JSF スウィングカーニバル~誰でも参加できる自由な音楽会をする~

音楽の街づくり事業  おとまち

プロジェクト

課題解決に向けた取り組み

  • テーマ:プログラム開発

定禅寺ストリートジャズフェスティバル実行委員会×おとまち

定禅寺ストリートジャズフェスティバル実行委員会×おとまち

「国内最大級の地域音楽祭「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」。
年々増加し続ける参加者に対応する新しいプログラムを提案。

Project Summary

課 題
  • 観客数約70万人、参加者5,000人超。年々増加する参加者のためのステージ確保
提 案
  • 自由参加型のオープンステージを企画
  • 誰でも自由に演奏参加できる「JSFスイングカーニバル」を実施
  • 200個以上のパーカッションを用意
  • ステージと参加者が一体となったセッションを実施

Project Report

  • 新たな展開
  • 新たな展開
    地元楽器店がプログラムを継承・発展へ
  • 地元楽器店がプログラムを継承・発展へ

Project Report 新たな展開

地元楽器店がプログラムを
継承・発展へ

おとまち/佐藤

Report by おとまち/佐藤

2017年9月9日(土)と10日(日)、雲ひとつない秋晴れの下、27回目となる「定禅寺ストリートジャズフェスティバル(JSF)」が開催され、杜の都は音楽一色に染まりました。

おとまちが企画協力をさせていただいてきた、誰でも参加できるオープンステージのプログラム「JSFスウィングカーニバル」。今年も思い思いの楽器を手にした多くの市民が集まり、セッションで会場が一体となって盛り上がりました。

 実は、この「JSFスウィングカーニバル」、2016年から変化がありました。それは企画協力がおとまちから地元仙台の「銀座 山野楽器 仙台店」へとバトンタッチされた点です。今回は、この新たな展開となるおとまちのビジョンをお伝えしたいと思います。

目次
  • 地元楽器店へ継承を進める、そのビジョンとは
  • 地元楽器店としての思い
    〜銀座 山野楽器 仙台店インタビュー〜
  • 実行委員会の思い
    〜実行委員&実行委員長インタビュー〜
  • ソーシャル・キャピタルの実現に向けて

今年の「JSFスイングカーニバル」にて。佐藤もサウンドシェイプを手にセッションに参加。 今年の「JSFスイングカーニバル」にて。佐藤もサウンドシェイプを手にセッションに参加。

地元楽器店へ継承を進める、
そのビジョンとは

私は仙台で生まれ、幼い頃は、伊達政宗騎馬像のある青葉山公園でよく遊んでおりました。就職して仙台を離れてから、父から仙台で面白いことやっているぞと聞いて、半信半疑で観に行ったのが、このJSFです。初めて観たときは衝撃でした。けやき並木の定禅寺通りがものすごい人で、演奏する人も、観る人も一体となって盛りあがっている光景に感動を覚え、しかも市民の力でこの音楽祭が運営されていることに衝撃を受けました。

仙台は昔から市民意識が高い街で、日本で初めてオンブズマン制度を取り入れた街でもあります。江戸時代から続く七夕祭りも、その火を絶やすまいと戦後、焼け野原になった街に人々は七夕を立てたと言います。このJSFも実は商店を主とした再開発共同組織が始めた音楽企画で、それを市民が受け継ぎ、育て、現在のような日本中、世界中から人が集まる日本で最たる音楽祭になりました。2011年の東日本大震災の年も、JSFは市民の手で開催されました。市民の力が強く活きている街、それが仙台なのです。

JSFで衝撃を受けて以来、私はいつか協力できればと思っていました。地域ならではの音楽祭という文化を盛り上げるためには、市民の力が何よりも大事ですが、ただ、市民だけではどうしてもやりきれない部分は必ず出てきます。そこを“地元の企業”が支援していく。資金だけでなく、人の力、つまりアイデアやノウハウを提供することで、もっと良いものができるはずです。市民が運営を行い、自治体が場所を提供し、地元の企業がアイデアとノウハウを提供する。この3者がつながり、掛け合わさることで、ソーシャル・キャピタルが実現されるはずだと考えていました。

