやっていて音に対して興味を持っているので、音で遊ぶ彼に共感するところは大いにありますね。

小山田圭吾〔おやまだ・けいご〕
ミュージシャン、プロデューサー。1989年、フリッパーズ・ギターのメンバーとしてデビュー。バンド解散後1993年、Cornelius(コーネリアス)として活動開始。現在まで6枚のオリジナルアルバムをリリース。自身の活動以外にも、国内外多数のアーティストとのコラボレーションやリミックス、プロデュースなど幅広く活動中。21_21 DESIGN SIGHT(東京ミッドタウン)で開催中の「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」では音楽を担当。
コーネリアスオフィシャルサイト http://www.cornelius-sound.com/

 

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