ヤマハは2010年より新たな中期経営計画として「Yamaha Management Plan 125 (YMP125)」を策定し、将来への飛躍を期して成長基盤の構築に乗り出しました。YMP125ではヤマハの中長期ビジョンとして次の3つを掲げています。


ヤマハは世界から信頼されるブランドです。海外出張に行った際、「ヤマハの社員だ」と言うと、「おお、ヤマハか。キーボード使っているよ」という言葉をたびたび掛けてもらえるのも、信頼の証といえるでしょう。ところが、たとえば子どもが初めてギターを買いたいと言うとき、親は「ヤマハにしなさい」と言うのに、子どもはほかのブランドが欲しいと言う。ヤマハはかつてのような若者たちにとって憧れのブランドではなくなっていると感じています。もう一度ヤマハを信頼と憧れのブランドにする。力の源泉はやはり「商品力」です。
2010年春コンサートグランドピアノの最高峰“CFX”をアメリカ、ドイツ、日本で発表したところ、各国で大変高い評価を獲得しました。2010年10月にポーランドのワルシャワで開かれた第16回ショパン・コンクールの本選で、CFXを使用したロシアのユリアンナ・アヴデーエワさんが第1位になったのは、ヤマハの技術が世界のピアニストの演奏を支えた輝かしい一例です。
たとえば著名なホールで世界有数のアーティストがヤマハのピアノを弾いていれば、未来のアーティストたちの憧れのブランドになることは間違いありません。そういうポジションを私たちは目指しています。
ヤマハは音・音楽の成長を探るなかで、楽器やAV分野を深堀りする一方、隣接領域への拡大を模索し始めました。ひとつは音楽制作の領域、もうひとつは音を従来とは異なる発想で使う新領域です。
音楽制作の領域では、コンピュータ上で歌声パートの旋律と歌詞を入力すれば、そのまま楽曲のヴォーカルパートを制作できる歌声合成ソフトウェア 『VOCALOID』の開発や、ドイツのソフトウェア会社・スタインバーグ社の子会社化によるシーケンスソフトの活用などが挙げられます。他方のサウンドサイネージやスピーチプライバシー(※注)といった事業分野では、メッセージを送ったり、音を打ち消したりという観点から新たなニーズの発掘に取り組んでいます。近い将来、さらなる成果をお見せできるはずです。
※サウンドサイネージやスピーチプライバシー
サウンドサイネージは音を情報メディアとして捉え、音による情報伝達に注目した新しい概念。スピーチプライバシーは、会議の会話が外に漏れるなど情報漏えいのリスク等を解消する技術です。詳細は下記をご参照ください。
サウンドサイネージ スピーチプライバシー従来、ヤマハは楽器、AV機器などのモノを提供すると同時に、音楽教室の運営などのコトも事業として展開してきました。今後はモノ事業での成長に加えて、コト事業での拡大も積極的に追求し、さらにはモノとコトとのシナジーによる価値創造に取り組みます。
一例が祖父母、父母、子の三世代で音楽を楽しんでいただこうという“ファミリーアンサンブル”(※注)活動です。私を含む団塊の世代は、子どものころからビートルズやエルビス・プレスリーになじみがあり、それより下の世代を含めて生活のなかに自然に音楽が溶け込んでいます。“ファミリーアンサンブル”はこの三世代の家族に向けて新しい音楽の楽しみ方を提案するものであり、コト事業の一つとして今後積極的に取り組んでいく計画です。
※ファミリーアンサンブル
「ファミリーアンサンブル」とは、一番身近な存在である“家族”と一緒に音楽を楽しみ、音楽を通して家族の時間をより豊かにすること。詳細は下記をご参照ください。
ファミリーアンサンブル若いうちから成長の機会を与えます
私が求める人は、自分を磨き、自分なりの意見を持った人です。どんな素晴らしい事業計画も、実現の原動力は人です。ですから、当社の社員には比較的若い時期から大きな責任を持ってもらい、成功や挫折の経験を糧に成長していっていただきたいと思っています。近年は海外の売上比率が増え、海外に赴くチャンスが拡大しています。それに反して、学生の皆さんの海外志向は下がっているようにも見えます。海外での駐在経験は、与えられる権限の範囲が国内よりも格段に広いため、成長を求める人にはまたとない機会になります。我こそはという方はぜひ希望してください。

枠を超える秘訣は好奇心を持つこと
私は29歳のとき、楽器の卸営業からいきなりスウェーデンの駐在員となり、国内営業の経験だけを頼りに海外で仕事を始めました。そこで気づいたのは、スウェーデンも日本も課題への取り組みの本質は同じだということ。眼の色とかライフスタイルが違っても人間の本質に関わることは一緒。このことを比較的早いうちに実感したので、臆せずにどこでも誰とでも接することができるようになりました。ヤマハの求める人材像「Trans-borders 枠を超える」に照らして言えば、これが私の枠を超える経験だったと思います。枠を超える秘訣があったとしたら好奇心。新たな体験への強い好奇心が前に進む原動力でしたね。