このモデルケースをつくるために、まずは私たちおとまちが企画協力をさせていただいたのが「JSFスウィングカーニバル」です。震災の年の2011年からスタートし、2014年までのスタートアップはおとまちが、2016年からは銀座 山野楽器 仙台店さんと一緒に行い、今年2017年から銀座 山野楽器 仙台店さんへバトンを受け渡しました。おとまちが続けるのではなく、地域のために地域の皆さんが音楽というツールを使って、盛り上げていく。これが、私たち音楽の街づくりプロジェクトの役割だと考えているのです。

  • JSFスイングカーニバル風景 1
  • JSFスイングカーニバル風景 2
  • JSFスイングカーニバル風景 3

年齢も経験も関係なく、誰でも自由に参加できるのが「JSFスイングカーニバル」。

地元楽器店としての思い

銀座 山野楽器 仙台店 管楽器担当マネージャー
関 秀能さん

仙台の街に音楽を楽しむ人を
一人でも多く増やしたい。
その思いを胸に望みました。

銀座 山野楽器 仙台店 管楽器担当マネージャー 関 秀能さん 大学時代はビッグバンドサークルに所属し、ビッグバンドジャズの甲子園「ヤマノビッグバンドジャズコンテスト」に出場し感銘を受けたことが動機となり、卒業後、山野楽器へ入社。海外営業部、銀座本店での営業を経て、2016年4月より仙台店へ。2007年から「山野ビッグバンドジャズコンテスト」の舞台監督を担い、その経験を買われ、JSF担当となる。

おとまちさんからバトンを受け取り、まず心がけたことは、これまで盛りがってきた「JSFスウィングカーニバル」をしっかりと受け継ぎ、誰もが安全に安心して楽しめるように準備から本番まできちんとやり切ろうということでした。

今年から弊社が主となり、実行委員の皆さんと打ち合わせをしたり、話す機会がとても増えて、本当にいろんな方と知り合うことができました。2015年末に仙台店がオープンし、当店がまだまだ知られていない中で、委員会の方をはじめ自治体の方、地域の方々と打ち合わせを通じて知りあえたことは、私たちが地域とつながる、とても大きなきっかけでした。また、有志でご参加いただいた仙台で活躍するトランペッターの沢野源裕さんやホストバンドの東北大学の皆さんの思いも感じることができて、この方々のためにも会場一体となった楽しい時間にしようという思いが沸き起こりました。

 弊社の店頭ではJSFのチラシを置いて、お客さまをお誘いしたり、JSFに参加するためのヤマノミュージックサロン仙台(音楽教室)でオリジナルビッグバンド講座を開催して、一人でも多くの方にJSFに参加していただこうと努めました。実際にお声がけしたお客さまが、会場に楽器を持っていらしてくれたときはとても嬉しかったです。

JSFスウィングカーニバル 「去年も会場でお会いしたお客さまが、「また来たよ」と譜面を取りに来てくださる。とても嬉しかったですね」と関さん。

会場づくりで意識したのは、あくまでも市民が主役となる音楽祭を支援する立場として、なるべく山野楽器の企業色を出さないようにしました。配布する楽譜を置いておく机に敷いたクロス以外は、銀座 山野楽器の名前は出さず、あくまでもJSFの一員として一緒に音楽祭を盛り上げるスタンスで準備をしました。

初めて、私たちが主体として行った「 JSFスウィングカーニバル」、反省点も多いのですが、新しい楽器「ヴェノーバ」で参加してくれたお客さまがいるのを見て、新しい楽器に触れることができるコーナーを設けるアイデアもあるかなと思いました。また、実行委員会の方との打ち合わせの中で、自由に参加できる「 JSFスウィングカーニバル」の特徴を生かして、朝から晩まで自由に出入りできるイベントにしてもいいかもしれません。「一人でも音楽を楽しむ人を増やしたい」と弊社の社長が常々申しているのですが、私も仙台の街にそういう方を一人でも多く増やしていきたい。そのためにも飽きせない新しい仕掛けや工夫を仙台店のみんなで考えて、取り入れていきたいと思います。

