マーチングスネア・テナードラム

マーチングスネア・テナードラムのお手入れ・メンテナンス・チューニング

チューニング

スネアドラムはトップサイド(打面側)のヘッドのチューニングと、スネアサイド(響き側)のヘッドのチューニングによって、ピッチを合わせて行きますが、バスドラムやマルチタムとは違い、チューニングによる音程感を特徴とする楽器ではありません。スネア(響き線)の歯切れ良さや、粒立ちの鋭さなどを作る事がチューニングの重要性です。しかし、マーチングでは複数のスネアドラムを使い、数人で合わせる演奏体形が一般的ですので、楽器の音色を合わせないと非常にやかましい音になり、演奏技術が個々に高くても、音楽を乱してしまう事があります。楽器個々の音程を合わせる事は、この、音色作りの第一歩と言えます。チューニングを揃えて、高い演奏技術があれば、30人のブラス編成にスネアドラム7台で編成しても、非常に心地よいサウンドになります。

テンションと編成

特にスネアドラムについては、編成、演奏場所、曲想、等によってハイテンション(かなり高いピッチ)やローテンション(ある程度低いピッチ)にチューニングする場合があります。
多種多様なパターンの中で、編成とテンションの一例をご紹介します。
あくまでも参考ですので、これに拘らずバンドの条件に合ったピッチを探してください。

ハイテンションでの使用が必要な編成

  • ドラムコー及びコースタイルバンド
  • 吹奏楽編成(大編成)
  • 小学校金管編成(大編成)

ローテンションでの使用をお勧めする編成

  • 鼓笛隊編成
  • 吹奏楽編成(小~中編成)
  • 小学校金管編成(小~中編成)
  • その他、伝統的なスタイルを重んじるバンド等

チューニングによる楽器のサウンドの変化

  ハイテンション ローテンション
粒立ち 大編成での管楽器のサウンドをクリアにし遠達する様に鋭くなる。 大きい
余韻 如何なる細かいパッセージもはっきり表現でき、複数台でのアンサンブルも実現できる様に、短くなる。 長い
音量感 1台1台の音量は減る感はあるが、台数を揃える事で、非常に広範囲のダイナミックスレンジをカバーできる。 たっぷり
響き 1台では無機質な響きに感じるが、台数を揃えることで、立体感のある響きを実現できる。 まろやか

スネアドラムチューニングの手順

〔図-1〕 締めボルトを締める順序

〔図-2〕 スネアドラムの音程のチェック

1)ストレイナーからスネア(響き線)を外します。

2)まずはトップサイド(打面側)、スネアサイド(響き側)とも、ヘッドが均等に張られているかどうか確認し、各締めボルト付近の音程を合わせていきます。

3)トップサイドヘッドは、〔図-1〕のように、チューニングキーで1/4回転~1/2回転ずつ回し均等に張っていきます。

POINT!

  • 〔図-2〕に示すように、バスドラムをミュートする時に使うMU-40BRを25cmぐらいに切ったものをヘッドの中央に張ります。そして〔図-2〕に示すポイントを柔らかいマレットで軽く叩き、音程を確認します。
    どの程度のピッチにするかは好みにもよりますが、〔表-1〕に、スネアドラムが良く響くチューニングレンジをまとめました。
    ご参考までにご活用ください。

〔図-3〕

4)スネアサイドヘッドは、表皮よりも短3度~長2度下くらいのピッチが最もバランスよく鳴ります。
これを強く張りすぎても弱すぎても、響き線の効きが悪くなります。
また、トップサイド(打面側)とスネアサイド(響き側)の音程を近づければ近づけるほど、スネアの歯切れと粒立ちが良くなります。
(お使い頂くヘッドの種類によって違う場合がありますのでご注意ください。)

5)なお、スネアサイドのチューニングの際、響き線に隣接する4本のボルトは、他のボルトよりもさらに1/2~2回転くらい強く張ります。〔図-3〕

〔図-4〕 ストレイナーの調整

6)ストレイナーに響き線をセットして、スネアの張りと当たりをストレイナーにて調整します。〔図-4〕
このとき、響き線の端のプレートがストレーナーにぶつかっていたり、胴のエッジの上に乗っていたりすることのないよう調整します。
響き線の調整は、表裏のヘッドのチューニングの後に、最も響きの良いポイントに合わせてください。

〔図-5〕

〔図-6〕

7)響き線は、ヘッドにぴったり密着するようにセットします。〔図-5〕

8)10本の響き線のうち、部分的に伸びた部分があると、音の切れは悪くなります。
響き線の個別調整が可能なタイプは、〔図-6〕のように響き線とヘッドの間に鉛筆等を差し込んでから、たるんでいるガットを、ギターの弦をチューニングするように、1本ずつ弾きながら合わせていきます。
そうでない場合は、新品の響き線と交換します。また、響き線用のテープや紐が消耗してきたら取り替える習慣をつけましょう。
部分的に伸びていると音の切れは悪くなります。

