<< インタビューTOP

斎藤雅広氏(Saito Masahiro) お客さまが楽しんで聴いてくれる、それを一番に考え、選曲もその気持ちを大切にしています。
この記事は2017年3月8日に掲載しております。

 学生時代に「藝大のホロヴィッツ」の異名を取り、今日まで超絶技巧や難度の高い箇所をものともせずに疾走していく爽快なテクニックを披露し、近年はそこに成熟した表現力と情感豊かな響きを加味した特有のピアニズムを聴かせている斎藤雅広。2017年にデビュー40周年を迎える彼に、近況と新譜の話を中心にさまざまなことをうかがった。 

Profile

pianist 斎藤雅広

pianist
斎藤雅広
東京芸術大学出身。18歳で第46回日本音楽コンクールに優勝、翌年NHK交響楽団との共演でデビュー、「芸大のホロヴィッツ」と称される。 その後、巨匠チェルニー=ステファンスカに才能を認められ内弟子としてポーランドで学ぶ。 高度な技巧に支えられた自由闊達で雄弁なスタイルは絶賛を受け、ウィーンフィルやベルリンフィルのメンバーらと共演を重ねる他、アライサ、クラウゼ、ラ・スコーラ等の世界の名歌手からも信望が厚く、歌曲伴奏でも我国最高の名手という評価を不動のものとしている。 NHK名曲アルバム、ベストオブクラシック、ニューイヤーオペラコンサートなど、数多くの放送に出演。 またNHK教育テレビ「趣味悠々」講師、NHK教育テレビ「トゥトゥアンサンブル」の「キーボーズ」、テレビ東京「たけしの誰でもピカソ」、日テレBS「ブラボー!クラシック」、NHK「きよしとこの夜」「親と子のTVスクール」など、エンターテイメントなTV出演も多数。 NHKニューイヤーコンサート名古屋ほかコンサートの司会も好評。また作曲・編曲も手がけ、多数の楽譜が出版されている。CDは「ヴィルトゥオーゾ・展覧会の絵」などのソロから室内楽・共演盤など34枚に及び、リリースの度に大きな話題となっている。 2007年にはデビュー30周年を迎え、記念コンサートを大成功させ、2012年はデビュー35年記念盤『79年のリサイタル』 が音楽各紙に絶賛され、その存在感をさらに大きくした。 今、日本で最も広いファン層と知名度を持つベテラン・アーティストとして、文字通りマルチな活動を展開中。
斉藤雅広 オフィシャルサイト
※上記は2017年3月8日に掲載した情報です。

ベテランならではの成熟した演奏

 こんなことばをさらりと語る。しかも話の端々にジョークを交え、話題はシリアスながらユーモア精神が垣間見える。
この絶妙のトークがテレビでもステージでも好評を博し、一度聞くととりこになる人が多い。聞き手を爆笑の渦に包むこの話術は、実は正反対の性格から生まれたものである。斎藤雅広はとても陽気で雄弁で、だれとでもうまくつきあえる人柄のように思われているが、本来はひきこもり体質でオタク的な面が多分にあるという。
 ひとりでいるとそれが顕著に現れるが、いざ仕事が入り人前で弾くとなると、ふだんの性格は一瞬にして姿を消し、プロの顔に変貌を遂げる。
「人前に出て弾くというのは、ぼくにとって非常にリスクの大きいこと。自己顕示欲が強く、人を押しのけてでも前に出ていくタイプに見られがちですが、まったく逆。きっと、神さまがぼくには弾き続けなさいといっているのかも知れません。いつ仕事がこなくなるかも知れないとか、さまざまなリスクを負っていることで危機感が生まれ、それをバネに前に進み続ける。これがいい仕事をする上では大切なのだと思います」
 昔からのアイドルはフランク・シナトラ。いろんなアーティストと組んでアンサンブルを楽しむときには、ライザ・ミネリ、サミー・ディヴィス・ジュニア、そしてフランク・シナトラが組んで演奏しているようなイメージを描く。さらにトニー・ベネットも大好きだ。
「彼らはベテランならではの成熟した演奏を聴かせてくれるすばらしさがある。まさに上質なエンターテイメント。その雰囲気が気に入っているんです。ぼくもそんな雰囲気が出せるようなステージを生み出したいですね」
 聴き手を楽しませる、この精神でいろんな活動を展開している。デビュー40周年を迎え、その目線はさらなる先を見つめている。

Textby 伊熊よし子

斉藤雅広さんへ “5”つの質問

※上記は2017年3月8日に掲載した情報です。



CD情報

メランコリー
「レコード芸術」特選盤
デビュー40周年を迎える円熟の
ピアニスト 選りすぐりの愛奏曲集!

ナミ・レコード
WWCC-7826
2,500円+税
発売中