発売されたばかりの「ヴェノーバ」で参加してくれたお客さまも。 発売されたばかりの「ヴェノーバ」で参加してくれたお客さまも。

銀座 山野楽器の関さんの「仙台の街に音楽を楽しむ人を一人でも多く増やしたい」という気持ちこそが、JSFを盛り上げ、もっと元気な仙台の街づくりにつながる原点だと思いました。また、関さんには、おとまちができない部分までも担っていただいていると感じています。それは市民の皆さんとの接点です。一人ひとりとのコミュニケーションがJSFへの参加につながることはもちろん、音楽をやってみたい、あの楽器を演奏してみたいという気持ちまでも引き出せるのではないかと、今年の「 JSFスウィングカーニバル」の会場を見て強く感じました。それでは、JSF実行委員と実行委員長からもお話をいただきましたので、ご覧ください。

実行委員会の思い

定禅寺ストリートジャズフェスティバル実行委員会
実行委員 渉外部会 統括 兼 広報担当
公益社団法人定禅寺ストリートジャズフェスティバル協会理事
木村 真介さん

銀座 山野楽器さんは一市民として、私たちと一緒になって、より良いステージを目指してくれました。

定禅寺ストリートジャズフェスティバル実行委員会実行委員 渉外部会 統括 兼 広報担当 公益社団法人定禅寺ストリートジャズフェスティバル協会理事木村 真介さん おとまち東北担当ディレクターでもある木村さん。2011年からJSFに携わり、「JSFスウィングカーニバル」だけでなくJSF全体を実行委員として支える。また、JSF実行委員会の公益社団法人化も支援した。

2011年から始まった「JSFスウィングカーニバル」は、実行委員会の中でもJSFを体現したとても良い企画だとの声が多く、仙台の街の人からも非常に評判の高いステージになりました。今やJSFの看板企画のひとつです。誰でも自由に演奏に参加できて、演奏する人、観る人で分かれることなく、会場が一体となってセッションできる。会場にいる一人ひとりの演奏者が誰でも主役になれる。これはまさにJSFの姿そのものなんです。

仙台の街の人の気質かもしれませんが、みんなとても優しんですよね。ジャズに限らず、どんな曲でも、どんなバンドの演奏でも受け入れてくれて。今年は756バンド、5,169人の市民演奏者が参加してくれましたが、これだけの人数がいると、観ている人の知り合いが出ていたり、それを観て、自分も出てみようと思ったり。演奏する側と観る側の敷居を感じることなく、一緒に楽しもう、みんなで支えようという雰囲気がJSFにはすごくありますし、音楽祭というお祭りなんだと思います。お祭りは誰もが主役になれて、主役が入れ替わることができる。まさに「JSFスウィングカーニバル」がそれをやってくれているんです。

「JSFスウィングカーニバル」は本来で言えば、JSFだけで運営できても良いのかもしれませんが、JSFというこれだけの規模の音楽祭を市民ボランティアが中心となって運営しながら、「JSFスウィングカーニバル」まで手がけるのは非常に負担が大きいというのが正直なところです。それにはやはり企業からの支援が必要で、今回、銀座 山野楽器 仙台店さんにご協力をいただけたことは実行委員会としてとてもありがたく思っています。

「JSFスイングカーニバル」で一緒に楽しむ木村さん。 「JSFスイングカーニバル」で一緒に楽しむ木村さん。「JSFは私がいなくなっても全然まわる組織です。でも、いたらいたでできることはあると思います。だから、ずっと続けていきます!ではなく、自然なカタチで気づけば何十年関わっていた!みたいになったらいいですね」

