ピアニスト 仲道祐子さん

#04

仲道 祐子さん

ピアニスト

子育てと演奏活動の両立にはアビテックスが欠かせません。
 
二〇〇四年、出産を前に転居することになり、ピアノが弾ける家を探したのですが、なかなか適当な物件が見つかりませんでした。そんな時にアビテックスのことを思い出し、選択の幅を広げることができたのです。九月には新居を決めて、同時に六畳のフリータイプを設置してもらいました。アビテックスについては、新宿のヤマハアーティスト企画室のアビテックス練習室でいつも弾いていて、馴染みもあり、弾きやすいことは体験的に知っていました。  
 
その年の十二月に出産し、主人と子供と三人の生活が始まったのですが、音についての問題はまったくありません。二四時間それこそ夜中や朝方に弾くことも ありますが、二階に寝ている主人や子供には全然聞こえないようです。引っ越した時、ご近所にも「ピアノを弾きますから」とご挨拶に伺ったのですが、その後 お会いしたときも、いつ弾いているのかまったく分からないということでしたので安心しました。
響きについても以前から弾いて知っていたとおり、長時間弾いても疲れないので音楽に集中できます。ただ一つだけ不満があるとすれば、もっと広い部屋にしておけばよかったということぐらいですね。
 
 
防音で苦労したことは、子供時代を過ごした浜松で一度ご近所から苦情がきたぐらいで、それほどなかったのですが、ミュンヘンに留学したときは大変でした。ヨーロッパでは音に対する権利意識が強いので、弾いてもいいよというところに入っても昼寝している時は駄目だとか、大家さんがいいといっても周りから苦情がきたりで、実質アパートではほとんど音を出すことができないのです。幸い理解のある大家さんがいる一軒家の間借りが見つかり、なんとか乗り切ることができました。
 
出産を経験したことで私自身の価値観も大きく変わったと思います。子供と一緒にいると癒されるというか、とても充実した時間が過ごせるような気がするんです。そんな気持ちでピアノに向かうと、ピアノの見方も、音楽に対する考えも、曲の解釈も変わってきて、今はとても面白いですね。子育ての中で、これまで知らなかった世界をたくさん体験し、目を開かされて、ピアニストとしての自分をより客観的に見られるようになりました。もちろん子育てとピアニストとしての活動の両立には、気力も体力も必要ですが、いつでも好きな時に練習できる環境を作り出してくれるアビテックスのおかげで、子どもと音楽、両方に満たされた日々を過ごせています。
 
 

アーティスト情報

 
なかみちゆうこ
桐朋女子高等学校音楽科に進み、1986年渡独、ミュンヘン国立音楽大学、同大学院ピアノ科及び室内樂科を卒業。1996年5月、紀尾井ホールのデビュー・リサイタルで、日本での本格的ソロ活動を始める。最近では、姉の仲道郁代とピアノ・デュオを行ったり、NHK連続テレビ小説「すずらん」のヒロイン・遠野凪子と組み、朗読の入ったコンサートを行ったり、と精力的に活動している。