木管楽器の美しい響きはアフリカの森林がルーツ?!森林づくりと安定した木材調達を実現するためのヤマハのプロジェクト

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グラナディラ
木管楽器の美しい響きはアフリカの森林がルーツ?!森林づくりと安定した木材調達を実現するためのヤマハのプロジェクト

もし、あなたの楽器に木材が使われていたら。あなたが聴いている音楽が、木材でつくられた楽器で奏でられているものだったら――。その木がどこで生まれたか気に留めたことがあるだろうか。多くの人は、あまり考えたことがないかもしれない。
そして、木を切る現地では、ほとんどの人がその木がその先どこでどうなるのかを知らない。

ピアノやバイオリン、ギターなど、木材からさまざまな楽器がつくられている。その材質が音の良し悪しを大きく左右するのはご存知の通り。そのため、それぞれの楽器やパーツに合った木材が選ばれ、使用されてきた。
クラリネットやオーボエ、ピッコロなどに使われるのが、アフリカ東部のタンザニア、モザンビークに分布するアフリカン・ブラックウッド、通称グラナディラだ。高比重で硬く、音の響きが良いことから、1900年代ごろから欧米諸国をはじめとする世界中の木管楽器に利用されてきた。しかし、製材時の歩留まりが悪いこともあって減少傾向にあり、現在は国際自然連合のレッドリストでは準絶滅危惧種に指定されている。

グラナディラ

悠々の大地に根を張るグラナディラ。水に沈むほど高比重で、とても硬く断面は黒い。

2015年、ヤマハはこのタンザニアで、このグラナディラの持続可能な森林づくりと安定した木材調達を実現するためのプロジェクトをスタートさせた。それには、1970年代に木管楽器製造を始めて以来、現地からグラナディラを調達し、豊かな音づくりに情熱を注いできた経緯がある。
プロジェクトでは、現地NGOや現地製材所、地域住民と連携し、持続可能な森林保全の循環モデルを構築。森林を調査して木の特徴に応じて育成し、育った木の加工・流通プロセスを見直して利用効率を向上させる。そして楽器材料として使ったら、その分の苗木を植えていく。
プロジェクトを率いるのは、ヤマハ企画推進グループの仲井一志さん。大学では森林科学を専攻し、入社当時から楽器用希少木材をターゲットとした材料開発に従事してきた。
「もともとただ植えるだけの森林保全には疑問を感じていましたし、希少だから伐採してはいけないとなると現地の人は困ってしまいます。楽器用材料としての木材は、高い価値がつけられることがありますよね。ですから、植えながらうまく資源を使っていけば、現地の産業になると考えました」

グラナディラ

村人たちが種から大切に育てたグラナディラの苗木と、それを植栽する仲井一志さん。

グラナディラは、毎年約2,000~2,500立方メートルが伐採されているとされる。全世界の産業用木材の丸太原木の年間消費量は約18億立方メートルといわれているので、この数値は全体から見るとほんのわずか。それほど需要が限定されている樹木であり、一方でこの程度の量でも産業として成立する地域の貴重な林産物資源なのだ。

かつては、その木の価値はもとより、どこに運ばれ、どう使われるのかを考えることもなく、言われるがままに伐採していた村の人々。音楽教育が普及していない現地では木管楽器に対する関心はまだ決して高いとはいえないが、自分たちが生産し、伐採した木は日本で高い価値が認められ、楽器として命を吹き込まれていることは広く知られるようになった。
収益は公共のものとして還元され、村には小学校や井戸が出来たり、子どもたちが学校の制服を着られるようになったり。地域の生活向上にもひと役買っている。

グラナディラがもたらしたものは大きい。小学校や子どもたちの制服、村のオフィスや診療所のベッド、そして、井戸を掘り保水設備を設置し、安全な水を手に入れた。

プロジェクトを立ち上げた後も、仲井さんは年に数回現地に足を運んで1か月ほど滞在し、森林の調査・管理をするとともに製材所や村の人々にも心を砕いて使用責任を果たしている。グラナディラは、100~150年かけてゆっくりと育つ。短・中期的な利益だけでなく100年先を見据える大切さを地域住民に伝えつつ、地道な活動が続く。
「アフリカの森林は日本から遠く、無縁の世界と思われることが多いです。でも聴衆の先には演奏者、演奏者の先には楽器メーカー、楽器メーカーの先には森林があり、森林のもとには現地の人たちがいる。すべてを持続可能にしていくことで、本当の意味でのサステナビリティが実現すると僕は思います」

グラナディラ

村人には「村落森林保護区(コミュニティ森林)」に生息する森林の権利が付与された。森を守るため、違法伐採の取り締まりパトロールをしたり、木の研究を手伝ったりと森林の保全に取り組んでいる。

2019年2月4日には「~大切な木管楽器の素材~グラナディラを守ろう~講演とコンサート〜」が開催される予定だ。第1部は「まずは、等身大のアフリカの姿をみなさんに伝えたい」と語る仲井さんによる講演、第2部のコンサートでは小倉清澄さん(クラリネット)、宮村和宏さん(オーボエ)らによる美しい響きを堪能できる。
この機会にぜひ、アフリカと楽器のつながり、そしてグラナディラの深遠なる世界を感じてほしい。

⬛️大切な木管楽器の素材~グラナディラを守ろう~講演とコンサート

日時:2019年2月4日(月)19:00開演(18:30開場)
場所:ヤマハ銀座コンサートサロン(東京都中央区銀座7-9-14 ヤマハ銀座ビル6F)
料金:2,000円(全席自由)
出演:【第1部 講演】仲井一志(ヤマハ株式会社)
【第2部 コンサート】小倉清澄(クラリネット)、宮村和宏(オーボエ)、丸田悠太(フルート)、松下倫士(ピアノ)
※本公演の収益の半額を、タンザニアの農村のグラナディラ植林活動の一部として活用させていただきます。
公演の詳細はこちら

 

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文/ 福田素子