せっかく山野楽器さんに入っていただいたので、実行委員会としては銀座 山野楽器さんのお客さまに向けた限定企画を入れてもいいのではという意見も出ましたが、銀座 山野楽器さんから「いいえ、これまで通り一市民の立場で引き継がせてほしい」という申し出をいただきました。この姿勢にはとても感謝しましたし、おかげで同じ市民目線で一緒に良いものを目指すことができたと思っています。山野楽器さんには準備から当日の運営までの大きな部分を担っていただき、本当に二人三脚で「JSFスウィングカーニバル」をつくり上げることができました。

「JSFスウィングカーニバル」は、音楽を楽しんでいる人だけでなく、音楽から離れてしまったり、なかなか演奏する機会がないという人にとっての絶好の機会だと思います。また、会場のみんなが演奏する姿を見て、やってみたいと誰もが思える場所になっていると思います。誰もが主役になれる場所として、JSFが続く限り、続けていきたいと思っています。

定禅寺ストリートジャズフェスティバル実行委員会
実行委員長
公益社団法人定禅寺ストリートジャズフェスティバル協会
代表理事 榊原 光裕さん

JSFのイメージそのものを
体現してくれている企画を
大切にしていきたいです。

定禅寺ストリートジャズフェスティバル実行委員会実行委員長公益社団法人定禅寺ストリートジャズフェスティバル協会代表理事 榊原 光裕さん

プロもアマも関係なく誰でも自由に参加できて、音楽ジャンルもジャズという垣根を超えてなんでも受け入れる。入場無料で出演者へのお支払いもなし。そういった垣根をすべてとりはらって始めたのがJSFです。おかげさまで、年々皆さんの関心が高まり、応募をいただく数が今年は1,300超えました。しかし、私たち実行委員会がご提供できるステージは48か所しかなく、今年は756バンドにご参加いただいたのですが、キャパシティも限界に来ています。私たちの理念としては、できれば皆さん全員に出ていただきたいという思いがあり、この「JSFスウィングカーニバル」がその受け皿のひとつとなってくれました。

「JSFスウィングカーニバル」は、おとまちさんからご提案いただき、誰でも参加できる素晴らしい企画だなと思いました。最初に始めた2011年も500人以上の演奏者に集まっていただき、その光景を見たときは、これがJSFのいちばん求めていたことかもしれないと思いました。こうした企画が、ご支援いただきながら続けられていることは非常にうれしいことですし、これからもこの気持ちを大事にしていきたいです。誰でも音楽を楽しめるんだ、自分たちの楽しみ方があるんだというのが、JSF全体の理念を表してくれていると思いますし、この企画はこれから先も続けていければなと思っています。

「JSFスウィングカーニバル」のステージで開会の挨拶 「JSFスウィングカーニバル」のステージで開会の挨拶をする榊原さん。JSFでは各ステージが始まるまえに、東日本大震災で被災された方や支援をしていただいた方に思いを込めて“1分間A(ラ)の音を奏でる”儀式を行っている。榊原さんの合図で、Aの音が奏でられた。

2016年から山野楽器さんが引き継いでくださり、続けて実現させてくださったのは大変うれしいことです。本来でしたら、私たちがやらなくてはいけないことですが、やはり48ステージをすべて市民の手で動かしていくにはできないこともあります。そういう意味で「JSFスウィングカーニバル」を通じた関係性は大事に考えていきたいと思っています。

 現在、実行委員会は2020年の第30回目のJSF向けて、中期ビジョン考えているところです。おそらくというか、間違いなく「JSFスウィングカーニバル」もその中の一つの目玉企画として残っていくと思います。他にも「ジュニア・ジャズ・ミーティング」といった全国から子供たちのビッグバンドが集まるステージも、大変な人気でお客さまが会場に入りきれないくらいになっていて、「JSFスウィングカーニバル」と並ぶステージがあります。こうしたJSFのイメージそのものを表してくれている企画は大切にしていきたいです。

