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●エジソンによる蓄音機の発明から130年。ロウ管録音からデジタル・マルチチャンネルへと至る機器とフォーマットの劇的な進化は、「より忠実な音を、 いつでも好きなときに体験したい」という夢へオーディオが一歩ずつ近づいていく道程でもありました。
●周波数特性やS/N、歪率といった再生信号の特性的な忠実度において、現代のデジタルオーディオはひとつの到達点に達したと見ることができます。かつ てアナログオーディオで感じた、再生レンジやノイズレベルに対する物足りなさも、もはや過去のものとなりました。しかし、家庭のオーディオシステムやホ ームシアターで再生される音の多くは、私たちがコンサートホールや映画館で実際に体験する迫力や感動と未だ隔たりがあるのも事実です。
●その大きな理由のひとつに、音を聴く空間の「音場」の違いが挙げられます。「音場」とは、ある空間が本来持っている音の響きかたを指す言葉ですが、空 間の広さも構造も決定的に違う一般家庭とコンサートホールとではその性質が大きく異なるため、仮にそれぞれの場所で同じ音源の音を聴いたとしても、結果 としてリスナーの耳にはまったく違う音が届くことになります。いかに素晴らしい録音がなされたプログラムソースであっても、また高性能な再生装置であっ ても、コンサートホールや映画館で味わう迫力と感動を、そのまま家庭に持ち込むのが困難であった理由はここにありました。
●この「音場」の違いを克服するためにヤマハが世界に先駆けて提唱したのが、本物のコンサートホールや映画館さながらの「音場」を家庭の再生装置で忠実 に再現すること。すなわち「音場を創る」という考え方です。『四畳半をコンサートホールに』を合い言葉に開発された世界初のデジタル・サウンドフィール ド・プロセッサー「DSP-1」(1986年)以来、この「音場を創る」という考え方は、ヤマハのデジタルホームシアターの音づくりの基本思想として受 け継がれ、今日まで発展を遂げてきました。ヤマハDSP AVアンプの「DSP」は、一般用語としての「デジタル・サウンド・プロセッサー」あるいは「デジタル・シグナル・プロセッサー」の略ではなく、「音場 創成」、つまり「デジタル・サウンドフィールド・プロセシング」そのものを意味する言葉なのです。
●真にリアルで自然な音場創成を追求した結果、「DSP-1」の開発においては、世界中の著名なコンサートホールや劇場を巡って生の音場データを収集 し、それをデジタル化して機器内の専用LSIに直接組み込む、という前代未聞の手法が採用されました。この手法自体は最新のDSP AVアンプでも基本的に変わらず、映画用を含むほぼすべてのサラウンドプログラムに、現代のデジタル技術でさらに再現性を高めた生の音場データが活かさ れています。
●それでは、ヤマハがなぜ「音場創成」という考え方を世界で初めて具現化し、他の追随を許さない独創技術として今日まで育てることができたのでしょう。 それはヤマハが音と音楽に深く関わる楽器メーカーであり、LSIなどの半導体を開発・製造する先端企業であり、さらにコンサートホールなどの設計も数多 く手掛けるという、世界的にも極めてユニークな技術集団であることと大いに関係があります。もともとヤマハは自社で製造した楽器の音の評価を目的として 建築音響の研究をスタートさせ、その経験をもとに1974年からはコンサートホールの設計を開始。「DSP-1」の発売時点で、既に日本国内だけでも 82件のホール設計を行っていました。また、1971年のICおよびトランジスター製造開始(1983年にはカスタムLSIの製造も開始)以来、エレク トーンやシンセサイザーに使われる、音の質と表現力にこだわった半導体の開発製造にも豊富な実績を持っています。これらの膨大なノウハウが、楽器やオー ディオ機器の分野で培われたヤマハの音づくりの理念とひとつに融合することで、それまで誰も踏み入れることのできなかった「音場創成」という新たな領域 へ向かう原動力となったのです。
●生の音を知り、その音が解き放たれる空間の響きを知り、理念を具現化するために必要な最先端の技術を持つヤマハだからこそ到達できた、「音場創成」と いう新領域。これこそが、ホームシアターやホームオーディオの再生音に真の迫力と感動を与える確かな道であると、私たちヤマハは信じています。









