音板打楽器の基礎知識

はじめて楽器ナビ

音板打楽器の基礎知識

音板打楽器には、材質・用途等によりさまざまな種類があります。
ここでは、主要な音板打楽器とその材質、音程調整や音域についてご紹介します。

音板打楽器の種類と特徴

分類楽器名称特徴
木琴類 マリンバ 基音(音名として使用している音程)と4倍音(基音の2オクターブ上の音程)が同時に鳴るように調律されており、低音域ではさらに10倍音での精密な調律を施しています。シロフォンと比べて広い音域を持ち、深く柔らかな音色がします。アフリカ発祥。
シロフォン 基音と3倍音(基音の1オクターブと5度上の音程)が同時に鳴るように調律されています。
マリンバよりも高い音域を持ち、音色は鋭く歯切れが良いのが特徴です。東南アジア発祥。
立奏木琴 器楽合奏の教材用に使用される音板打楽器で、ソプラノ・アルト・テナー等音域を分けることによって、それぞれの楽器に違った役割を持たせています。
鉄琴類 ビブラフォン 基音と4倍音が同時に鳴るように調律されています(YV-3910J、YV-3710JMは10倍音調律も実施しています)。
マリンバから派生して開発されたため、調律方法もマリンバと同じ方法をとっています。木琴類よりも長い余韻を持ち、止音機構(ダンパー)がついています。ビブラフォン独特の機能として、共鳴パイプに取り付けられたファンの回転によりビブラートを得ることができます。
グロッケンシュピール
(オーケストラベル)
音板打楽器の中で唯一基音のみ調律されています。ビブラフォンよりも高い音域を持っています。ビブラフォンと同様長い余韻を持っており、YG-2500はダンパーで止音することが可能です。
立奏鉄琴
(メタロフォン)
主に器楽合奏の教材用に使用される音板打楽器で、日本特有のもの。
4倍音調律を施しており、ビブラフォンよりやや高い音域を持ちます。ファンはついていません。
音管類 チャイム 教会の鐘(カリヨン)の音色を手軽に得られるように開発された音管を用いた打楽器。不規則な倍音構造を持ちます。

温度と湿度による楽器の変化

基準ピッチについて

ヤマハの音板打楽器は23℃の環境下でA=442Hzのピッチになるように調律されています。
(23℃はコンサートホールの平均気温です。)

音板ピッチ(音程)の変化

木琴類

ピッチは湿度の影響を大きく受けます。湿気の多い時期にはピッチが下がり、冬の乾燥期にはピッチが上がります。
温度によってもピッチが変化します。
温度が上がるとピッチは下がり、温度が下がるとピッチが上がります。管楽器とは逆の現象がおこります。

  • ヤマハでは、温度によるピッチ変化が少なく、湿度による変化のないアクースタロン音板を使用したモデルをラインナップに加えています。
鉄琴類

ピッチは湿度の影響はほとんど受けません。温度によってピッチが変化します。
温度が上がるとピッチは下がり、温度が下がるとピッチが上がります。管楽器とは逆の現象がおこります。

響きの変化(共鳴パイプについて)

共鳴パイプに息を吹き込むと、音程のある音がします。この音程と音板の音程が合っていると、音板を叩くだけでパイプ内の空気が同じ音程で鳴り出します。このことをパイプの「共鳴」と呼びます。
このパイプの共鳴を利用して音板打楽器は音量を得ていますが、音板のピッチと共鳴ピッチが同じ音程になっていないと、この共鳴効果が薄れてしまい豊かな音量が出なくなってしまいます。
ヤマハの場合、設計段階では気温23℃のもとで共鳴パイプが音板のピッチに最大限に共鳴するように調律されています。共鳴ピッチは管楽器と同様に「温度が上がると上がり、温度が下がると下がる」ため、温度が変化すると極端に鳴りが悪くなってしまいます。特に音板の特性上、低音に近づくにつれて音板単体の音量は小さくなるため、共鳴パイプによる音量増幅の度合いが大きくなり、温度変化による楽器の鳴り方の変化は、低音側により顕著に現れてきます。
そのため、楽器全体を豊かに鳴らすには、温度や湿度変化による音板ピッチの上下変化に合わせて、共鳴ピッチを調整していく必要があります。
温度が上昇し音板のピッチが下がったら、パイプを音板に近づけることで共鳴ピッチも音板に合わせて下げ、音板ピッチと共鳴ピッチを合わせて共鳴を最大限に引き出すことができます。
逆に温度が下降し音板のピッチが上がった場合は、逆に音板からパイプを遠ざけることで共鳴ピッチを上げ、音板ピッチと共鳴ピッチを合わせて共鳴を最大限に引き出すことができます。