私たちはJSFをむやみに大きくしようとは思ってはいません。規模的にも、今がいちばん良いバランスかもしれません。JSFでは「街にやさしく調和する」という言葉を使ってきました。これからも仙台の街と一体となって、参加する方も参加なさらない皆さんも一緒に、“このフェスティバル=市民の音楽祭を楽しもうよ” というスタンスを実現させていきたいと思っています。

おとまち佐藤 関 秀能さん 「おとまちではやりきれなかったけど、現場にいらっしゃる関さんたちだからこそ、できることが間違いなくあるなと、つくづく思いましたね」と佐藤。「よかれと思ったことは実行委員会にどんどん提案して、お客さまを飽きさせない新しい何かを今後はやっていきたいです」と関さん。

ソーシャル・キャピタルの実現に向けて

ヤマハの前身である日本楽器製造株式会社の第4代社長の川上源一は、“街に音楽が溢れているような世界をつくりたい”と考えていました。JSFのように音楽で盛り上がる仙台のような街が、日本全国の街に広まっていけば、それはやがて日本経済への発展につながると、おとまちは考えています。

音楽祭というイベントをつくり上げていくプロセスの中で、その街の人たちと自治体と企業がつながり、新しいアイデアが生まれたり、参加者がどんどん増えて、演奏や合唱の練習も盛んになり、街全体に活気がみなぎっていく。音楽祭当日だけでなく、準備というプロセスがあって、初めて結束力が深まり、達成感をみんなで味わえる。それが音楽祭を切り口とした街づくりであり、ソーシャル・キャピタルを実現するひとつの方法だと思います。

しかし、おとまちのチカラだけでは足りません。日本全国にある自治体や団体、地域に根ざした企業や楽器店との連携で、音楽による街づくりを推進していきたいと強く願っています。

  • 成長の記録 01
  • 成長の記録 01
    日本を代表する地域主導の音楽祭の「課題」
  • 日本を代表する地域主導の音楽祭の「課題」

Project Report 成長の記録 01

日本を代表する地域主導の音楽祭の「課題」
街ぐるみの音楽祭の先駆け
「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」

街ぐるみの音楽祭の先駆け「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」

「定禅寺ストリートジャズフェスティバル(JSF)」は仙台市で1991年に始まった、市民ボランティアが中心となって運営している、日本を代表する地域主導の音楽祭です。今では各地の市民音楽祭がJSFをお手本にしていると言われています。

毎年9月に2日間行なわれるフェスティバル会期中は、中心地となる定禅寺通りをはじめ、公園や商店街などがステージに変貌。5000人以上の参加者が約45の屋外会場で演奏をはじめると、街は音楽に染まります。

この「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」は、仙台と音楽祭を愛するボランティア市民で構成された実行委員会が通年に渡って運営をしており、フェスティバル当日には約700名のボランティアが参加して作り上げています。

20年以上に渡って愛され続けている音楽祭の新たな課題

20年以上に渡って愛され続けている音楽祭の新たな課題

毎年たくさんの市民ボランティア、ミュージシャン、お客さんが参加している「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」ですが、新たな課題もありました。「演奏者も、聴衆も、運営側も全員が『参加者』。みんなで一緒にお祭りをつくりましょう」というコンセプトがありながら、参加希望のミュージシャンが多く、断らなければいけない状態になってしまったとのことです。

そんな悩みを聞いたおとまちプロジェクトは、自由参加型の企画アイデアを提案しました。

  • 成長の記録 02
  • 成長の記録 02
    「JSFスイングカーニバル」の開催
  • 「JSFスイングカーニバル」の開催

Project Report 成長の記録 02

「JSFスウィングカーニバル」の開催
震災後も継続して行われた音楽祭で、参加自由のステージを開催

震災後も継続して行われた音楽祭で、参加自由のステージを開催

おとまちが提案した誰でも参加できるオープンステージは、初めての試みであるため、じっくり3年かけて話し合われ、震災後の2011年9月に実現することになりました。

数百人の市民が愛用の楽器を持ち寄り、会場でゲストミュージシャンやホストバンドといっしょに大合奏できる「JSFスウィングカーニバル」の実施が決定。おとまちでは、より多くの人が気軽に参加できるように、200個以上のパーカッションのレンタルも実施。イベント当日には、震災後楽器を触ることがなかったという人もいて、再び音楽を楽しむきっかけ作りに貢献することができました。

