Lee Ritenour(リー・リトナー)

ヤマハのサイレントギターとの出会いについて教えてください。

LR: 2、3年前にロスで開催されたNAMM SHOWという大きな楽器展示会に足を運んだ時、ギターショップを経営するあるギターテクニシャンにばったり会ったんです。彼が「ヤマハのブースへはもう行った?ヤマハの新しいギターを見た?」と聞くので「まだだよ」と僕が答えると、ブースに連れていってくれました。そこで初めて、その新しいギター、サイレントギターと出会ったのです。

サイレントギターを初めてご覧になった時の印象はいかがでした?

LR: 最初にこのギターを見た時は、“なんだ?変な楽器だな。”と思いましたね。ボディー部が取り外し可能なのでびっくりしました。ツアーの際、航空会社に壊される心配が無いですよね。(笑)ブースのサイレントギターにはヘッドホンが差し込まれていて、リバーブもついていたので、すぐに試奏できました。そして実際にこのギターを弾いてみると、「もっと弾きたいな」っていう気持ちになりました。ギターを買おうとしている人には、いつもこの点が一番大切なんだ、と僕はアドバイスします。ギターを手にして持った感じが良く、プレイしたい気分になれば、たぶんそれが自分に合ったギターなのでしょう。必ずしも高価なギターである必要はありません。リーズナブルなものでも自分の手にしっくりくるものがあると思います。

ヤマハのサイレントギターはデザインがシンプルながら、完ぺきです。バランス、サウンド、そしてチューニングもイントネーションもよく、とても弾きやすい。最初は、「弾いてみたらきっと違和感があるだろうな」と思っていましたが、演奏してみるとボディーの形状が自分の身体にぴったり合っていたんです。これはまさしく私にとってのヒット商品ですね。(笑)

もともとこのギターはプロ用ではなくて、主にはツアー中や、オフィスで弾くためのものでしょう。持ち運びを考えてボディの一部が外せるデザインになっていますし…。しかし、僕が気に入って使い始めたら、ほかのプロのミュージシャンたちも使い始めたんですよ。ルックスがスマートでいいギターだって。

ではサウンド面でサイレントギターの魅力を教えてください。どこに惹かれますか?

LR: 音の均一性とバランスの良さですね。音がマイルドで、甘い音がします。コードを弾いている時や、ソフトに弾いている時は、ほとんどアコースティックギターと同じような感じです。それでいて、力強く弾くとファンキーな感じになりますね。

それまでお使いだったクラシックギターとサイレントギターの違いは?

LR: いつも僕が使っているクラシックギターは1974年に僕のためにカスタムメイドされたもので、これもヤマハ製です。ピックアップが内蔵されているのですが、レコーディングで使う時はマイクを使うことのほうが多いです。一般的なギターの場合は、ギター全体が振動しているのがわかります。しかし、サイレントギターは最新のテクノロジーを駆使したもので、ボディーがありません。弦自体の振動以外は振動するものがないのです。ボディーが共振しない分、とても音のバランスがいいんですよ。通常のギターの場合に、ボディーの木の振動がストリングの振動とぶつかり合ってしまうことが時々あります。一本の弦がほかの弦よりも音が大きかったり、小さかったり、一つの音が飛びぬけて大きく出てしまったり、弱く出てしまったり。サイレントギターは、ぶつかり合うものがないのでバランスは完ぺきです。このギターを弾き始めてすぐに分かったことですが、どこを弾いても均一な音が出ます。これは僕にとって、とても大切なことでした。僕の1974年モデルも含めて、世の中で名器と言われるクラシックギターはすべて音のバランスがとてもいい。このギターのようにバランスがとれているものを探すのは難しいことなんですよ。

サイレントギターは一般的なギターと形状が違いますが、弾き心地はいかがですか?

