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:ケヴィン・ケナー 氏(Kevin Kenner) "5つ$quot;の質問

Profile

pianist ケヴィン・ケナー

pianist
ケヴィン・ケナー
【1990年の快挙】
1990年はピアニスト ケヴィン・ケナーにとって記念すべき年となった。彼の芸術的手腕が3つの名声ある賞の受賞によって世界に認められる年となったからである。その3つとは、ショパン国際ピアノコンクール(ワルシャワ)での最高位(同時に聴衆賞、ポロネーズ賞の受賞)、国際テレンス・ジャッド賞(ロンドン)、チャイコフスキー国際コンクール(モスクワ)での銅賞の受賞(同時にロシア作品最優秀演奏賞受賞)である。それに先立つ1988年にはジーナ・バッカウアー国際ピアノコンクール(ソルトレイクシティ)や1989年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(フォートワース)でも輝かしい成績を残した。【指揮者、オーケストラとの共演】
ソリストとして、ハレ管弦楽団、BBC交響楽団、ベルリン交響楽団、ワルシャワ・フィルハーモニー、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、ベルギー放送フィルハーモニー管弦楽団、NHK交響楽団等の世界的に著名なオーケストラ、また米国ではサンフランシスコ、カンザス、ニュージャージー、ローチェスター、ボルティモア他多数の主要オーケストラと共演を果たしている。また、チャールズ・グローヴズ、アンドリュー・デイヴィス、ハンス・フォンク、スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ、イェジー・マクシミウク、カジミエシュ・コルト、イルジー・ビエロフラーヴェク、アントニ・ヴィット等著名な指揮者との共演も数多い。

【数々のプロジェクト】
近年の主な活動として、フランス・ブリュッヘンと18世紀オーケストラの共演、Ensemble XIXとの演奏及び録音、1826年のグラフを用いてパリのシテ・ドゥ・ラ・ムジークでのショパン作品リサイタル、またパデレフスキ生誕150周年の記念コンサート及び録音、日本、米国、メキシコ、カナダ、ドイツ、フランス、イギリス、ポーランドでの演奏ツアー等が挙げられる。2015年には、ショパンの2つのピアノ協奏曲 室内楽版(ピアノ+弦楽五重奏)をポーランドのナショナルエディション版として出版。

【録音作品の数々】 
録音も数多く行っており、ショパン、ラヴェル、シューマン、ベートーヴェン、ピアソラと多岐に渡る。近年ポーランドで室内楽カテゴリーにおいて最優秀賞の“フレデリック賞”を授与された。またピリオド楽器にも造詣が深く、1848年のプレイエルを用いて国立ショパン研究所のレーベルで録音したショパンのソロ・ピアノ作品集はフランスのディアパソン誌にて5つ星を獲得した。

【チョン・キョンファとの共演】
2011年以降、ヴァイオリニスト チョン・キョンファからの熱烈なオファーを受け彼女の10年ぶりとなる活動始動に伴いデュオパートナーとして世界ツアーに参加。“美しく穏やかな真珠のような輝きを放つピアニズム”(英・テレグラフ紙)と絶賛されるなど、キョンファのヴァイオリンを引き立てつつ存在感を放つアンサンブルは彼の高度な美的音楽性を聴衆に再認識させている。2016年7月、ヴェルビエ音楽祭にデュオとしてデビュー、ワーナー・クラシックスとの録音プロジェクト(デュオ・ソロ)も進行中。

【教育者として】
英国王立音楽大学教授を経て、2015年9月より米国マイアミ大学フロスト音楽校教授。近年では、第17回ショパン国際ピアノコンクールに参加したチョ・ソンジンからの依頼によりコンクール直前に集中レッスンを行い、見事優勝に導いたことで、ケナーの教育者としての手腕が改めて認められた。
ケヴィン・ケナー オフィシャルサイト
※上記は2017年2月11日に掲載した情報です。

Q1.自分で影響を受けたと思われるアーティストは?

少年時代から憧れていたアルトゥール・ルービンシュタインです。気品がある音楽を、まるで語りかけるように奏でており、あのような演奏ができたら素晴らしいでしょうね。自然で無駄な力が入っておらず、理想的な演奏だといってもよいでしょう。

Q2.ヤマハピアノに対するイメージと印象は?

個々の楽器についてではなく、未来を見据えたイノベーション(技術の革新)を大切にしているという会社の姿勢に、いつも感銘を受けています。ピアノという楽器は決して完成されたものではなく、まだまだ新しい可能性を秘めているといえるでしょう。ですから、社会の変化を柔軟に受け止めてダイナミックに変化をしていくという企業姿勢は、音楽家にとっても刺激的なのです。

Q3.あなたにとってピアノとは?

自分の心のうちを表現する「声」だと思います。ピアノはバイオリンなどのような楽器と違って、音を持続できずに減衰してしまうのが欠点だといわれてきました。しかし私は、その減衰にこそ人間らしさや魅力を感じるのです。美しい和音が自然にだんだんと消えて「無」になる瞬間にはノスタルジーをおぼえますし、どれほど美しいものであってもいずれは消えるのだから、一瞬一瞬を大事にしなくてはいけないことにも気づかされるのです。

Q4.印象に残っているホールは?

何度も演奏している、ポーランドのワルシャワ・フィルハーモニー・ホールです。17歳で「ショパン・コンクール」に挑戦したときからの付き合いになりますし、その後は何度も演奏をしている中で、第二のふるさとだといえるほど安心できる場になりました。自分にとっての特別な会場とは、音響が素晴らしいというだけではなく、そこでの演奏経験や聴衆のあたたかさも含めたものなのです。

Q5.ピアノを学ぶ(楽しむ)方へのメッセージ。

プロのピアニストを目指しているという方にも、そうでない方にとっても、自分自身がなにかを発見しようとする気持ちや姿勢を大切にしてください。誰もが異なる生活とバックグラウンドをもっており、それが個性につながるのですから。自分に自信をもち、その上で音楽に対する豊かな創造力を常に忘れず、可能性を探ろうとすること。決して与えられたものだけに満足していてはいけません。