マーチングマルチタム

マーチングマルチタムのお手入れ・メンテナンス・チューニング

チューニング

マルチタムのチューニング

マルチタムの種類には、トリオセット(3個)、クォードセット(4個)、クイントセット(5個)、シックステッドセット(6個)とあり、チューニングは使用する編成に合わせて決めます。
例えば、バスドラムを複数のサイズで使用しない編成の場合、クォード若しくはクイントを用いるケースが一般的です。
バンドに対してのボリューム感を響きで稼ぐ事が出来るからです。
バスドラムを複数台使用するケースでも、マルチタムのプレイヤーが1~2人である場合、または技術的に高度な要求の無い場合は、テンションを上げすぎない方が良いでしょう。ハイテンションチューニングで演奏する場合、音楽(楽譜)がそのようなサウンドを要求しているかどうかが重要です。(フラムやドラッグ、スウィープなどの技の有無など)

チューニングの手順

〔図-1〕 マルチタムの音程チェック

1)〔図-1〕に示すドラムヘッドのポイントをマレットで軽く叩き、音程を確認します。
(チューニングで使用するマレットは柔らかい方が音程を確認しやすいです。)
音程はピアノや、木・鉄琴、チューナーの出力などの音源を聞いて確認して下さい。
チューナーの入力では音程を拾わなかったり、別の倍音を拾う事があります。

〔図-2〕 締めボルト間の音程チェック

2)次に締めボルト付近〔図-2〕を軽く叩いた音がそれぞれ揃っているかを確認します。
各ポイントの中でもっとも異なったピッチのボルトを優先的に調整し、音程を揃えて
行きます。(締めボルトは締めれば音程は上がり、緩めれば音程は下がります。)

3)各締めボルト間の音程が揃えば、もう一度〔図-1〕に示すポイントをマレットで軽く叩き、音程を確認します。
ドラムの音程が、合わせたい音程より低ければ、すべての締めボルトを少しずつ均等に締めて行きます。また、同様にドラムの音程が、合わせたい音程より高ければ、すべての締めボルトを少しずつ均等に緩めて行きます。
なお、締めボルトを締める順番は〔図-3〕に示すような順序で行えば、フープ、シェル、ラグなど各部品を傷める事無く行えます。

〔図-3〕 締めボルトを締める順序

POINT!

  • マルチタムの各サイズ間の音程差は、短三度(ディミニッシュスケール)が一般的ですが、お客様の好みに合った音程差でチューニングして頂くのが一番です。〔図-4〕
    いうまでもありませんが、マルチタムはドラムであり、チューニングはできても、ティンパニーの様に、ハーモニーを支えたり、メロディーを歌うようなはっきりした音程表現は困難です。
  • ミュートは基本的に必要ありませんが、お客様の音へのこだわりにおいて、好みに合わせて行なって頂いて差し支えありません。
  • 複数のマルチタムを使う場合には、トリオだけ、またはクォードだけに統一して使用してください。
    トリオとクォードを混合すると。編曲や奏法に無理が生じます。
  • 〔表-1〕に、マルチタムが良く響くチューニングレンジをまとめました。
    ご参考までにご活用ください。

〔図-4〕 短三度(ディミニッシュスケール)の例

〔表-1〕マルチタムの音域表
品番 最低音 最高音 ヘッド
MQ-206B D42 F#46 DH6-250SW
MQ-208B B39 D#43 DH8-250SW
MQ-210B G#36 C40 DH10-250SW
MQ-212B F33 A37 DH12-250SW
MQ-408E B39 D#43 DH8-250UC
MQ-410E G#36 C40 DH10-250UC
MQ-412E F33 A37 DH12-250UC
MQ-413E D#31 F#34 DH13-250UC
MQ-606D D42 A49 DH6-250UC
MQ-608D B39 F#46 DH8-250UC
MQ-610D G#48 D#43 DH10-250UC
MQ-612D F45 C40 DH12-250UC
MQ-613D D42 A37 DH13-250UC
MQ-806F E44 B51 FM2-CL06
MQ-808F C#41 G#48 FM2-CL08
MQ-810F A#38 F#45 FM2-CL10
MQ-812F G35 D#42 FM2-CL12
MQ-813F E32 B39 FM2-CL13
  • MQという記号は、マルチタムのセットのうちの太鼓一個の単位で、便宜的に用いました。

ヘッドの寿命について

チューニングボルトを全てゆるめてみて、ヘッド中央部分がたるんでしまったり、でこぼこになっていると既に寿命です。
使用状況によって、かなりの差がありますので、月に1~2回はチェックしてください。

日常の取り扱いについて

  1. 使用後はヘッドを緩める必要はありません。
  2. ヘッドにほこりは禁物、こまめに掃除をしてください。シェル(胴)は柔らかい布でカラ拭きをします。
  3. タムのエッジ部分(カッティングしてある所)を傷つけないように注意してください。

日常のお手入れには、ヤマハお手入れ用品をご使用ください。

楽器のトラブルと解決法

起こりうるトラブル チェックポイント 解決法
チューニングできない 締めボルトが回りにくい 締めボルトネジ部にグリス塗付
ラグは浮いていないか ラグ取付ネジの増し締め(損傷の場合は交換)※3
ヘッドは傷んでないか※1 ヘッド交換
フープは歪んでいないか フープの方向を180°変えてセットしなおせばある程度は解決できる
(重症の場合は交換が必要)
シェルに損傷はないか※2 重症の場合は交換が必要
ノイズが出る ラグは浮いていないか ラグ取付ネジの増し締め(損傷の場合は交換)※3
ストレイナーがガタガタしている ラグ取付ネジの増し締め(損傷の場合は交換)※3
スネア音にノイズが混ざっていないか 響き線張力調整※4
スネア音は伸び過ぎていないか 響き線張力調整※4
締めボルトのいずれかが緩んでいないか テンションが均一になるようにチューニングし直す
楽器のポジションがしっくりこない※5 キャリアは調整されているか 品番に応じて微調整機能で体格に合わせる(キャリングホルダー)
アームを上下させ高さを調節する
角度調整機構のある物(スネアホルダー)は楽器が前に垂れたり角度が上がり過ぎたりしないように調整する
その他メンテナンス スネア用テープ/紐 消耗してきたら取り替える
シェル 柔らかい布でカラ拭き
ヘッド ほこりを除く
ホルダーやストレイナーなどの作動部品 作動部にグリス注油(年に一回程度で良い)
  • ※1 ・ヘッドのフープからフィルムが抜ける ・ヘッドが伸びてしまっている ・ヘッドが破れている ・打痕等でヘッドが凸凹している など
  • ※2 ・エッヂ部分が凸凹になってしまっている ・シェルにひびが入っている ・シェルが割れている ・シェルが変形している など
  • ※3 緩すぎず締めすぎず
    (バネ座金がしっかり利いていないと緩んでしまい、また締めすぎると六角スパナで締めた場合にはネジの頭が切れてしまい、プラスドライバーで締めた場合には十字穴が潰れてしまう。)
  • ※4 響き線が伸び切っている場合、単線調整可能なものは調整し、そうでないものは響き線を交換する。
  • ※5 マルチタムが角度調整機能が無いため、前垂れしているものについてはパーツ交換が必要。

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