「市民みんなでつくる音楽祭」
という本来のコンセプトを、おとまちがさらに具現化

「市民みんなでつくる音楽祭」という本来のコンセプトを、おとまちがさらに具現化

JSFは開始以来ずっと、市民によって作られる音楽祭として開催されてきました。演奏することが好きな市民、聴くことが好きな市民、そして音楽祭自体の運営に関わってみたい市民によって、自然なカタチでの「音楽による街づくり」が行なわれてきました。おとまちも、企業としてという意識よりも、音楽好きの市民としての「参加」を心がけています。

企業や行政が仕掛けた一時のイベントではなく、そこに暮らす人たちによって、毎年開かれている音楽祭。そんな「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」のコンセプトをより凝縮させた内容ともいえる、誰でも参加できるオープンステージ「JSFスウィングカーニバル」は、始めて会った人たちが、音楽を通じて触れ合い、より音楽と自分たちの街を愛す新たなきっかけとなっています。

  • 成長の記録 03
  • 成長の記録 03
    市民がつくる、市民のための音楽祭へ
  • 市民がつくる、市民のための音楽祭へ

Project Report 成長の記録 03

市民がつくる、市民のための音楽祭へ
おとまちのサポートも4回目!「JSFスウィングカーニバル」

おとまちのサポートも4回目!「JSFスウィングカーニバル」

今年で24回目となる、日本最大級の市民音楽祭「定禅寺ストリートジャズフェスティバル(以下JSF)」が、2014年9月13日(土)、14日(日)の2日間、宮城県仙台市で開催されました。参加バンド数は700以上、ステージ数は46か所という大規模な音楽祭ですが、ほとんどすべてが市民ボランティアの手で運営されています。

JSFでは、過去3回にわたって誰でも自由に演奏に参加できる「JSFスウィングカーニバル」を実施。音楽の街づくりプロジェクトは、企画協力というかたちで、この日本最大級の市民音楽祭と関わってきました。

地元仙台で音楽を楽しむ方たちでホストバンドを構成

地元仙台で音楽を楽しむ方たちでホストバンドを構成JSFスウィングカーニバルには様々な楽器をもった幅広い年齢層の方が集まります。

JSFは「ジャズ」という名称がついているものの、演奏されているのは、いわゆる純粋なジャズだけではありません。46のステージ上では、ゴスペル、フォーク、ロックなどさまざまなジャンルの音楽が奏でられています。そして街なかを歩くと、いつもいろいろな音楽が聞こえてきて、空気のように音楽を楽しむことができるという、言わば仙台という街全体をステージにした音楽祭です。そのJSFのメインステージで、9月14日(日)の11時から13時まで「JSFスウィングカーニバル」を開催しました。

ファシリテーター(指揮者)は今年もサックスプレイヤーの多田誠司氏が担当。また、仙台在住のトランペット奏者である沢野源裕氏もゲストプレーヤーとして参加。さらにはホストバンドは東北大学のNew Forest Jazz Orchestraのメンバーと、老若男女を問わず地元の音楽愛好家が総勢20人参加しました。

