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:パスカル・ロジェ氏 (Pascal Rog’e) "5つ$quot;の質問

Profile

pianist パスカル・ロジェ
© Nick Granito

pianist
パスカル・ロジェ
 パリの音楽一家に生まれ、11歳の時、パリでデビュー。パリ国立高等音楽院を首席卒業後にジュリアス・カッチェンに師事。1971年ロン=ティボー国際コンクール優勝を機に一躍脚光を浴び、国際舞台で精力的な活動を開始する。
 それ以降、世界の主要なコンサートホールに登場。オーケストラでは、パリ管、フランス国立管、ロイヤル・コンセルトへボウ管、ウィーン響、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、スイス・ロマンド管、チューリッヒ・トーンハレ管、ロンドン響、ニューヨーク・フィル、ロサンゼルス・フィル、シカゴ響、日本では、NHK響、日本フィル、新日本フィル、大阪フィル、京都市響、日本センチュリー響等と共演。指揮者では、ロリン・マゼール、サイモン・ラトル、クルト・マズア、マイケル・ティルソン・トーマス、サー・アンドリュー・デイヴィス、マリス・ヤンソンス、シャルル・デュトワ、エド・デ・ワールト、アラン・ギルバート、デイヴィッド・ジンマン、ベルトラン・ド・ビリー、マレク・ヤノフスキ、マティアス・バーメルト、山田和樹等と共演している。 17歳で名門ロンドン/デッカの専属アーティストとなる。「サン=サーンス:ピアノ協奏曲全集」(デュトワ指揮/フィルハーモニア管、ロイヤル・フィル、ロンドン・フィル)、「プーランク:クラヴサンと管弦楽のための田園の奏楽、フランス組曲」(デュトワ指揮フランス国立管)のほか、プーランクとラヴェルの全集、サティの作品集等で、2回のグラモフォン賞を含む多くの賞を獲得した。エームス・クラシックスからは、「ラヴェル&ガーシュイン:ピアノ協奏曲」、「ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲、ガーシュイン:ラプソディ・イン・ブルー」(いずれもド・ビリー指揮ウィーン放送響)を、オニックス・クラシックスからは「ドビュッシー:ピアノ作品全集」(全5巻)をリリース。2017年冬、オクタヴィア・レコードより「ショパン&フォーレ:夜想曲集」のリリースが予定されている。
 世界各国でリサイタルを定期的に開催するほか、オールドバラ音楽祭、シティ・オブ・ロンドン・フェスティバル等の音楽祭にも出演している。各国でマスタークラスを開催し後進の育成にもあたり、2014年にはジュネーヴ国際音楽コンクールのピアノ部門審査員長を務めた。
※上記は2017年8月21 日に掲載した情報です。

Q1.自分で影響を受けたと思われるアーティストは?

 パリ国立高等音楽院で多くのことを教えてくれたジュリアス・カッチェン先生を忘れてはいけませんが、もう一人を挙げるとするならグレン・グールドです。実際に会ったことはありませんが、彼のレコードは、それがどんな曲であれ発売されると買っていました。演奏というものの考え方を劇的に変え、可能性を広げてくれた功労者だといえますね。彼は「他の誰とも違った演奏ができないのであれば、演奏するべきではない」という印象的な名言を残していますが、表面的ではない個性の大切さを教えてくれました。

Q2.ヤマハピアノに対するイメージと印象は?

 コンサートでは何度も演奏していますから、とても親しみのある楽器と音だといえるでしょう。ピアニストは本当にさまざまな楽器との出会いを繰り返しますが、同じ楽器であっても演奏する曲やプログラム、ホールの響きによって結果は異なります。そうした中でときどき、楽器のほうから「こんな響きがありますけれど」と提案してくれることがあり、その発見と幸福は一度体験してしまうと忘れられません。今回はCFXが、その喜びを運んできてくれたのです。

Q3.あなたにとってピアノとは?

 ボウイングやビブラートといったフィジカルな追求によって個性的な音を作り上げる弦楽器と比べ、ピアニストは楽器に依存してしまいがちです。常に理想的な音や響き、そしてコンセプトを有していないと、ピアノを弾いても個性的な音楽は生まれず、単なるピアノの音でしかありません。そうした意味では、演奏者に挑戦を強いる楽器であり、自分をいかにして高めていくかを試すことができるハードルのような存在かもしれません。

Q4.印象に残っているホールは?

 このホールと特定するのではなく、日本のホールはどこも素晴らしいと断言いたしましょう。これまで日本では多くのホールで演奏しましたが、一度たりとも不快な記憶がないのです。それは単に音響面だけではなく、素晴らしいコンサートの一部であるお客様の存在についても言及しなくてはいけません。ドビュッシーの作品だけによる繊細なプログラムなどは、日本だからこそやってみようという気になれるのです。そうした勇気も、日本のホールと聴衆は与えてくれます。

Q5.ピアノを学ぶ(楽しむ)方へのメッセージ。

 ピアノの音、音楽の響き、音色や色彩感などに耳を傾け、未知の響きを探し出すという夢を追っていただきたいと思います。プロのピアニストになろうと努力している方たちはもちろん、大人になってピアノの演奏を楽しんでいらっしゃる方も、発見する楽しさや聴き手と音楽をシェアすることの素晴らしさを忘れないでください。