簡単な覚え方としては、「温度が上がる→共鳴パイプの高さを上げる」、「温度が下がる→共鳴パイプの高さを下げる」ということです。

また、ヤマハではマリンバYM-6100、YM-5104A、YM-5100A、YM-4900Aについては、パイプ底板の位置を移動させることで最良の共鳴ポイントを得られる「レゾナンス・レギュレーター」を搭載しています。

音板の種類(木材・合成樹脂)

分類材料名称特徴
木材 ローズウッド 木材の音板として最も優れた特性を持つローズウッド。最良の素材をシリーズごとに選別し、最高級・高級材のみを音板として使用しています。マリンバ・シロフォンに使用されています。
パドック 音板材としては一般的な素材で、素材自体が柔らかくローズウッドよりも柔らかい音色が特徴です。マリンバに使用されています。
カリン 豊かでつやのある音色を持っています。ヤマハでは現在はシロフォンのみに使用しています。
樹脂 アクースタロン 最高級ローズウッドにきわめて近い音色を持つヤマハ独自のFRP製合成音板材料。木材に比べてムラがなく、温度や湿度による音程変化が少ないのが特長です。マリンバ・シロフォンに使用されています。

音板の種類(金属)

分類材料名称特徴表面処理
金属 アルミニウム合金(24S) 超ジュラルミンと呼ばれる素材で、ビブラフォンの素材としては最新の素材であり、最も優れた特性を持っています。表面処理方法の違いにより、音色にバリエーションを持たせています。 【鏡面ゴールドアルマイト】
音板表面を鏡面状に研磨することで、音割れのない豊かな音色と抜群のレスポンスを引き出し、さらに金色アルマイト処理をすることにより、音色を柔らかくしました。耐久性もあり、多くのプレイヤーに親しまれている最高級仕上げです。
【マットゴールドアルマイト】
一般的な仕上げであるマット仕上げのあと、音板の変化を防ぐために金色アルマイト処理を施してあります。金色アルマイトには音を柔らかくする効果もあります。
【マットシルバーアルマイト】
マット仕上げのあと、音板の変化を防ぐために銀色アルマイト処理を施してあります。最も一般的な仕上げ方法です。
アルミニウム合金(14S) コストパフォーマンスに優れた音板材料です。 【マットシルバーアルマイト】
マット仕上げのあと、音板の変化を防ぐために銀色アルマイト処理を施してあります。最も一般的な仕上げ方法です。
高炭素鋼 グロッケンシュピールの音板素材として最も優れた特性を持っています。特殊な熱処理を施し、音響的に最良の状態になるようにしています。炭素を多く含んでおり、音の伸びに優れています。 【ニッケル/クロームメッキ】
ニッケル/クロームメッキを施すことで錆を防ぐとともに、音色とレスポンスを調整しています。
炭素鋼 グロッケンシュピールの音板素材として最も一般的な素材です。特殊な熱処理を施し、音響的に最良の状態になるようにしています。 【ニッケル/クロームメッキ】
ニッケル/クロームメッキを施すことで錆を防ぐとともに、音色とレスポンスを調整しています。
  • アルマイト処理・・・アルミニウム特有の表面処理方法で、アルミニウムの表面に膜をつくり、表面を酸化から防ぐ役割を果たしています。美観にも優れています。
  • ニッケル/クロームメッキ・・・ニッケルとクロームの膜を鋼材の表面に貼り付け、酸化を防ぐ役割を持っています。表面が滑らかになりかつ硬くなるため、音の立ち上がりを早くする効果もあります。

調律カーブについて

人間の耳には、「高い音は低く聞こえ、低い音は高く聞こえる」という特徴があります。そのため広い音域全体にわたってA=442Hz基準で調律してしまうと、高音は実際よりも低く聞こえ、低音は高く聞こえてしまうという聴感上のズレが発生してしまいます。
このズレを補正するため、ピアノのように音域の広い楽器では、高音はあらかじめ数セント高く、低音は数セント低く調律しています。
コンサートグレードのマリンバは音域が広いため、ピアノと同様に低音域を下げ高音域を上げた「Sカーブ」調律を、コンサートグレードのシロフォンとグロッケンシュピールはマリンバの高音域に当たるため、高音域のみ高く調律する「Lカーブ」を使用して調律を行っています。
管楽器は高音域へ行くほど音程が上昇ぎみになるため、管楽器との合奏を考えた場合、コンサートグレードの楽器(SまたはLカーブを使用した楽器)を使用したほうが音程は合わせやすくなります。加えて夏などに温度が上昇した場合、管楽器のピッチは上昇し打楽器のピッチは下降してしまうことを考えても、コンサートグレードの楽器を使用したほうが音程は合わせやすいと言えます。
ビブラフォンは音域がちょうど中音域に位置するため、全品番で「フラットカーブ」(調律カーブ無し)を採用しています。また、教材グレードの楽器は、器楽合奏で使用する他の楽器(ピアニカ・アコーディオン等)に調律カーブがついていないこともあり、全品番「フラットカーブ」を採用しています。

ページトップへ戻る