LR: 僕はこのギターの弾き心地の良さに驚いています。立っていても、すわっていても、とっても弾きやすいデザインになっています。それにとても軽いので疲れないんです。中にはすごく重いギターもあるんですよ。特にエレキギターは。2、3時間弾いていると肩が痛くなってしまいます。ですが、このギターは軽いので何時間でも弾いていられます。

SLG100NWをもとにしたプロトタイプ

温もりのある自然なサウンドが必要となった時サイレントギターが応えてくれる

リトナーさんにとってエレキギターとアコースティックギターの違いは?
LR: まずサウンドがまったく違いますよね。弾き方も違います。アコースティックギターは主にコードを弾く時に使っています。エレキに比べると温かくて、自然なサウンドです。ステージでは、エレキでありながら、アコースティックギターのようなサウンドを持つヤマハのサイレントギターを使っています。ちょうどエレキとアコースティックギターの間に位置するようなギターですね。サイレントギターはナイロン弦のモデルを使っています。弦によっても弾き方は変わります。
ライヴではサイレントギターを弾きながら、ボリュームペダルをお使いでしたが?
LR: ボリュームペダルはサウンドのボリュームを変えるもの。音楽に抑揚をつけたいと思った時に、エフェクトのように使うことができます。またもう少し大きい音で弾きたい時とか、少し弱い音で弾きたい時にも使えます。僕は、ある音を特に強く弾いた後、だんだん弱くしていきたい時などで使いますね。主にエレキギターで使っていたのですが、サイレントギターで使ってみたところ、とてもいい効果が得られたのでよく使っています。
ところでライヴやレコーディングでスチール弦のアコースティックギターもお使いになることはありますか?
LR: もちろんです。自宅にはスチール弦を張ったヤマハのアコースティックギターが何本かあります。主にはレコーディングの時に使っています。チューニングを変えることもありますね。ギター全体を2音半下げた、Low C のチューニングにしたり、GとDの弦を1オクターブ高いチューニングにする時もあります。

ギターとの出会いが僕の人生を素晴らしいものにしてくれた

ギターと出逢って、どんなものが得られたと思いますか?
LR: ギターは僕に大きなプレゼントをくれました。僕は8歳の時からギターを弾いていますが、ギター以外の楽器をやりたいと思ったことはありません。ギターのおかげでこれまでずっと楽しい人生を送ることができています。アマチュアでも、プロを目指している人でも、人生の中に音楽がある、というのは大切なことです。音楽は日常生活でたまったストレスを癒してくれます。
日本では青春時代にギターを弾いていた30歳、40歳、50歳の人たちの間で、もう一度ギターを弾きたいという人が増えています。そんな方にメッセージをお願いします。
LR: 僕はナイロン弦とスチール弦の両方のサイレントギターを持っていますが、もう一度ギターを弾きたい人にとってはとても弾きやすくて、楽しめるギターだと思います。ピックアップがついているのでアンプにつなげますし、CDをかけられるような、自宅にあるサウンドシステムにもつなげますし、コンピューターにもつなげます。とても柔軟性のあるギターですね。その上、このギターはとても弾き心地がいいんです。さらにリーズナブルであることも魅力です。非常に手頃な価格ですね。ギターにはびっくりするほど高価なものもありますが、どれくらい真剣にギターに取り組むかまだわからないうちに、何千ドルも投資したいと思う人はいないですよね。あっ、ちがった。何百万円(笑)か。ですから、最初はリーズナブルなギターを買った方がいいのではないでしょうか。僕はプロですが、このギターを使っています。もう一度ギターを弾きたいと思っているなら、このギターはお勧めですよ。
ヤマハのアーティスト・サポートについてご意見をいただけますか?
LR: ヤマハのアーティスト・サポートのすばらしさにはいつも驚かされます。ヤマハのインタビューだからそう言っているのではありませんよ。ヤマハは巨大な企業です。ありとあらゆる楽器を作っています。ヤマハが作っていない楽器はないと思います。会社が大きすぎて、しっかりとしたサポートができないのではと不安でしたが、まったくその逆で、とてもしっかりとサポートしてくれています。ドラムであろうと、ギターであろうと、キーボードであろうと、それぞれの担当セクションが、サポートするべきミュージシャンを精一杯フォローしています。ギター・セクションの人たちもすばらしくて、僕はとても助けられているんですよ。きっとこれはヤマハ全体の姿勢なのでしょうね。著名なアーティストだけではなく、一般の人々に対しても同じなのだと思います。ヤマハは自分たちの楽器を使ってくれている人たちに対してとても思いやりがあるのでしょうね。
今後の活動について教えてください。
LR: 2005年はツアーの年ですね。来年にはレコーディングを行う計画があります。あと、みなさんが驚くようなプロジェクトもあるかもしれませんよ。

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