韓国から世界に飛翔するクロスオーバーのヴォーカル・ユニット「フォルテ・ディ・クアトロ」は個性豊かな4人組

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フォルテ・ディ・クアトロ
音楽ライターの眼
韓国から世界に飛翔するクロスオーバーのヴォーカル・ユニット「フォルテ・ディ・クアトロ」は個性豊かな4人組

「フォルテ・ディ・クアトロ」は、韓国初のクロスオーバー・ミュージックのグループを結成するために行われたJTBC TVオーディション番組「ファントム・シンガー」のファイナリストたちである。このオーティションは、まずソロでうたい、次にデュオでうたい、やがて3人、4人と組んでうたう方式。そのルールはとても複雑で、一度落ちても敗者復活戦があったりする。

そして最後に見事グランプリを獲得したのが、「4人の力」を意味する「フォルテ・ディ・クアトロ」。彼らは2017年5月19日、韓国において「Forte Di Quattro」と題したアルバムでデビューした。4人がそのオーディションの様子を語る。

「番組としては、クロスオーバー・ミュージックのスターを発掘するという目的で、オーディションを行ったんですよ。応募は本当に多数で、さまざまな人が集まりました。すでにプロとして活動している歌手もいれば、ひとりではなくグループでうたっている人もいました。まったくの新人も応募し、みんなキャリアはまちまち。その人たちの歌を全員が聴き、生き残りをかけて闘っていく。まさに運命の出会いで、ぼくたち4人もそれまではだれひとりとして知らなかった。それが最終的に組むことになり、ファイナルでは4人でうたったんです。番組の視聴者の投票も加え、結果は優勝となったわけですが、まさに”運命”としかいいようがないんですよ」

番組の審査員は、「彼らのハーモニーは天国から贈られたようだ」と評し、すぐにレコーディングやコンサートが組まれた。デビュー・アルバムを記念した韓国の全国ツアーはすべて完売で、2017年8月8日にソウル・世宗文化会館でアンコール公演が行われた。それを聴くことができ、前日にはインタビューも行った。

フォルテ・ディ・クアトロは3人がテノールで、ひとりがバス。ステージでの立ち位置は決まっており、向かって一番右がハイヴォイスのキム・ヒョンス(テノール)。繊細で美しい高音の持ち主である。ヒョンスよりちょっと低めの声のコ・フンジョン(テノール)は、ミュージカルで鍛えた表現力が武器。そして左から2番目がハイヴォイスのイ・ビョリ(テノール)。のどが強く、リズム感もあり、ノリがいい。一番左がTJソン(バス)。右からhigh、middle、high、lawというわけだ。

「フォルテ・ディ・クアトロ」がうたうのはクラシックからポップス、映画音楽、ミュージカルまでと幅広く、もちろんオリジナル曲もある。

「デビュー録音はぼくたちのあらゆる面を聴いてほしいと思い、いろんな曲を入れました。ソロありデュオあり、全員でうたうところもあり。初めての録音でしたから緊張しましたが、持てるすべてを出したつもりです」

4人の歌声は聴き手に活力を与えると同時に、心を癒してくれる。韓国では大ブレイクの彼ら、そのウェーブがいよいよ日本に上陸した。

2017年11月2日にはイタリア文化会館でデビュー・アルバムのリリースを記念するショーケースが行われ、約1時間に渡って数曲を熱唱し、トークも披露した。

前日には再びインタビューを行ったが、すでにセカンドアルバムの録音を終えたそうで、次なるアルバムはオーケストラをバックにうたうクラシカルな内容だという。

「デビュー以来、本当に忙しくて目の回るような生活ですが、4人とも大好きな歌をうたうことができるわけですから、オーディションを受けてよかったと思っています。4人ともバックグラウンドもまったく異なり、性格も声質も違いますが、それぞれグループでの自分の役割はしっかり認識しています。ですから、喧嘩をしたことは一度もないんですよ。いつも冗談をいいあっています」

一番年長のコ・フンジョンがリーダー格で、みんなをまとめている。キム・ヒョンスはちょっと変わった独立独歩型。イ・ビョリはこれまで唯一プロ歌手の経験のない、いわゆるシンデレラボーイ。英語が堪能な国際派のTJソンは、トークも流暢そのもの。

デビュー・アルバムでは、とりわけオリジナルの「Destino~運命」で燃えたぎるような熱唱を聴かせているが、日本盤のみボーナストラックにこの曲の日本語バージョンが収録されている。さらに限定盤には「永遠にあなたのもの」と題したミュージック・ビデオ(DVD)が付いている。韓国から世界のステージに向けて飛翔する「フォルテ・ディ・クアトロ」に期待したい。なるべく早く来日公演が実現することを願って。


フォルテ・ディ・クアトロ

 

伊熊 よし子〔いくま・よしこ〕
音楽ジャーナリスト、音楽評論家。東京音楽大学卒業。レコード会社、ピアノ専門誌「ショパン」編集長を経て、フリーに。クラシック音楽をより幅広い人々に聴いてほしいとの考えから、音楽専門誌だけでなく、新聞、一般誌、情報誌、WEBなどにも記事を執筆。著書に「クラシック貴人変人」(エー・ジー出版)、「ヴェンゲーロフの奇跡 百年にひとりのヴァイオリニスト」(共同通信社)、「ショパンに愛されたピアニスト ダン・タイ・ソン物語」(ヤマハミュージックメディア)、「魂のチェリスト ミッシャ・マイスキー《わが真実》」(小学館)、「イラストオペラブック トゥーランドット」(ショパン)、「北欧の音の詩人 グリーグを愛す」(ショパン)など。2010年のショパン生誕200年を記念し、2月に「図説 ショパン」(河出書房新社)を出版。近著「伊熊よし子のおいしい音楽案内 パリに魅せられ、グラナダに酔う」(PHP新書 電子書籍有り)、「リトル・ピアニスト 牛田智大」(扶桑社)、「クラシックはおいしい アーティスト・レシピ」(芸術新聞社)、「たどりつく力 フジコ・ヘミング」(幻冬舎)。共著多数。
伊熊よし子の ークラシックはおいしいー

■アルバムインフォメーション

『フォルテ・ディ・クアトロ』
フォルテ・ディ・クアトロ
発売元:ユニバーサルミュージック
発売日:2017年11月1日
詳細はこちら

 

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文/ 伊熊よし子
photo/ Ken Veeder(写真一番上)