Web音遊人(みゅーじん)

今月の音遊人:ROLLYさん「曲の素晴らしさや洋楽との出会いなど、大切なことはすべてフィンガー5から学びました」

音楽という広大なフィールドを舞台に多種多様なスタイルを吸収し、実に個性的な味付けでオリジナルの曲を次々に創造してきたROLLYさん。カテゴリーに囚われることのないバラエティ豊かな音楽を発信し、俳優としても活躍するその姿は、まさにエンターテイナーという肩書きそのものです。コンサートやミュージカル、映画出演など話題が絶えない中、音楽観などをうかがいました。

Q1.これまでの人生の中で、一番多く聴いた曲は何ですか?

レッド・ツェッペリン、クイーンなど聴き続けてきた曲はたくさんありますが、小学校3年からファンクラブに入っていたフィンガー5の曲は絶対にはずせません。アレンジがグラムロックみたいな「個人授業」や皆さんがご存知の「恋のダイヤル6700」も捨てがたいですけれど、アメリカン・フットボールの試合と、一人の女の子をめぐるライバルとの戦いを歌った「恋のアメリカン・フットボール」は、もう最高の曲ですね。
今度の試合に勝ったらあの娘が口づけしてくれるから、あとにはひけないっていう歌詞もいいですが、その娘はライバルにも同じ約束をしていて「え~っ」っていうね。都倉俊一さんの曲も素晴らしいし、キメのところにセブンスのコードがきてカッコイイし、ストリングスが味付けになっているアレンジもいいんです。
フィンガー5はアルバムの中で洋楽のカバーもたくさんしていて、実は僕にとって洋楽と出会うきっかけにもなりました。ジャクソン5、パートリッジ・ファミリー、モンキーズ、カーペンターズなど、フィンガー5を通じて知ったアーティストがたくさんいます。そういうことも含め、フィンガー5からすべてを学んだような気がしているのです。

Q2.ROLLYさんにとって「音」や「音楽」とは?

音楽は僕にとって人生のすべてだと断言しましょう。音楽というのは、人の心理もコントロールしてしまうという魔力をもっていると思うのです。まだ2~3歳の頃、それに気がついたときから今に至るまで追求し続けています。なぜそれに気がついてしまったのか。
僕には早くに亡くなってしまった8歳上の兄がいまして、母親が夜の9時頃になると兄を思って子守歌を歌い、続けてお経を読み始めるのです。それを見ながら、まだ自分が何者なのかもわかっていない当時の僕は、何て悲しいんだろうと思ってしまったのですが、そんなときにテレビから梓みちよさんが歌う「こんにちは赤ちゃん」が流れてきて、わけがわからないまま楽しくなってしまったのです。後になってからですが、音楽はそんな風に人の心を操るものだということに気がつき、なぜなのかについてずっと考えてきました。それを仕事にさせてもらえているのですから、音楽は人生そのものだといえるでしょう。
たとえばオートバイに乗っているとき、頭の中でモトリー・クルーが鳴っているか、いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」が鳴っているかで見える風景は違いますよね。音楽は気持ちを操る魔力をもっている奥深いものなのです。

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人を想像しますか?

同じミュージシャンにも「音遊人だなあ」と思える方がいらっしゃいますけれど、演奏や曲の中に人生や、その方の好きな音楽が自然ににじみ出ると思うのです。津軽三味線の名人といわれた髙橋竹山さん(初代)が「津軽三味線を極めるにあたっては、津軽三味線ばかり聴いていてもだめなんだ。ギターでもなんでもいろいろな音楽を聴いて、そこで感じ取ったもののエッセンスを込めるんだ」とおっしゃっていたと聞いたのですが、その通りですよね。
僕もロックミュージシャンと言われていますが、ロックを極めるならジャズもクラシックも歌謡曲も、いろいろな音楽を聴いて影響を受けたいですし、そうしてこそ作り手のアーティスト性が反映されていくと思うのです。デビュー当時から「もっとも時代遅れのものは、もっとも進んでいる」というスローガンを大切にしていますが、それも僕にとっては真理です。
でも、自分が「音遊人」だとは言わないかな。むしろ他の人に「あの人は音遊人だよね」と言ってほしいです。物心ついたときから音楽が身近にありましたし、30年以上も音楽で食べてきましたから、そういう自分が「音遊人だね」と言ってもらえるのは勲章みたいなものかもしれません。

