JR水戸駅ビル レディースビッグバンド

音楽の街づくり事業  おとまち

プロジェクト

課題解決に向けた取り組み

  • テーマ:「駅」発地域コミュニティ創成

水戸ステーション開発株式会社×おとまち

MITO レディースビッグバンド by エクセル デビューコンサート

駅ビルを文化の発信拠点へ。
レディースビッグバンド・ソリューション。

Project Summary

課 題
  • JR水戸駅ビル エクセルの活性化
  • 音楽活動が活発な水戸市に精通する地元楽器店などのリソースをつなげたい
  • 地域住民によるコミュニティ構築
提 案
  • コミュニティを地域に根付かせるためのプロジェクトチームを結成
  • レディースビッグバンドを結成
  • 公開練習の実施で、地域に開かれた発表の機会を提供

Trailer

Project Report

  • 成長の記録 01
  • 成長の記録 01
    プロジェクトチームの組成と
    レディースビッグバンドの誕生
  • プロジェクトチームの組成とレディースビッグバンドの誕生

Project Report 成長の記録 01

プロジェクトチームの組成と
レディースビッグバンドの誕生
茨城県のターミナル駅 水戸

茨城県のターミナル駅 水戸

JR水戸駅は茨城県内で最も乗降客数が多く、朝の通勤時には多くの人が駅を利用します。しかし、駅前を行き交う人の流れはどこか無機質で、駅も「ターミナル」という交通インフラとしての機能しか提供できていないのではないか。また、駅ビルはその特性として「移転できない」ということもあり、時代の変化に応じて、さまざまな価値を持続的に提供していかなければならない。そんな課題を抱いた水戸駅ビル「エクセル」を運営する水戸ステーション開発会社からの依頼により、本プロジェクトが開始しました。

地域と企業からなるプロジェクトチームの結成

地域と企業からなるプロジェクトチームの結成

プロジェクトチームは、水戸ステーション開発会社とおとまちのメンバー、そしてヤマハとつながりが深い地元のかわまた楽器店から構成されています。コミュニティを育成するうえで欠かせない「場」を提供するディベロッパーと、地元の音楽事情に精通する楽器店、音楽に関する人脈やノウハウを有するヤマハからなる共同チームですが、そんなチームを作り上げることが、このプロジェクトの特長でもあり、コミュニティを真に地域に根付かせるために重要なプロセスでした。

かわまた楽器店を経営する島田裕士さんは以下のように語ります。
「水戸は音楽が盛んな街で、ビッグバンドもたくさんありました。でも、女性だけのビッグバンドはなかった。楽器をかじったことがあるけど本格的にやったことはない女性、昔やっていたけど今は中断している女性がたくさんいるのではないか。そんなことを考えながら募集を後押ししました」

メンバーの募集開始

メンバーの募集開始

バンドメンバーの募集は水戸ステーション開発会社とおとまちのメンバーが中心となり、かわまた楽器店のコーディネートにより実施。市内各所でのチラシの配布や、ホームページでの募集の結果、定員30名を超える応募があり、2013年10月に「エクセルレディースビッグバンド」は結成されました。
メンバーは、水戸市内や近郊に住む女性たち35名。18歳から59歳と、幅広い年齢層の方が参加しています。月2回の練習は、日本を代表するジャズクラリネットプレーヤーの花岡詠二氏が指導。2014年10月のデビュー・コンサートに向けて練習を重ねています。

ボイス
講座がはじまり、ちょうど半年が過ぎました。練習は真剣かつ、熱心。先生の話に、ときには大笑いをして...。
昼時の練習なので最近は花岡先生に声をかけて、ランチに行くなどアフターファイブの音楽の輪がひろがっていますね。主婦の方、学生さん、お子様のいるお母さまにとって春は忙しい時期ですが、頑張って時間を作って練習に励んでいらっしゃいます。数ヶ月ごとに、公開練習をしていますので、是非みなさん、次回の公開練習をお楽しみに。
おとまち/増井純子
おとまち/増井純子
  • 成長の記録 02
  • 成長の記録 02
    バンド、そして周辺企業が
    地域コミュニティをつくる
  • バンド、そして周辺企業が地域コミュニティをつくる

Project Report 成長の記録 02

バンド、そして周辺企業が
地域コミュニティをつくる
女性だけのビッグバンドが初の公開練習を実施

当日は手作りの看板で告知を行ないました。

水戸の駅ビル「エクセル」を運営する水戸ステーション開発会社が主体となり、おとまちのメンバー、そしてヤマハとつながりが深い地元のかわまた楽器店がサポートする女性だけのビッグバンド「MITO レディースビッグバンド By エクセル」が、2014年5月26日、水戸駅南口コンコースで初の公開練習を行いました。

音楽が「通り道」を「コミュニケーションの場」に変える

通路で始まる公開練習に足を止める人も。

活動を始めて約半年、2014年10月のデビュー・コンサートに向けて練習を重ねているバンドが演奏したのは、おなじみのジャズスタンダードを中心とした全7曲。

曲名は知らなくても誰もが聴いたことのある名曲の数々に、足を止めて演奏を楽しむお客さんも多く、なかでもマイケル・ジャクソンが在籍したジャクソン5もカバーした50年代のロックンロール『Rockin' Robin』では、幼稚園児の女の子もステップを踏んで楽しそうに踊りだしていました。

