

大室 裕昭 (商品開発部打楽器設計課)
1981年入社。これまでにティンパニと、ビブラフォン、グロッケンシュピール、マリンバ等の音板打楽器の開発・設計を担当。現在は打楽器全般における新商品開発のプロジェクトリーダーや設計リーダーを務める。
※所属部署および部署名は取材当時のものです。
この楽器を開発することになったきっかけを教えてください。
- 大室)
- このCSMシリーズは、GSシリーズのDNAを受け継いだモデルです。これは学校現場をよくご指導されている先生からいただいた意見を参考にしました。「GSシリーズは非常によいモデルなんだけれども、実際、学校現場で購入していただくには価格帯が高すぎて手が出ないという声をよく聞く。GSシリーズのコンセプトを受け継ぎながら価格を抑えたモデルをつくったらどうか?」というアドバイスを元につくられました。
価格を落としてもいかにGSシリーズのDNAを受け継ぐかというところで、苦労した点はありましたか?
- 大室)
- やはり深さをどのくらいにするかというのがポイントでした。スネアドラムは、14インチの直径には5 1/2インチの深さが標準的といわれていまして、5 1/2と6インチのモデルにするのか、5 1/2と7インチにするのかというところで迷っていました。しかしどちらでもなく、結局5 1/2ではなく5インチにするというところにたどり着くまでに試行錯誤を重ねましたね。スネアドラムとしては5インチが一番反応が良くてなおかつ音量がはっきりと出るという点がわかったので、5インチを標準と定めました。
基本的にスネアドラムはヘッドを叩いてどれだけスネアが反応するかというのがポイントになります。ヘッドがエッジ(スネアドラムのふち)と接触しているところのやや内側をppppくらいで叩いたときにざっと鳴るかどうかというのが大切なんですね。まさにボレロの出だしみたいなイメージですね。そういう意味ではできる限り浅いもののほうが有利なんです。でも浅いスネアドラムはよく響かなくなってしまう。実験した仕様では薄っぺらい音になってしまって低音も響かなくなって豊かに響かなかったんですね。
結果、響きを殺さずに反応も良くということを考えたときに、5インチが最も適したサイズだということになったのです。
CSMシリーズ以上のモデルに搭載されている、「ベアリングエッジ」とはなんですか?
- 大室)
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ベアリングエッジは、エッジの頂点の位置を内側にずらしているということです。これまでのヤマハのスネアドラムは、頂点の位置をシェルの一番外側にしていたんですがそれを内側にしたんですね。
それがピアニッシモでの反応にすごく関係しているんです。エッジの外側に頂点位置があると、ヘッドからのエネルギーがスネアに伝わりにくいんですね。エッジを内側にしたところ、ヘッドを叩いてシェルを伝うエネルギーがシェルから内側を通るようになり、スネアが反応しやすくなったんですよ。
今まではヘッドのエネルギーが外側に逃げてしまう傾向にあったのが、頂点の位置を内側にしたことで振動がドラムの内側にとどまるようになったということですね。
そうなるととにかく反応が早い。このシリーズではとにかく反応の早さを追求するという課題があって、そこから始まっていたんです。それをどうやってよくするかということを追求した結果、このベアリングエッジを採用することになりました。
このシリーズには、直径13インチ×深さ4.5インチという特殊なサイズのモデルCSM-1345がありますが、これをつくったのはなぜですか?
- 大室)
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以前からヤマハではピッコロスネアに相当するモデルを出していたのですが、このモデルを出すことによってすべて代用できると考えて、このモデルに統合してしまったんです。
ピッコロスネアタイプは絶対にひとつは必要と思っていましたし、その定番とするのにこのモデルが一番適していたということです。
いわゆるピッコロスネアは深さが3インチとか3.5インチなど非常に浅いものが一般的なんですが、そういった深さが浅すぎるものは使われる場面が限定されすぎてしまうんですね。
このような背景を踏まえ、使われる場面を広げるためにこのサイズにしたのです。
ピッコロスネアとしてのみの使用に限定してしまうよりは、より幅広く使用場面を広げたかったんです。5インチの代用としても使えますから用途は広がります。
小編成のバンドや、スネアドラムの音色を目立たせたいときにピッチを高くしてピッコロスネアの代わりとして使用したり、小さい音量を求められる場合にこれを使ったりすることもできます。非常に利用の幅が広いので、中村功さんも個人的に欲しいとおっしゃってくださいましたね。