ROLLY〔ろーりー〕
ミュージシャン、俳優。1990年にロック・バンド「すかんち」のメンバーとしてメジャー・デビュー。1996年に解散後、ソロ・アーティストとしての活動をスタート。コンサート等の音楽活動はもちろん、『ロッキー・ホラー・ショー』をはじめとするミュージカル出演、テレビ・ドラマやバラエティ番組、『記憶にございません』他の映画出演で幅広いファンを獲得している。
オフィシャルサイトはこちら

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:大石昌良さん「僕がアニソンと出会ったのは必然だったんだと思います」

5576views

ホーカン・ハーデンベルガー

音楽ライターの眼

「地上で最高のトランペット奏者」と評されるその演奏に恍惚とする/ホーカン・ハーデンベルガー トランペット・リサイタル

11723views

楽器探訪 Anothertake

存在感がありながら他の楽器となじむシンフォニックなサウンドが光る、Xeno(ゼノ)トロンボーンの最上位モデル

4849views

大人のピアニカ

楽器のあれこれQ&A

「大人のピアニカ」の“大人”な特徴を教えて!

2489views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目のピアノデュオ鍵盤男子の二人がチェロに挑戦!

8057views

オトノ仕事人

芸術をとおして社会にイノベーションを起こす/インクルーシブアーツ研究の仕事

6385views

アクトシティ浜松 中ホール

ホール自慢を聞きましょう

生活の中に音楽がある町、浜松市民の音楽拠点となる音楽ホール/アクトシティ浜松 中ホール

13920views

こどもと楽しむMusicナビ

1DAYフェスであなたもオルガン博士に/サントリーホールでオルガンZANMAI!

2863views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

世界中の珍しい楽器が一堂に集まった「浜松市楽器博物館」

29714views

われら音遊人 リコーダー・アンサンブル

われら音遊人

われら音遊人:お茶を楽しむ主婦仲間が 音楽を愛するリコーダー仲間に

7601views

パイドパイパー・ダイアリー Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

楽器は人前で演奏してこそ、上達していくものなのだろう

7890views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

28977views

おとなの楽器練習記:岩崎洵奈

おとなの楽器練習記

【動画公開中】将来を嘱望される実力派ピアニスト、岩崎洵奈がアルトサクソフォンに初挑戦!

11303views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

見るだけでなく、楽器の音を聴くこともできる!

13442views

音楽ライターの眼

連載14[多様性とジャズ]傑作『ミンガス・アー・アム』に包括された3つの特色

1291views

オトノ仕事人

最適な音響システムを提案し、理想的な音空間を創る/音響施工プロジェクト・リーダーの仕事

1767views

われら音遊人

われら音遊人:ママ友同士で結成し、はや30年!音楽の楽しさをわかちあう

4753views

トランスアコースティックピアノ™

楽器探訪 Anothertake

音量の問題を解決し、ピアノの楽しみを広げる「トランスアコースティックピアノ」

3757views

秋田ミルハス

ホール自慢を聞きましょう

“秋田”の魅力が満載/あきた芸術劇場ミルハス

4292views

パイドパイパー・ダイアリー

こうしてわたしは「演奏が楽しくてしょうがない」 という心境になりました

8290views

金管楽器のパーツごとのお手入れ方法 - Web音遊人

楽器のあれこれQ&A

金管楽器のパーツごとのお手入れ方法

15128views

こどもと楽しむMusicナビ

親子で参加!“アートで話そう”をテーマにしたオーケストラコンサート&ワークショップ/第16回 子どもたちと芸術家の出あう街

5190views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

28977views