この日は、バンドの指導を担当しているジャズクラリネットプレーヤーの花岡詠二が指揮とMCを務め、曲間では軽妙な冗談を交えた曲紹介で場の空気を和ませていました。

「今日は練習とミニコンサートごちゃ混ぜな気分でやります」との言葉通りに、単なる公開練習にはとどまらず、通りがかりの人たちも足を止め、拍手をし、感想を語り合い、駅の北口と南口をつなぐ通路がコミュニケーションの場となっていたのが印象的でした。

地元のスターバックスとのコラボレーションも

また会場ではバンドを応援してくださっているスターバックス コーヒー 水戸エクセル店(2014年6月現在改装中)の皆さまのご協力で、バンドの演奏と一緒にコーヒーの試飲も提供いただきました。ストアマネージャーである時女(ときめ)宗久さんは「地域のコミュニケーションのきっかけや場になりたいんです」とお話されていましたが、多くのお客さんが温かいコーヒーを片手にジャズを楽しんでいて、さっそく新しいコミュニケーションが生まれているようでした。

ボイス
スターバックスは地域のコミュニティを大事にしておりまして、今回の公開練習についても弊社のCSR担当者から聞き、是非何かしたいと手を上げさせていただきました。現在、水戸エクセル店はリニューアル中ですが、リニューアル後には快適なスペースを確保しつつ、コミュニケーション用の掲示板を作り、地域コミュニティに関わっていきたいと思っています。
スターバックス コーヒー 水戸エクセル店/時女宗久さん
スターバックス コーヒー 水戸エクセル店/時女宗久さん
ボイス
この日は3回目の公開練習。JR水戸駅南口コンコースで生演奏のジャズビッグバンドの演奏を聴けるなんて、本当に贅沢なひと時。遠くからも美しいハーモニーが聞こえてきて、思わずスウィング♪しちゃいました。メンバーのお子様も沢山聴いていて、手を叩いたり踊ったり、お母さんの演奏を楽しんでいる様子でした。コーヒーと音楽、ビールと音楽...水戸の音楽街づくりの夢がどんどん広がります!10月4日デビューコンサートまでに、益々磨きがかかっていくこと期待大です。
おとまち/増井純子
おとまち/増井純子
  • 成長の記録 03
  • 成長の記録 03
    水戸から全国へ広がる
    音楽コミュニティ いよいよスタート!
  • 水戸から全国へ広がる音楽コミュニティ いよいよスタート!

Project Report 成長の記録 03

水戸から全国へ広がる
音楽コミュニティ いよいよスタート!
駅ビル発、女性だけのビッグバンド、
練習開始から1年でついにデビューコンサートを実施

茨城県内で最も乗降客数の多い水戸駅。その駅ビル「エクセル」を運営する水戸ステーション開発株式会社社長の佐藤一弘氏は、多くの人が集まるこの場所にコミュニティをつくり、駅を魅力ある空間にしたいと考えていました。

「人がたくさんいるだけではコミュニティは生まれないし、魅力あるコミュニティを生み出すためには『楽しむ』という要素が欠かせません。そのようなことを考えていたときに『おとまち』のことを知ったのです」。

音楽を楽しむことで人と人がつながり、コミュニティができる。そしてそのコミュニティによって、駅の利用者がもっと水戸駅のことを好きになる。 そう考えた佐藤氏はおとまちに業務を依頼、水戸の街とのつながりが深い地元のかわまた楽器店もメンバーとして参画しました。人の集まる「場」をコミュニティづくりに活かそうと考えた水戸ステーション開発、長年にわたりって水戸の音楽文化の発展・活性化に貢献してきたかわまた楽器店、音楽を通じて地域のコミュニティを活性化していきたいしていきたいと考えるヤマハ。この3者による共同チームで、プロジェクトがスタートしたのです。

花岡先生指導のもと、最後のリハーサル中

具体的なプロジェクトの内容は、

・水戸はもともと音楽・文化・芸術活動の盛んな地域で、特に音楽においては子供のときから吹奏楽に親しんでいる人が多いこと
・「エクセル」が女性をターゲットとした駅ビルであること

といったさまざまな背景をもとに「女性だけのビッグバンド」養成を提案。このビッグバンドを中心に水戸の駅コミュニティづくりを進めていこうという施策です。 そして、チラシ配布やホームページなどでメンバーの募集を開始。多数の応募をいただき、2013年10月に結成されたのが「MITO レディースビッグバンドByエクセル」です。 そのデビューコンサートが、結成から1年を経た2014年10月4日、エクセル本館の6階、エクセルホールにて行われました。

