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  • 企業とNPOによるソーシャルデザイン

「NPOシブヤ大学を始めたきっかけとは?」

シブヤ大学学長 左京泰明さんインタビュー ~前篇~2014.07.10

左京泰明氏 特定非営利活動法人シブヤ大学 学長
左京泰明氏 特定非営利活動法人シブヤ大学 学長
左京泰明氏特定非営利活動法人シブヤ大学 学長
1979年生まれ。福岡県出身。早稲田大学卒業後、住友商事株式会社に入社。2005年に退社後、特定非営利活動法人グリーンバードを経て、2006年9月、特定非営利活動法人シブヤ大学を設立、現在に至る。著書に『シブヤ大学の教科書』(シブヤ大学=編 講談社)、『働かないひと。』(弘文堂)がある。

企業での経験を踏まえたうえでの、
NPO・ソーシャルデザインの可能性

2014年7月13日に渋谷区みやしたこうえんを中心に開催される音楽イベント「渋谷ズンチャカ!」にも関わられているNPO法人シブヤ大学の左京泰明さんにインタビューを行いました。渋谷区をキャンパスに見立て、生涯学習を軸に地域のコミュニケーションの促進や発展を目指すNPO法人「シブヤ大学」学長である左京泰明さんは、大手商社からNPOの道に進まれたユニークな経歴の持ち主。企業での経験がどのようにNPOでの活動に活かされているのか、シブヤ大学だからこそできること、そして2020年の東京オリンピック開催という状況のなかで再開発の進む渋谷の未来についてお話しを伺いました。
左京泰明氏
早稲田大学卒業後、住友商事を経て、NPO法人グリーンバード副代表、そしてシブヤ大学学長に就任という経歴をおもちですが、どのような経緯で今に至ったのでしょうか。
時代の影響もあり「どこかの企業に一生勤める」という終身雇用の考え方は、学生時代からもっていませんでした。大きな会社に頼って自分の人生を作るというよりは、自分の知識や実力で生き抜くという生き方のほうが安心できると思っていたんです。

ビジネスセクターよりは、行政や公的機関といった公的セクターに興味があったのですが、国際機関はほとんどが中途採用で、新卒採用は基本的にしていなく、やはり一度はビジネスの勉強をする必要があると思ったんです。そこで海外で働くことにも興味があったので、もっとも早く海外に行けそうな企業という観点で、住友商事という商社を選びました。
住友商事ではどのようなお仕事をされていたのでしょうか?
会社が動くしくみや、そもそもビジネスとはという疑問があったので、最初は数字からそれを探ろうと思い、経理部を志望して配属されました。そこで約2年働き、会社にも慣れてきたあたりで、数年後に自分は社内のどのポジションに行くかということも見えてきて、自分のこれからについて考えはじめました。

ちょうどその頃、「もったいない」という日本語に感銘を受け、「MOTTAINAI」キャンペーンを展開し、ノーベル平和賞を受賞したアフリカ人女性のワンガリ・マータイさんが注目を集めていて。しかもその団体は行政でもなく、第3のセクターであるNPOやソーシャルビジネスと言われるものだったんです。それで僕は「なんだこれは」と驚きました。正直、僕は公的機関に対して良いイメージをもっていなかったんです。目的自体は良いと思いつつも、成果主義的ではなく、資金を寄付に頼っていて、なおかつその寄付が最適に使われているかどうか分からないという疑問があったからです。

けれどもNPOは、目的自体は社会的・公的なものでありながら、手段はビジネスである、非常にハイブリッドな事業モデルに見えたんです。NPOは自分の中の公的機関に対するモヤモヤを解消してくれて、それと同時に自分の中にあったビジネスの「利益追求主義」にも共感できないという部分を刺激され、非常に可能性を感じました。

そうして、当時日本のNPOのなかで特に面白いと思ったのが、広告代理店の博報堂を辞めた長谷部健さんが立ち上げ、ナイキをはじめとした企業とのコラボレーションも盛んに行っていたグリーンバードなんです。それで「これは従来のNPOとは少し違う。可能性があると思った海外のそれに近い」と思って尋ねたんです。そこで長谷部さんにNPOを立ち上げたいと思っているという旨を伝えたところ、「じゃあグリーンバードを手伝いながら考えてみたら?」と言われ、グリーンバードに入ることになりました。
左京泰明氏
NPO立ち上げのための勉強期間ということも含めグリーンバードに参加されたとのことですが、シブヤ大学とどのようなきっかけで始められたのでしょうか?
グリーンバード代表の長谷部さんは、生まれも育ちも原宿で、渋谷区議会議員も務めているんですね。その長谷部さんが2004年に渋谷区の新しい生涯学習の在り方として提案したのが「シブヤ大学」というプロジェクトだったんです。その区議会の答弁で、区長は「是非検討したい」と話されたのですが、大きなプロジェクトだったので、なかなか形にならなかったんです。そして「行政主導ではなく民間主導のほうが現実的なのではないか?」ということになりまして、長谷部さんが元々所属していた博報堂の方々を含めて「民間主導で実現するシブヤ大学」の検討が始まったんです。

僕もその検討に参加したのですが、一方で議論を重ねていくうちに「ビジネスとしてのシブヤ大学」は収益化が難しいという考えがどんどん強まっていってしまったんです。そんなとき、僕は「これをNPOとして立ち上げて、自分で運営してみたい」と思ったわけです。行政でもなく、企業でもなく、ノンプロフィットを掲げたNPOとしてのシブヤ大学というかたちが良いんじゃないかと思い「代表をやらせてください」と手を挙げました。自身の企業での経験とNPOでの経験が合流した瞬間でした。
グリーンバードで活動する左京さん(左下) グリーンバードで活動する左京さん(左下)
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