Nozomi Nakagiri 中桐望さん

第8回浜松国際ピアノコンクール第2位入賞

岡山県に生まれ、3歳よりピアノを始める。
東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻を首席で卒業。在学中に学内にてアリアドネ・ムジカ賞、卒業時にアカンサス音楽賞、安宅賞、大賀典雄賞、同声会賞、三菱地所賞を受賞。藝大モーニングコンサートや新卒業生紹介演奏会で藝大フィルと共演する他、同声会新人演奏会やヤマハ音大フェスティバル2010、藝大アーツ・イン東京丸の内「三菱地所賞」受賞記念リサイタル等に出演。2013年、東京藝術大学大学院修士課程を首席で修了。クロイツァー賞、大学院アカンサス賞、藝大クラヴィーア大賞を受賞。
第17回吹田音楽コンクール第1位。第78回日本音楽コンクール第2位。第3回ロザリオ・マルシアーノ国際ピアノ・コンクール(ウィーン)第2位、併せてコンクール委嘱新曲課題曲の最優秀演奏者に贈られるSonja Huber賞受賞。第58回マリア・カナルス国際音楽コンクール(スペイン・バルセロナ)第2位、併せて聴衆賞受賞。第15回グリーグ国際ピアノコンクール(ノルウェー・ベルゲン) セミファイナリスト、併せてAAF(アーリンク・アルゲリッチ財団)賞を受賞。第8回浜松国際ピアノコンクールでは歴代日本人最高位となる第2位入賞。
ピアノデュオも積極的に活動しており、2006年の第17回吹田音楽コンクール・ピアノデュオ部門で最高位(1位なしの2位入賞)、2013年、第18回シューベルト国際ピアノデュオコンクール(チェコ)第1位、併せてシューベルト賞を受賞。
これまでに岡山フィルハーモニック管弦楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、藝大フィルハーモニア、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、Orquestra Simfonica del Valles (スペイン)等、多数オーケストラと共演する他、国内外でのリサイタルや音楽祭に多数出演。
2014年秋より、ロームミュージックファンデーション奨学生としてポーランドで研鑽を積み、2015年1月にはデビューCD『ショパン&ラフマニノフ』(オクタヴィアレコード)をリリース。アルバム発売記念として東京・名古屋・大阪・岡山などでリサイタルツアーを行い、オール・ショパンプログラムの演奏が高く評価され、2015年度日本ショパン協会賞を受賞。これからの活躍が楽しみな若手ピアニストの一人として、音楽ファンおよび音楽評論家・ジャーナリスト等から期待を寄せられている。
ピアノを内山優子、近藤邦彦、平川眞理、芦田田鶴子、大野眞嗣、角野裕、エヴァ・ポブォツカの各氏に、ピアノデュオを角野裕氏、室内楽を岡山潔、伊藤恵の各氏に師事。

中桐 望 オフィシャルサイト
http://www.nakagirinozomi.com

これまでの浜松国際ピアノコンクールで日本人過去最高位(第2位)に輝いた中桐望さんに当時の思い出を語っていただきました。

浜松国際ピアノコンクール(以下、浜コン)は世界の中でもトップクラスの規模を誇る国際コンクールでありながら日本国内で開催される貴重なチャンス、日本人としてやはり浜コンにはチャレンジしたいという想いはありました。それまで浜コンと言えば20代前半の若いピアニストでないと……というイメージがありましたが、ちょうど第8回から審査員長が海老彰子先生に変わられたのも私にとって大きなきっかけになったと思います。ちょうど大学院在籍最後の年でしたので、自分の力試しになればとチャレンジを決めました。浜コンで苦労したことと言えば、同年の3月にスペインのマリア・カナルスコンクールに出場が決まっていましたので、短期間に大きなコンクールに続けてチャレンジするためのモチベーションのコントロールやレパートリーの準備が大変でした。特にコンクール委嘱作品の準備には苦労しました。

それまで海外のコンクールを受けに行く時は、言語や生活環境が違う場所へ飛び込むので不安やストレスも多かったのですが、やはり慣れ親しんだ自国でのコンクールだとそういった心配がなく、何よりコンクールのオーガナイズが素晴らしかったので、落ち着いて万全のコンディションでコンクールに臨むことができたと思います。それでもやはり第一次予選はとても緊張して、手足が震えていたのを今でもよく覚えています。ラウンドを重ねていく毎に段々と緊張がほぐれ、本選でのコンチェルトは指揮の井上道義さんのパワーにも助けられて、気持ちよく演奏できたことは素晴らしい経験になりました。

本選の演奏に悔いはなく、今の自分の全てを出し切れたと感じていたので、どんな結果になっても、もう充分だと思いながら結果発表を聞いていました。ですので、第2位に自分の名前が呼ばれた時は本当に嬉しくて信じられない気持ちでしたが、喜びと同時に大きな責任を感じて「この受賞に恥じないよう、これからもっともっと頑張らないといけない」と身が引き締まる思いでした。

それぞれいろんな想いを持って今回のコンクールに挑まれることと思いますが、結果にとらわれることなく皆さんの想いの全てをステージで出し切れるよう、思いきり演奏して欲しいと思います!