コンサートは、佐藤氏のご挨拶から始まりました。 佐藤社長もこの1年間を振り返り感慨深げな様子で、まず、バンド結成の経緯の説明、そして「今日のデビューコンサートを皮切りに、今後は水戸の中だけでなく、より外に向けて活動を展開していこうと思います。来年(2015年)の3月には常磐線の東京乗り入れに合わせ、東京駅でコンサートを行って水戸の魅力を伝えたいと思っています」と今後の活動予定を紹介し、さらに「このプロジェクトは、3カ年計画の予定で取り組んでいます。まだ始まったばかりなので、新しいメンバーも大歓迎です!」と、引き続きバンドの輪を広げていく意向であることも話されていました。

1年間、成長を見守っていた水戸エクセルの佐藤社長も感慨深げに挨拶されていました

佐藤社長の挨拶が終わると、『Linger A While』でコンサートは幕を開けました。ゆったりとしながらも流麗な楽曲で、まずはバンドのご挨拶。日本を代表するジャズクラリネット奏者の花岡詠二さんの指揮のもと、バンドは2013年10月からの1年間の練習の成果を確かめるように1曲1曲を丁寧に演奏していきました。

いよいよ演奏スタート! 緊張の一瞬です

選曲は「温故知新の大人のジャズ」をテーマに、かつ各メンバーの楽器キャリアを考慮し、花岡さん自身がバランスをとって選んだ楽曲とのことです。ただ、楽器キャリアが長い人であっても、ジャズ経験者は少なかったそうで、まずは「スウィング」という3連符を基調としたジャズの基本的なリズムの取り方から教え始めたといいます。

花岡さんの軽快なトークで緊張の糸もほどけていきます

老若男女をつなげ、コミュニティを生む音楽の力を実感

「MITO レディースビッグバンド by エクセル」は、公開練習の頃から、曲名は知らずともどこかで聞いたことのあるおなじみのジャズスタンダード曲を中心にレパートリーを広げてきました。この日の演奏曲目も誰もが楽しめる楽曲ばかり。そんな選曲の妙や、熱心な演奏の甲斐もあってか、2曲目『Estrellita』の時点でお客さんのなかにいた小さな子どもが一緒に歌うシーンも。"街のバンド"としてさっそくその役目を果たしていると感じられるひとときでした。花岡さんも演奏終了後には「拍手をしたくなったら拍手を、『ブラボー!』と叫びたくなったら叫んでしまっても構いません」とお話され、会場中が笑いと音楽の楽しさに包まれていました。

お客さまが熱心に聴き入る様子も印象的

その後、アメリカの人気ジャズ・ミュージシャン、グレン・ミラーの生涯を描いた映画『グレン・ミラー物語』にまつわるエピソードを花岡さんが披露。すると次の曲はもちろんグレン・ミラーによる『Moonlight Serenade』です。ゆったりとした曲ではありますが、クラリネットソロを花岡さんが自ら吹くというサプライズには会場中から拍手が巻き起こります!

花岡さんのサプライズのソロ演奏に、思わず聞き入ります

初めてのコンサートということもあり、緊張のためか手が震えているメンバーもいましたが、会場には常にバンドとお客さんが一体となった雰囲気が流れていたことが何よりも印象的でした。ムーディーな楽曲ではお客さんもゆらゆらと体を横に揺らし、ダンサブルな『In The Mood』のような楽曲では会場中のみんなが手拍子で思い思いにスウィング。すばらしいソロには拍手で一緒に盛り上がっていました。

自然と手拍子がわき起こり一体感に包まれる会場

こんな一体感はプロのバンドほどの演奏力をもってしても、簡単に生まれるものではありません。やはり「私たちの街のバンド」だからこそという部分もあるでしょう。音楽は決して特別な才能をもった人たちだけのものじゃない、そんな意見を代弁しているかのようなすばらしいコンサートでした。

最後まで気を抜くことなく、演奏に集中!

はじめの佐藤社長の挨拶のように、今後、このバンドは水戸の外でも演奏活動をしていきます。
このバンドが生まれ育った水戸の魅力、そして、メンバーたちが身をもって感じたであろう、音楽を中心にした人と人とのつながりの素晴らしさをより多くの方に知ってもらうために、いわば水戸の代表として演奏を続けていくのです。

音楽を通じて、それぞれの土地で共感の輪が広がり、新しいコミュニティが生まれていく――。
「MITO レディースビッグバンド By エクセル」の活動が、そのようなムーブメントのきっかけとなることを、私たちも楽しみにしています。

演奏終了後、会場には暖かい雰囲気が流れていました

水戸からどこまで羽ばたいていくのか、とても楽しみです

ボイス
私自身としては「流行りものを追いかけるのではなく、スウィング時代の"大人のサウンド"を文化的に残したい」というテーマをもってバンドの指導や選曲に取り組んでいました。メンバーの楽器歴や熟練の度合いによって楽曲と担当のバランスを取ったりする苦労もありましたが、気構えのあるメンバーが集まっているので上手い下手とはまた違うところで、まとまりのあるサウンドに仕上がっていると思います。水戸のレディスバンドは、ますます楽しみです。
ジャズクラリネット奏者/花岡詠二先生
ジャズクラリネット奏者/花岡詠二先生

Project Report

「エクセル」

茨城県水戸市
水戸駅ビル「エクセル」
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