【イベントレポート】「ヨルノヨ-YOKOHAMA CROSS NIGHT ILLUMINATION-」

Japan/Kanagawa Nov-Dec.2021

2021年11月18日(木)から12月26日(日)まで、横浜・みなとみらいの街を舞台に、音と光の最先端技術で街を演出するアートイルミネーションイベント「ヨルノヨ-YOKOHAMA CROSS NIGHT ILLUMINATION-」が開催されています。

「ヨルノヨ」のメイン会場、新港中央広場の「クロスドーム」において、立体音響を実現するヤマハの最新のイマーシブサウンドシステム「AFC Image」が採用されました。その採用理由やヨルノヨのコンセプトなどについて、クリエイティブディレクターの竹川 潤一 氏、ヨルノヨのサウンドディレクションや演出を担当したながしまみのり氏にお話をうかがいました。


アートイルミネーション「ヨルノヨ-YOKOHAMA CROSS NIGHT ILLUMINATION-」概要

ヨルノヨは横浜ベイエリアの街全体を舞台とし、発展し続ける「横浜らしさ」を光と音楽で体験する都市型イルミネーションです。ヨルノヨは様々な体験型イベントで構成されており、メイン会場である新港中央広場の「クロスドーム」で光と音を体験する「NIGHT WALKING」、みなとみらいや馬車道、関内など周辺施設が連動して光と音が躍動する5分間の「NIGHT VIEWING」、横浜都心臨海部12カ所に設置され、人がくぐると光と音が変化する「PORTAL」、船上からヨルノヨのイルミネーションやプロジェクションマッピングが楽しめる夜のボートクルージング「ART CRUISE」などがあります。

NIGHT WALKING
NIGHT VIEWING
PORTAL
ART CRUISE

ヨルノヨで立体音響を可能にした「AFC Image」

新港中央広場には、直径約20メートルのドームと直径約11メートルのドーム2つが連なる光のドームオブジェ「クロスドーム」が設置され、ドーム内ではながしまみのり氏が制作した楽曲が再生されました。クロスドームでは「AFC Image」による立体音響空間を実現するためにフレームの様々な場所に多数のスピーカーが設置されました。クロスドームで使用されたスピーカーは総計58台。スピーカーは屋外設置にも対応するIP35(防噴流型)に準拠した防滴型のヤマハサーフェスマウントスピーカー「VXS8」「VXS5」が採用されました。

AFC Imageとは

「AFC Image」は、あらゆる空間において、思い描くイマーシブな音環境を創り出すオブジェクトベース方式の音像制御システムです。空間内の音を自在にコントロールして創り出す音響演出は、ステージ上の表現やアートの魅力を最大限に引き出し、聴衆をイマーシブな感動体験に引き込みます。「AFC Image」で採用するオブジェクトベース方式は、ライブエンターテイメントにおけるサービスの均一性確保や複雑な演出の要求に対して、チャンネルベース方式にみられたこれらの課題を克服し、新たなミキシングアプローチを提案するソリューションです。

「AFC Image」の詳細はこちら

直径約20メートルのドームと直径約11メートルのドーム2つが連なる光のドームオブジェ「クロスドーム」

クリエイティブディレクター 竹川 潤一 氏 インタビュー

「ヨルノヨ」について

「ヨルノヨ」という言葉は、「しんしんと」のように100年後には日本語の擬態語になるような発語感をイメージし、またヨルノヨで感じてほしい「You will Know You(自分自身を知る)」という意味も内包しています。夜の横浜という風景にも合うネーミングだと思っています。
ヨルノヨは、光と音を介して横浜という街と今の時代が持つメッセージを表現しています。2020年の第1回は、いろいろな人やものが交差する場所である横浜らしさを光と音で表現しようと「CROSS」をテーマとしました。ヨルノヨの音楽をつくる音楽家のながしまみのりさんがコンセプトをつくり、イメージしたことが大事なポイントで、音楽という時間芸術と視覚的な光でコンセプトを表現することで、街にダイナミクスをもたらしました。ひとりひとりが世の中を照らす光、といった想いも込めて実施し、85万人の方にご来場いただきました。

第2回の2021年のテーマは「FLOW-巡る-」です。何かが動いていてフローすれば何かが生まれる、過去からつながり未来に進むというメッセージを込めています。

ヤマハの立体音響「AFC Image」の持つ力

ヨルノヨは、横浜の夜を楽しみ、新しい魅力を体験する機会を生み出す創造的イルミネーション事業の一環ですが、光だけでなく、音も重要な要素であるという考えから、試作段階の「AFC Image」を第1回から使わせていただきました。その結果が非常によかったので、今年も「AFC Image」を採用させていただきました。