〔表-1〕 スネアドラムの音域表
品番 打面側 響き側 備考
最低音 最高音 ヘッド 最低音 最高音 ヘッド
MS‐110B F33 A#38 DH10-250SW DH10S-075 片側チューニング機構につき片側のみ可能
MS‐210B G23 F33 DH10-250CD C28 A#38 DH10S-075  
MS‐212B E20 D30 DH12-250CD A25 G35 DH12S-075  
MS‐412E G23 F33 DH12-250CD C28 A#38 DH12S-075  
MS‐413E E20 D30 DH13-250CD A25 G35 DH13S-075  
MS‐613E F21 C28 DH13-250CD D18 G35 DH13S-075  
MS‐614E E20 B27 DH14-250CD C#17 F#34 DH14S-075  
MS‐814D A25 D30 FM-SD14 D#19 G35 SS-FM14 打面側にファラムスヘッド使用可能
MS‐9213 F#46 B51 FL-SC13 A#38 G47 SS-AM13 響き側にはファラムスヘッド使用可能
MS‐9214 F#46 A#50 FL-SC14 A#38 D54 SS-FL14  
MTS-9213 F#46 B51 FL-SC13 A#38 G47 SS-FL13  
MTS-9214 F#46 A#50 FL-SC14 A#38 D54 SS-FL14  

テナードラムチューニングの手順

ヤマハは幼児・小学校の鼓隊編成向け等に、テナードラムをラインナップしています。
構造は基本的には、スネアドラムのスネア機構を除いたものですが、スネアドラムよりも低い響きをカバーする為の楽器と考えられています。 もう一つのスネアドラムとの違いは、響き側のヘッドの仕様が、スネアドラムのヘッドよりも少し厚い事です。
ヘッドの厚さに少しの差しか無い事と、胴の深さとのバランスのせいか、テナードラムは打面側の音と、響き側の音を、聞き分ける事が非常に難しい楽器です。打面側を叩いた時の音が、響き側のヘッドのピッチ付近にまとまれば、音は良くなります。
〔表-2〕が一般的なテナードラムのチューニングレンジです。
ご参考までにご活用ください。

〔表-2〕 テナードラムの音域表
品番 打面側 響き側
最低音 最高音 ヘッド 最低音 最高音 ヘッド
MT-110B C28 F33 DH10-250SW DH10-250SW
MT-210B
MT-212B
D30
B27
A37
F#34
DH10-250CD
DH12-250CD
    DH10S-075
DH12S-075
MT-412E
MT-413E
D30
B27
A37
F#34
DH12-250SW
DH13-250SW
    DH12-250UC
DH13-250UC

ヘッドの寿命について

使用状況によってかなりの差がありますが、プラスティックヘッドは使わなくても伸びるという特性を持っており、寿命切れになると音の伸びも無くなります。裏ヘッドも同様です。
ヘッド交換のタイミングは最低1年に1回~2回は行ってください。

日常の取り扱いについて

  1. 使用後はヘッドをゆるめる必要はありません。新品のヘッドの場合、しばらくヘッドが徐々に伸びるので、チューニングを入念に行ってください。
  2. 響き線が部分的に伸びてしまった場合、個別調整可能なものは調整し、そうでないものは交換します。
    吊り紐や吊りテープも切れそうになったら早めに取替えてください。
  3. ヘッドにほこりは禁物、こまめに掃除します。シェル(胴)は柔らかい布でカラ拭きしましょう。
  4. ホルダーの作動部分には、年1回程度、良質のグリスを注油します。
  5. ヘッド交換の際に、チューニングボルトに良質のグリスを注油します。

日常のお手入れには、ヤマハお手入れ用品をご使用ください。

楽器のトラブルと解決法

起こりうるトラブル チェックポイント 解決法
チューニングできない 締めボルトが回りにくい 締めボルトネジ部にグリス塗付
ラグは浮いていないか ラグ取付ネジの増し締め(損傷の場合は交換)※3
ヘッドは傷んでないか※1 ヘッド交換
フープは歪んでいないか フープの方向を180°変えてセットしなおせばある程度は解決できる
(重症の場合は交換が必要)
シェルに損傷はないか※2 重症の場合は交換が必要
ノイズが出る ラグは浮いていないか ラグ取付ネジの増し締め(損傷の場合は交換)※3
ストレイナーがガタガタしている ラグ取付ネジの増し締め(損傷の場合は交換)※3
スネア音にノイズが混ざっていないか 響き線張力調整※4
スネア音は伸び過ぎていないか 響き線張力調整※4
締めボルトのいずれかが緩んでいないか テンションが均一になるようにチューニングし直す
楽器のポジションがしっくりこない※5 キャリアは調整されているか 品番に応じて微調整機能で体格に合わせる(キャリングホルダー)
アームを上下させ高さを調節する
角度調整機構のある物(スネアホルダー)は楽器が前に垂れたり角度が上がり過ぎたりしないように調整する
その他メンテナンス スネア用テープ/紐 消耗してきたら取り替える
シェル 柔らかい布でカラ拭き
ヘッド ほこりを除く
ホルダーやストレイナーなどの作動部品 作動部にグリス注油(年に一回程度で良い)
  • ※1 ・ヘッドのフープからフィルムが抜ける ・ヘッドが伸びてしまっている ・ヘッドが破れている ・打痕等でヘッドが凸凹している など
  • ※2 ・エッヂ部分が凸凹になってしまっている ・シェルにひびが入っている ・シェルが割れている ・シェルが変形している など
  • ※3 緩すぎず締めすぎず
    (バネ座金がしっかり利いていないと緩んでしまい、また締めすぎると六角スパナで締めた場合にはネジの頭が切れてしまい、プラスドライバーで締めた場合には十字穴が潰れてしまう。)
  • ※4 響き線が伸び切っている場合、単線調整可能なものは調整し、そうでないものは響き線を交換する。
  • ※5 マルチタムが角度調整機能が無いため、前垂れしているものについてはパーツ交換が必要。

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