吹奏楽でのクラリネットを熟知する奏者が語る

CLARINETS Spirit of Yamaha Clarinets

吹奏楽でのクラリネットを熟知する奏者が語る 対談!藤井一男×小倉清澄 楽器に求めること、上手になるための心得

吹奏楽などの指導でも定評のある藤井一男氏と小倉清澄氏。ヤマハのSE-Vmasterを愛用する両氏に、楽器に求めることや、練習や演奏での心得を教えていただいた。

この記事は、月刊誌「バンドジャーナル」2007年12月号~2009年4月号に掲載された内容を一部改定して転載しており、取材当時の内容になります。制作:音楽之友社

小倉清澄氏の写真
おぐら きよすみ
1984年東京芸術大学音楽学部器楽科卒業。ソロおよび、東京クラリネットアンサンブルのメンバーとしてのCDも数多くリリース。現在、東京佼成ウインドオーケストラクラリネット奏者、日本クラリネット協会理事、東京セレーノ・クラリネットオーケストラ コンサートマスター。
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― これまで全国のバンドにお邪魔して指導者の方々にお話をうかがってきましたが、どなたもクラリネットに「ブレンドする音」「ハーモニーを作りやすい音程」「他の楽器に埋没しない明るい音色」を求めている点で共通していました。良い音色と良い音程の両方を兼ね備えた楽器として、ヤマハの楽器を選ぶ学校がすごく多かったです。

藤井 クラリネットは作音楽器だから、音程が良い楽器というよりは、「良い音程を作ることができる楽器」かどうかと言ったほうが正確だと思います。それは、楽器にどれだけ許容量があるかということ。基本的な音程のラインがあり、そのうえで柔軟性をもち、いろいろ音程を作れるのが良い楽器だと思う。
音色も同じで、ひとつの良い音が出るのではなく、「必要に応じていろいろな音色を作ることができる」のが本当に良い楽器なんです。そういう意味で、現在のヤマハの楽器は、そういった要求に応えてくれる奥の深さがある。

小倉 全国のいろいろな学校に教えに行っているのですが、面白いことにヤマハの楽器を持った子は上達が早いんです。どうしてかなと思って考えてみたのですが、ヤマハのクラリネットでは、気持ちよく吹けていたら、音程が良く、そのまま音色も良い。なので、吹くときに余計なことをする必要がなく、負担が少ない。楽器にそこに持っていく力があるから、中学1年生の初心者でも上手に吹けるケースが多いんですね。

― 負担が少ないことは、長時間吹くときのメリットになる?

小倉 それはもう!吹奏楽でのクラリネットは、オーケストラに比べると、音を出している時間と音量は倍以上になります。私が所属している東京佼成ウインドオーケストラでは、演奏旅行が始まったら毎日口が曲がるまで吹かなければいけません。そういうときに、音程を修正したり、鳴らない音を無理に鳴らすなど、形を作りながら吹いていると調子を落としていくのです。でも、このSE-Vマスターはそういう心配がなく、困ったら楽器に頼ることができる。

低いシとレジスターキーを押さえたファ♯の音は、中指ではなく(写真左)、人差し指とトリルキーを押さえる指使いにしてほしい(写真右)
「低いシとレジスターキーを押さえたファ♯の音は、中指ではなく(写真左)、人差し指とトリルキーを押さえる指使いにしてほしい(写真右)」(小倉)、「こちらのほうが音が良いんです。これを使い始めたらこれしかできません」(藤井)

― 学校現場では、4月に入った初心者を早く合奏に参加できるようにしなければいけないという現実があります。その際のアドバイスはありますか?

藤井 秋頃になると、どんな初心者の子も、その子なりに半年以上は楽器と付き合ってきているわけです。上手に吹けないのは「リードの選び方、アンブシュア、息」の3点セットがうまくいっていないだけ。そこをちゃんと見て教えてあげれば、その瞬間からすごく良い音が出るようになるんです。
このことを、先輩になったときに上手に新入生に教えていけるかどうかが、バンドが上手になるポイントでしょうね。

― そういう指導は、入学してすぐに受けたほうがいい?

藤井 いや、最初に教えても、クラリネットを持っている本人は楽器を扱うことに精一杯で、何を言っているのかよく理解できないんです。それよりも、ちょうどコンクールが終わった11~12月ぐらいにレッスンしたほうが、あっという間に上手くなります。
それから、よく腹式呼吸がどうとか、横隔膜がどうとか、いろいろな言葉が使われるけれど、私は難しいことを子供たちに言っても仕方がないと思う。それよりも、とにかく「いっぱい息を吸って、その息を時間をかけてお腹で支えて出しなさい」と言えばいい。そのひと言でもう大丈夫なんです、呼吸法は。

小倉 私も同感です。私は「立って、かかとを上げなさい」と言うだけ。かかとを上げたら、お腹に適度な力が入りますからね。音が遠くに届くように楽器を鳴らそうとすれば、自然と呼吸法はできてくると思うんです。どう吹くべきかではなく、どう吹きたいのかが大事。

藤井一男氏の写真
ふじい かずお
国立音楽大学を首席で卒業。第41回日本音楽コンクール第2位。現在、東京クラリネット・アンサンブル主宰、東京セレーノ・クラリネットオーケストラ主宰、日本音楽コンクール、日本クラリネットコンクール審査員。
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― しかし、個人練習のとき、座って吹いている子が多いように思うのですが?

藤井 はっきり言えることは、立って吹いたほうが強い息が出るということ。たとえば、リードをこれがいいかなと思って選んだあと、立って吹いてみたらダメだった、なんてことはあります。

小倉 何が何でも聞こえさせたいときはスタンドプレイにしますからね(笑)。やはり立って練習するべきだと思います。それから、よく初心者にマウスピースだけで吹かせている光景を目にしますが、上手になりません。その時間があったら楽器をつけて練習したほうがいい。付けて吹くように作られているんですから。

― 最後に、クラリネットを吹いている読者にメッセージを。

小倉 クラリネットを作っている人たちは、「吹く人たちに良い音で上手に吹いてほしい」という気持ちを込めて作っていると思うんです。だから、使う側も、無理矢理力を入れて鳴らそうとせず、「鳴るように作られているものだから、それを上手に活かして鳴らそう」という気持ちで吹いてほしい。

藤井 そういう意味では、楽器が作られている工場を見せてあげたいですね。「こんなふうに生えている材料の木を何年もかけて乾燥させて、こんなに手間をかけて作られている」と知れば、楽器を大切にする心が生まれると思うし、その楽器で楽しむ気持ちも出てくると思う。
とにかく、子供たちが楽しんで吹くことが一番。それで少しずつ上手になろうという気持ちさえあれば、必ず上達するはずです。

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