「AFC Image」ではたくさんのスピーカーを使って再生される立体的な音響が風景とよく混じります。日によって上がる花火の音と音楽がきれいに混じって聞こえますし、鳥の声や街の雑踏も聞こえる。そこがいいんです。人間の耳はあるゆる方向の音をとらえるので、多チャンネルというのは人間の耳の自然な聞こえ方に近く、それが心地よさを生み出すのかもしれません。イマーシブサウンドは、サラウンドのようにただ音像が動くだけでなく、音の奥行きや音との距離を感じさせてくれます。昨年2020年の来場者アンケートでは、「音楽が良かった」というコメントが多く、それがイベントの満足度の高さに繋がっていました。

将来的には、クロスドーム内でイマーシブサウンドを利用したコンサートを行ったり、ドローンにスピーカーをつけて街中で音楽を体験できるエリアをつくったりと、研究開発にもつながりそうな未来もあるのでは思っています。ヨルノヨの素晴らしさがどんどんいろんな場所に広がって、世界のさまざま街と横浜の共同開催で「横浜のヨルノヨ」がコラボレーションしていくことを想像しています。

サウンドディレクター ながしまみのり氏 インタビュー

「AFC Image」による立体音響再生を前提とした音楽を制作

ヨルノヨでは第1回から作曲だけでなくコンセプトやコンテンツの内容を決める全体のディレクションもしています。3つのドームが集まった「クロスドーム」は、ロックフェスなどにあるテントの格子状にクロスした骨組みからインスパイアされました。ひと・もの・文化が「交差する」という意味も込めています。横浜はベイエリアなので、風や水、海の流れも意識して楽曲を制作しました。

ながしまみのり氏

音響に関してはもともと私は学生の頃からサラウンドの勉強をしていて、音楽再生ってステレオだけじゃないって昔から思って、ヨルノヨでもサラウンドができたらいいなと思っていたんです。そうしたら第1回で試作段階の「AFC Image」をテスト的に使えることになりました。クロスドームは屋外のインスタレーションなので、音量の規制や風の向き、スピーカーの高さなどさまざまな制限があります。スイートスポットをドーム中央として設計しながら、ドーム内のさまざまな立ち位置や向きを考慮して調整しました。
第2回は最初から「AFC Image」ありきで楽曲制作を行いました。コンセプトの「FLOW-巡る-」に合わせて音像をさらに動かしました。ここはLに振り切ろうとか、バイオリンの音は空間の中でこうやって動かそうといったように作曲段階から立体的な定位とスピーカーの配置を考えていました。「AFC Image」はPANなどが素直に反応して立体的な音像が作りやすかったです。規模的にも壮大な曲にしたかったので、AFCのオブジェクトが前回から増えて最大128チャネルになった点はメリットでした。今回の音源はカルテットの録音に加えて打ち込みなどがあり、アンビエンスマイクも含めて120チャンネル強あるものをステムで80チャンネルにまとめています。実際にクロスドーム内で再生してみて、キックを足したりバイオリンのトラックを分けてさらに広がりを出したり、と細かい調整を行いました。
今回は「AFC Image」の3Dリバーブも使用しました。3Dリバーブはオブジェクトの位置によって異なる残響を作り出します。クロスドームは骨組みのみで壁はありませんが、3Dリバーブを使うことで壁のある球体の中に包まれているような音場を生み出すことができました。
「AFC Image」のようなシステムは、新しい表現に寄り添ってくれるし、アーティストにとって表現の幅を広げてくれるので、今後も新しい技術を使ったシステムができた際には、ぜひ積極的に使ってみたいと思います。

サウンドチェックを行うながしま氏
「AFC Image」のコントロールソフト画面
信号伝送にはデジタルオーディオネットワークDanteが採用された

「ヨルノヨ」公式ウェブサイト
https://yorunoyo.yokohama

製品情報

イマーシブサウンドシステム AFC Image
シグナルプロセッサー MRX7-D
DANTE ACCELERATOR AIC128-D
ネットワークスイッチ SWP1シリーズ
パワーアンプリファイアー XMVシリーズ
スピーカーシステム VXSシリーズ
NEXO パワードTDコントローラー NXAMP4x1MK2
NEXO サブウーファー IDS210-T