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シネマDSP-plus シネマDSP20周年を機に、進化したシネマDSP-plus、新登場。

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AV機器事業部 商品開発部 技術開発グループ 
DSP担当技師補 大橋紀幸さん(左)
DSP担当主任 二宮知子さん(右)

06年秋登場の新しいミドルクラスDSP AVアンプ、DSP-AX2700/1700から採用されることになった新機能、「シネマDSP-plus(プラス)」。定評ある「シネマDSP」の臨場感をさらに磨き上げ、多様化するホームシアター・コンテンツへの対応力を高めるとともに、ユーザーにとってもより使いやすいものへと進化しているようです。ここでは、このシネマDSP-plusが従来のシネマDSPと比べてどのような魅力を備えているのか、またわれわれユーザー側にどのようなメリットをもたらすのか、といったあたりを中心に、ヤマハ(株)AV機器事業部 商品開発部 技術開発グループDSP担当技師補の大橋紀幸さんと、同じくDSP担当主任の二宮知子さんの2名をお招きして、お話を伺っていきたいと思います。

AV機器事業部 商品開発部 技術開発グループ 
DSP担当技師補 大橋紀幸さん

反射音図 The Bottom Line(改良前)

反射音図 The Bottom Line(改良後)

反射音図 Hall in Vienna(改良前)

反射音図 Hall in Vienna(改良後)

時間でなく音量を基準としたサンプリング処理

‥‥‥さっそくですが、今回のシネマDSP-plusでは、音場再現がさらにリアルに、そして自然なものになっているそうですね。具体的に、これまでのシネマDSPとは何がどう違っているんでしょうか?

大橋:技術的な面から見ると、音場のサンプリング基準の変更というのが一番大きいですね。

‥‥‥サンプリング基準、ですか。

大橋:はい。そもそも、ホールなどで実際に測定した音場データには、何百~何千本という膨大な数の反射音が含まれています。処理能力の問題で生のままのデータをそのままAVアンプのLSIに入れることはできませんから、重要度の低いものから順に間引いていく作業が必要となるわけです。その際に、先代のDSP-AX2600/1600までのモデルでは時間軸方向で遅いものから順に間引いていました。ところが実際にいろいろ研究してみますと、実は遅いもの(時間軸)より音量(振幅)の小さいものから間引いていったほうが、生の響きにより近い結果が得られたんです。

‥‥‥へえ、そうなんですか。何となくそういう話を聞くと、確かに音量の大きいもののほうが聴感上に効いてきそうな気がします。でも、それってコロンブスの卵のような発想ですよね。こう言っては失礼ですけど、今まで誰も気づく方がいらっしゃらなかったんですか? それとも何か社内的な事情とか(笑)。

大橋:いえいえ。もちろん気づいていなかったとか、やっていなかったということはありませんよ(笑)。いわゆるフラッグシップ機と呼ばれる最上級モデルでは、以前から時間軸、つまり「遅延」と、音量すなわち「振幅」の双方を見ながらデータを造っていました。ただ中級機や入門機では、当然ながら搭載できるデバイスの能力が限られてきますから、フラッグシップと同じデータを積むわけにはいかないんです。

‥‥‥まあ、それはそうですよね。

大橋:ですからフラッグシップ以外の下位モデルでは、フラッグシップ用のデータをベースに、あまり影響のない部分を切っていって、各機種の処理能力に見合ったグレードのものにするわけです。もちろん単純に切っていくわけではなくて、フラッグシップと聴き比べて明らかにキャラクターが変わってしまっている場合は再調整を加えます。今回のDSP-AX2700/1700も、位置付けとしては中級機ですから、本来ならこういう手法でプログラムが作られるはずだったんです。

‥‥‥それはそうですよね。

大橋:ところがそこへ営業サイドから、DSP-AX2700/1700はDSP20周年の記念モデルなので、何かそれにふさわしい機能を加えることはできないかという話が来まして、もともと私と二宮のほうでは、今後のモデルで実現する将来のシネマDSPをどうしていくかというビジョンはいろいろと練っていたので、こんなことを今考えていますよ、といくつか箇条書きにした資料を提出したら、よし、それをすぐにやってくれ、と(笑)。

‥‥‥それは、いかにも営業さんっぽい話ですね(笑)。

大橋:ねえ(笑)。かなり先を見据えたプランも提出していましたから正直なところ、けっこう慌てました。おまけに、開発サイドとしては中級機だからハードウェアの制約はそのままですよと言われて(笑)。ともあれ実現可能な範囲でやってみましょうということで、膨大な数の反射音を持つ元データをどのように加工すれば限られた容量でも元に近いものになるかはいろいろと実験して以前からいろいろと試していましたから、今回はそのノウハウを使って、とにかく反射音のデータから見直して、造り直してみることにしたわけです。

‥‥‥それが冒頭に出てきた、時間ではなく音量を基準としたサンプリング処理ということなのですね。

大橋:そのとおりです。結局のところは、フラッグシップで従来から行っていたオーソドックスな手法を中級機にまで展開したわけなんです。実際には時間基準か音量基準かという単純な話ではなくて、反射音数が限られた中級機でも条件に合わせてデータを造り込めば絶対に良くなる、ということが実験でもわかっていましたので、今回はそれが製品として実現できたということです。

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