
総勢およそ200名で集合写真をパチリ。「笑いと笑顔のないバンドに未来はない」という石津谷先生の考え方から、先生は終始冗談をとばし、どのメンバーも笑顔を絶やさない和気あいあいとした雰囲気が印象的だった
定期演奏会のチケットがわずか数分で売り切れてしまうという千葉の市立習志野高校吹奏楽部。その魅力は、吹奏楽の演奏はもちろん、合唱、マーチング、チアリーディングまで飛び出す多彩なステージづくりにある。
※この記事は、月刊誌「バンドジャーナル」2007年12月号~2009年4月号に掲載された内容を一部改定して転載しており、取材当時の内容になります。制作:音楽之友社

市立習志野高校吹奏楽部 顧問
石津谷 治法先生(右)
瀧山 智宏先生(左)
今年の全国大会では《展覧会の絵》で聴衆を魅了し、見事に金賞を受賞した市立習志野高校。練習場にお邪魔すると定期演奏会の練習の真っ最中だったが、その光景にびっくり。吹奏楽部なのに、ヴァイオリンやチェロなどが入り、後ろには大勢の合唱団が。いったいどういうことだろうと石津谷先生に聞いてみると…
「歌が上手いバンド=良いバンドというのが私の考え方。定期演奏会では、メインでオペラの抜粋を取り上げるんだけれど、3年生を中心とした70~80人が演奏し残りの120人が歌を原語で歌います。歌や踊りが上手だと、いい表情が出てきて表現力が豊かになるんですよ。
弦楽器を入れているのは、オーケストラのアレンジ曲を演奏するときに、弦のボウイングの雰囲気がわからずに、管楽器の息遣いなんてできるわけがないと思っているから。弓のアップダウンは、息の吸う・吐くと同じだからね。今《展覧会の絵》を練習しているのだけど、『バーバ・ヤガ』が上手くいかなかったので、弦楽器軍団を集めてやらせたら、管楽器でも似たような響きになりました」
そうした練習の成果もあってか、習志野高校は、コンクールの自由曲では、必ずオーケストラの編曲ものを選ぶ。
「オリジナルにはオリジナルの良さがあると思いますよ。編曲ものにない良さがたくさん。でも、コンクールでは、管弦楽の曲をどれだけ吹奏楽器で表現できるか、ということにチャレンジしたい。だから、編曲も全部自分でやります。こうした方が、よりオケ的なサウンドが出るかな、といった表現上のチャレンジがしたいんです」
余計な心配をせずに音楽を表現できる楽器を


オーケストラ曲では、なんとヴァイオリンやヴィオラ、チェロなどの弦楽器が加わる!弓の表現を間近で体験することで、息使いがより音楽的になり、合奏のサウンドが柔らかくなると言う。後方には合唱の姿も。これが習志野流“合唱奏”だ
もちろん、コンクールでヴァイオリンやヴィオラを入れるわけにはいかないから、弦楽器のパートを管楽器で表現するのは難しいと石津谷先生は語る。
「トランペットパートが、全員でオケのような音を出したら、吹奏楽のサウンド感が出せなくなってしまうから、うちはフリューゲルホルン、コルネット、C管など、いろんな楽器を持ち替えることで、いろんな音色を創るようにしています」
オケ曲で弦楽器の表現を求められることが多いクラリネットに関しては…
「長年経験してきたけれど、いろんなメーカーの楽器がバラバラに入っていると、やっぱりうまくいかないですね。響きを創るのは難しいですよ。音程も同じです。きれいな響きがして、音程が良くて、耐久力のある良い楽器と考えたとき、ヤマハの楽器が一番確実かなと思う。部員に強制したわけではないのに、今ではほとんどの楽器がヤマハになりました。
実は、私の娘は中学校でオーボエを吹いているんだけど、娘にもヤマハのオーボエを買ってあげたんですよ。お陰さまで、娘の中学も全国大会に出られて、今年は親子で普門館に出場できました」
では、良いバンドづくりの秘訣は?
「良いバンドかどうかは、部員がどれだけ主体的に活動しているかですよ。演奏を聴いたときに、先生に言われてやらされているとわかるようではダメ。合奏のときに、部員たち同士で注意し合えたり、パート練習のときに指摘し合えるようなバンドがいいですね」

クラリネットパート大集合!楽器を個人で持っている比率が高く、バスクラリネットも個人持ちというから驚き。伝統的にヤマハのCSを愛用している

オーケストラの多彩な音色に対応するために、トランペットセクションは、ヤマハのコルネットやフリューゲルホルンに持ち替える。明るい音色が求められるオーケストラ曲では、C管トランペットも積極的に使用!
石津谷先生、瀧山先生に質問
Q クラリネットで良い音を出すには?
A クラの良い音色をどれだけイメージできるかでしょうね。世界的プレイヤーのCDなど、良い音楽をたくさん聴いて、その中からクラリネットのサウンドを創ればいいと思う。それと、良い響きを出すための息遣いが大切。
Q 良い音程を得るためにはどうしたらいい?
A 声に出して歌ってみることでしょう。吹けない人は歌えない。ただ息を入れて、音を出して、指を押さえるという作業をしているだけでは音楽をしていることにはなりません。楽器を吹くのではなく、楽器で歌うんです!
習志野市立習志野高校
高校野球やサッカーなどでも知られる千葉県習志野市にある市立習志野高校。前任の新妻寛先生の時代から引き継がれ、現在の石津谷治法先生によって磨き上げられた同校吹奏楽部の「習高サウンド」にはファンが多い。全日本吹奏楽コンクール全国大会に連続24回出場する他、マーチングコンテストやアンサンブルコンテストでも毎年全国大会に出場。「悔いのない一日を」を合い言葉に、マーチング、弦楽器の演奏、合唱、ダンス、劇なども取り入れ、歌って踊れて、弦楽器も弾く吹奏楽部として、定期演奏会の他、幼稚園や保育園、老人ホームなどへの訪問演奏、地域の祭りやイベントの参加など、年間50回を越える演奏活動を行っている。