地元仙台を中心に活躍するトランペット奏者の沢野源裕氏。 地元仙台を中心に活躍するトランペット奏者の沢野源裕氏。

ホストバンドにはサンリツ楽器やヤマハの音楽教室に通う方にも参加いただきました ホストバンドにはサンリツ楽器やヤマハの音楽教室に通う方にも参加いただきました。

「JSFスウィングカーニバル」の認知が定着してきたのか、会場となった勾当台公園市民広場は、スタートの11時前にはまさに黒山の人だかりでした。また、不安定な天候にも関わらず、楽器を持参しての一般参加者も200名以上に。地元仙台はもちろん、遠く北海道、東京からの参加者もいらっしゃいました。持参した楽器の種類も、サックス、トランペット、トロンボーンといったジャズではおなじみのもの以外に、フルート、ホルン、ギター、リコーダーを持参される方まで多種多様。自由な雰囲気にあふれていました。 さらに、楽器を持っていない皆さんにもその場で演奏に参加してもらえるよう、約200個のパーカッションやサウンドシェイプの貸し出しも実施。家族連れや友人同士など多くの人がそれらを思い思いに手にしていました。

サウンドシェイプを手にして、その場で演奏に参加する方も。 サウンドシェイプを手にして、その場で演奏に参加する方も。

開催に先立ち、実行委員長の大熊崇生さんから挨拶がありました。

開催に先立ち、実行委員長の大熊崇生さんから挨拶がありました。

「今年のJSFには1,200グループの申込みがありましたが、ステージの関係上、700グループしか出演できません。そこで、出演できなかった皆さんにも演奏する機会をということで、この場が生まれました。それではスタートしたいと思います!」いよいよJSFスウィングカーニバルが始まりました。

セッションで盛り上がる会場の一体感

セッションで盛り上がる会場の一体感New Forest Jazz Orchestraによる華麗な演奏でJSFスウィングカーニバルがスタートしました。

まずは東北大学のNew Forest Jazz Orchestraによる『イン・ザ・ムード』の演奏。ついで、その他のホストバンドのメンバーと一般参加者も加わり『上を向いて歩こう』『ロック・アラウンド・ザ・クロック』の2曲へうつります。

手始めに全員で『上を向いて歩こう』を演奏。息があってきたところで、一般参加の皆さんは、多田氏に指導を受けながら『ロック・アラウンド・ザ・クロック』の練習をスタート。テーマ、コーラス、バックグラウンド1、2と進んでいきます。最初はぎこちなさも感じられましたが、慣れていくにつれて次第に音色もなめらかに。これも合奏の醍醐味でしょう。天候の回復に合わせるように、仙台の青空の向こうに楽しげなメロディが広がっていきます。

そして一通り練習が終わったら、いよいよ会場の皆さんを交えてセッションがスタートしました。

昨年もJSFスウィングカーニバルに参加された神奈川県の男性。見事なソロで会場を沸かせていました。 昨年もJSFスウィングカーニバルに参加された神奈川県の男性。見事なソロで会場を沸かせていました。

トランペットを始めてなんと半年の男性も、ソロに挑戦! トランペットを始めてなんと半年の男性も、ソロに挑戦!

ここでソロをとったのは、30名ほどの皆さん。中学1年生からシニアの方まで、年齢も楽器演奏のキャリアもさまざまですが、「音楽が好き!」という思いはひとつです。
最初は遠慮がちだった方も、多田さんの「大丈夫! やってみよう!」という言葉に背中を押されるようにマイクの前に立つと、見事なアドリブを演奏してくれました。
さらに、ときには多田さんのフォローあり、トランペットのバトルセッションあり、いやでも会場は盛り上がります。

ときには多田氏がステージから降りて、ソロを勧める場面も。 ときには多田氏がステージから降りて、ソロを勧める場面も。

会場で手にしたサウンドシェイプでパーカッションソロを披露する方も! 会場で手にしたサウンドシェイプでパーカッションソロを披露する方も!

管楽器、打楽器。弦楽器...。あらゆる音色が交じり合いながらも、気持ちをひとつにして演奏する。こうして音楽に浸っているうちに、あっという間に2時間が経過。今年のJSFスウィングカーニバルが終了しました。

市民の手による「JSFスウィングカーニバル」

市民の手による「JSFスウィングカーニバル今年も進行を務めた多田氏。熱いトークで会場を盛り上げました。

今回も「JSFスウィングカーニバル」のファシリテーターを務めた多田氏が、企画の魅力を語ってくれました。
「会場に集まった一期一会の皆さんと生の音楽を楽しむ。合奏に参加してもらい、満員の会場でソロのアドリブまで吹いてもらう。JSFスウィングカーニバルは、今まさに音楽が生まれている!という生命力を感じてもらえる企画です。もちろん、参加される皆さんの腕前や楽器のバランスを見ながら、ヒントを出したり共演したり、ファシリテーターとしては本当に大忙し。でも、演奏する側と聞き手側の垣根がすうっと取れていく瞬間に疲れも吹っ飛びます。」

ホストバンドの一員 東北大学New Forest Jazz Orchestraの皆さん。 ホストバンドの一員 東北大学New Forest Jazz Orchestraの皆さん。

また、今回ホストバンドに参加してくれた、音楽愛好家の皆さんにも感想を伺いました。
「サックスを始めてまだ半年です。まだまだ人前で演奏できるとは思っていませんでしたが、事前のホストバンド練習会での丁寧な指導もあり、緊張しましたが楽しんで吹くことができました!」
「普段は個人で練習をしているので、皆で演奏することがこんなに楽しいとは!また参加したいです。」

参加者からも
「ずっと引き出しに仕舞っていたリコーダーで参加しました!」
「北海道から来ました。ソロでは自分を表現できた。楽しい!」
「毎年JSFに出演したいと思っているけれど、なかなかその機会がなかった。だから今回、こうして皆で楽器を演奏できたのは本当にうれしい。来年も絶対に来ます!」という言葉を聞くことができました。

このステージで演奏するために遠方からやってくる参加者も増えた今年のJSFスウィングカーニバル。それはまさしくJSFが仙台の音楽のお祭りとして地域に根付き、そのなかでJSFスウィングカーニバルが仙台という街の音を奏でる一助になっているということではないか。
そんなことが感じられた一日でした。

ボイス
定禅寺ストリートジャズフェスティバルは仙台では9月の風物詩。20年以上かけて、毎年70万人を越える人が楽しむフェスティバルとなり、今では仙台4大祭りの一つとなっています。それだけに、演奏で参加したいという方も多く、全国からの希望者のうち半数にしかステージをご用意できない状況でした。試行錯誤の末、3年前から始まったこのJSFスウィングカーニバルは、誰でも参加し、活躍できるチャンスに溢れた画期的な企画です。"音楽の喜びを全ての方と共有したい。"そんな志で運営してきた私たちJSFの看板企画に育っていくことを期待しています。
定禅寺ストリートジャズフェスティバル実行委員会 運営部会 統括/日下邦明様
定禅寺ストリートジャズフェスティバル実行委員会
運営部会 統括/日下邦明様
ボイス
現在、私たちが把握しているだけで、全国に400以上の市民音楽祭が存在しています。さきがけである定禅寺ストリートジャズフェスティバルには、全国から音楽祭の実現を志す方々が訪れ、企画運営のあり方を参考にしています。市民全員が街ぐるみで楽しむ今日の音楽祭文化の盛況に、JSFは深く寄与したと言えそうです。そんなJSFとおとまちが一緒に作り上げてきた、誰もが参加できるオリジナル企画"スウィングカーニバル"。盆踊りのように、日本中の老若男女が楽しみ、交流するお祭りの一形態となることを夢見ています。 おとまち 東北担当ディレクター 兼 定禅寺ストリートジャズフェスティバル 実行委員会 運営部会/木村真介
おとまち 東北担当ディレクター兼 定禅寺ストリートジャズフェスティバル 実行委員会運営部会/木村真介
おとまち 東北担当ディレクター
兼 定禅寺ストリートジャズフェスティバル 実行委員会
運営部会/木村真介

Project Report

定禅寺ストリートジャズフェスティバル(JSF)

宮城県仙台市
定禅寺ストリート
ジャズフェスティバル(JSF)
http://www.j-streetjazz.com/